世界のプロレス探検隊

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GCW Aftermath 2023 Review "デスマッチ界世紀の激突" "MDK"ニック・ゲイジ対"狂猿"葛西純他

GCW Aftermath 2023 12/31/2023

 

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GCWエクストリーム王座戦
ジョーイ・ジャネラ(c)対エマーシン・ジェーン

 ジョーイがExtremeのベルトを復活させ、急遽王座戦に。グラウンド勝負から強度を高め、そして最後はハードコアにと理想的な展開。デスマッチだけではないジェーンの実力の高さを、ジョーイが引き出すことに成功した見事なショーケースマッチでした。

 中々良い試合。 
評価:***1/2

 

ビオレント・ジャック対”スピードボール”マイク・ベイリー

 現代のベスト・イン・ザ・ワールドの1人ベイリーを相手に、パワーファイトとルチャのテクニックを駆使して対応するジャック。ベイリーが全て受け止めてくれる懐の深い選手だからではあるものの、通常形式でも戦えるジャックの懐深さが堪能出来る一戦でした。
 平均的良試合。
評価:***1/4

 

デスマッチ
世羅りさ対チャーリー・エヴァンス

 


 DJハイドばりの蛍光灯割り失敗で先が思いやられた始まりだったが、試合が始まると、難なく軌道修正。通常形式もレベルが高いデスマッチファイターの2人らしく、凶器攻撃の思い切りの良さと、その他の攻防でのレベルの高さを両立。

 日本マットにも参戦経験豊富なチャーリーなので、世羅の良さも昨日以上に発揮されていた。エディ・キングストンオマージュの裏拳、マッドカート追悼のキーボード攻撃そして世羅りさの友人であるレジェンド豊田真奈美のジャパニーズ・オーシャン・サイクロン・スープレックスホールドというフルコースでチャーリーが激勝。

 以前も使用しているとはいえ、良くそのフィニッシャーを選んだなとヒヤッとしたのは正直な所。ただ、チャーリーはもっと売れなければいけない。プロミネンスのボスである世羅相手にその価値を再認識出来る一戦です。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

若松大樹対ジョン・ウェイン・マードック

 前日のNGI 8は無念の欠場となった若松だが、トップデスマッチファイターのマードック相手に、デスマッチファイターとして攻守に渡り思い切りの良さ、レスラーとしての能力の高さを発揮。

 動きがキレているので、まったり南部スタイルのマードックと対比が効いているのもポイント。ガラスボードに顔面から突っ込み、大流血となった若松。予想以上の大健闘を果たし、1発で観客の支持と今後のスポットを獲得。これは定期参戦が叶うでしょう。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

デスマッチ
ニック・ゲイジ対葛西純

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 初期CZWや大日本から続く因縁。ゲイジの逮捕、大怪我、引退危機、COVIDを潜り抜けて、世紀の激突が遂に実現。セミリタイヤ状態になっているゲイジだが、かつてのトレードマークでもあったNBAシカゴ・ブルズのマイケル・ジョーダンのユニフォームを着用する気合いの入り方。

 適当に蛍光灯を使ってお茶を濁すのではなく、かといってグラウンドから始めて重くするのでもなく、マッチアップした時の熱をそのまま利用し、得意のピザカッターやノコギリ攻撃でボルテージを上げ、ガラスボードで締めて、つかみは抜群。
 会場の熱気を楽しみ、手玉に取る様な葛西の支配ターン。蛍光灯も少しずつ導入し、強度を強めていく。アメリカでも全く変わらない葛西の空間掌握力はまさにカリスマ、ゲイジもしっかりと受け続け、ダメージ表現も堅実に行う。

 試合中の新年カウントダウンを経て、ペースアップ。画鋲を投入すれば、葛西の口に画鋲を入れての十八番フェイスウォッシュ。
 そして中締めは、蛍光灯&ガラスボード&ドアトラップに寝かせた葛西に、自らセントーンで突っ込んでいくゲイジ。近年で1番の身体を張ったスポットといっても過言ではない。更にはノコギリボードにカミソリボードに竹串まで投入と大盤振る舞い。これが互いの引退試合と言われてもおかしくないまさに最終回的総決算。

 それだけ全てを尽くした試合ながら、今を生きているトップランナーでもある為、悲壮感はなくむしろ疾走感満載のフルスロットル。葛西は全盛期を更新し続けている存在だが、試合数がかなり減っているゲイジがキャリアトップクラスの姿で戻ってきてくれたのは思わぬサプライズ。

 かつての凶悪な攻撃こそないけども、リビングレジェンド、デスマッチファイターのオール・タイム・ベストとして貫禄十分の試合運びを見せてくれた。
 蛍光灯トラップへの雪崩式パワーボムを受けてクライマックスへ。大量の蛍光灯の打ち合いから、葛西の必殺技フルコースでフィニッシュ。
 RSP戦、カルドナ戦、モクスリー戦で燃え尽きてしまったゲイジが、大復活を遂げた一戦。その気を起こさせるほど葛西純はデスマッチ界のカリスマであり、歴史そのものである。生ける伝説達が、現在のスター達ばりに死力を尽くした戦いを見せて、最高なものにならない訳はない。

 後、最後に贅沢を言うならば、このカードは超満員の後楽園ホールで観たい。

 最高の名勝負。
評価:****1/2

 

全体評価:9.5