ROH Death Before Dishonor 2023 7/21/2023
コマンデル対グラビティ
ハイフライングが武器のルチャドール2人による空中戦。コマンデルに比べるとグラビティはまだ粗く、DynamiteでPAC戦をするためのショーケースとはいえ、コマンデルやヴィキンゴを差し置いて使う程ではない。
そういう意味ではルックス含めたキャラクターとバンディードの弟なのを活かしているといえる。コマンデルのビッグダイブは流石だが、単発気味だったのでこの評価。
平均より上。
評価:***
ROH世界タッグ王座戦-4コーナーズ・サバイバル
ルチャ・ブラザーズ(c)(ペンタ・エル・セロ・ミエド&レイ・フェニックス)(w/アレックス・アブラハンテス)対オージー・オープン(カイル・フレッチャー&マーク・デイヴィス)対ベスト・フレンズ(チャック・テイラー&トレント・バレッタ)対ザ・キングダム(マイク・ベネット&マット・テイヴェン)(w/マリア・カネリス-ベネット)
実力も実績も残し続けている4組の4コーナーズ・マッチ。ストーリーがある訳ではないが、これだけ豪華メンツで、時間をしっかり取っているので、自然と良い試合になっていく。4組のスポット回しがメインでスクランブルマッチの要素が強いが、洗練はされているので、若手レスラーのそれとは大違い。
全員が絡む連鎖ムーブも盛大に披露。どの組が勝つか最後までわからない様な演出も際立っていた。贅沢過ぎるアンダーカード。メンツに恥じない良試合でした。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
ROHピュア王座戦
柴田勝頼(c)対ダニエル・ガルシア
What a confrontation between Challenger and Champ!
— ROH - Ring of Honor Wrestling (@ringofhonor) 2023年7月22日
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今1番ホットなレスラーの1人であるガルシアが、自身がかつてコピーと揶揄されていた大元である柴田と対峙し、その柴田の良さも熱さも引き出し、そして十八番のダンスはスペシャルバージョンで場を掌握。
柴田が現状で最大限可能な休場前の激しさを打ち出したことは、ガルシアが特別である事の何よりも証明。ピュア・ルールである事を忘れる程2人だけの世界に没入していた。まさにROHが蘇ったからこそ実現出来た好勝負でした。
評価:****
ファイト・ウィズアウト・オナー
ダーク・オーダー(イービル・ウノ、アレックス・レイノルズ&ジョン・シルバー)対ライチェス(ヴィンセント、ダッチ)&スチュ・グレイソン
Violence at every turn!
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The vicious side of Johnnie Hungiee on display!
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EVIL Uno!
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スチュの離脱に伴い、発生したユニット抗争はFWH戦で完全決着へ。
ウノとスチュが睨み合うシーンでこの試合はこの2人の物語である事を印象付け、その後すぐさま奈落式スピアーでテーブル破壊。これで一気にギアが入った印象。
そこからは有刺鉄線角材、画鋲にレゴ、多数のテーブルといった凶器あり、流血ありとフルスロットル。CZW参戦経験もあるメンバーが揃っており、SSBの2人もタフマッチは多数経験ありで慣れも十分。ベテランの経験値も持ちながら皆がハードワークをし続けたジェットコースターハードコアバトル。
6人いる利点をフルに活かし、次々とインパクトのあるスポットを連発。そして最後はウノとスチュに帰結していく展開も見事。ハングマンと決別し、ヒールよりになったストーリーがあったことも功を奏し、ブロディが来る前後位の鋭さを持ったダーク・オーダーが帰ってきた。全員の持ち味、ユニットの持ち味が全開になった死闘でした。
好勝負。
評価:****
ROH世界王座戦
クラウディオ・カスタニョーリ(c)対PAC
Giant Swing with bad intentions!
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PAC has just been tossed into the tables by the Champ Claudio Castagnoli!
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急ピッチで作られた一戦だが、PWGからNXTと対戦経験は複数回あり、相性も抜群。しかしその頃のPACとは全くの別人。ただ別人になったのはクラウディオも一緒。
造反の制裁に燃えるクラウディオが入場ステージでのジャイアントスイングや場外テーブル葬も含めて、徹底したドミネイトを見せることで、違いを作り出す。PACは擬似ベビーフェイスになるのではなく、今のスタイルのまま貫く為、ヒール対ヒールで逆にニュートラルとなり、潰し合いに拘ることが出来る。
BCC入りでファイターとしての強みが強調されたクラウディオと、凶悪なバスタードPACが、ハイフライングは要所に抑え、メインは必殺のブルータライザーを武器に相手を削り取る拘りも世界観にマッチしている。
フィニッシュこそ今後を見据えたチープフィニッシュではあるものの、インディ〜WWEの過去を思い起こすものではなく、現在のクラウディオとPACの魅力が凝縮された好勝負でした。
文句無しに好勝負。
評価:****1/4
ROH女子世界王座戦
アティーナ(c)対ウィロー・ナイチンゲール
OBLITERATION!
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The crowd is ON THEIR FEET as Willow kicks out!
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復活後の通常放送ではベストマッチとなったアティーナ対ウィローの再戦。その後ROHでは無敗を続けていたアティーナだが、AEWのオーエンハート杯のトーナメントではウィローに苦杯を舐めさせられたアティーナ。ウィローは、メルセデスモネ撃破、ジュリアとの激突を経て、トップベビーフェイスとして進化。これ以上ないタイミングでの決着戦。
序盤から無駄な攻防は一切なく、軽快な切り返しからウィローに負けないパワーを示したアティーナのドミネイトで前半を作り上げると、中盤からは得意技の攻防に加え、坂井澄江のスマッシュマウスを皮切りに、往年のROH参戦女子の必殺技トリビュート大会に移行。SHIMMERでは歴史を変えたが、旧ROHでは時代もあり特別になり切れなかった者達の魂が技に乗り移り蘇る。
印象的だったのは、デイジー・ヘイズのハートパンチとマインドトリップ、更にミスチーフの裏必殺オブリタレイションをアティーナが放ったシーン。かなり前にプロレス界からはいなくなってしまった2人の技を、SHIMMERで活躍していたアティーナが再現するのは非常に感慨深い。
感動的なトリビュートコーナーを経て、終盤は雪崩式や必殺技を惜しみなく披露する展開。テーブルやダーティな演出を廃して、真っ向勝負に拘ったのは大正解。悉く技を返し続けたウィロー。最後もタップせずにレフェリーストップで終わらせる配慮も実に美しい。
錚々たるメンバーを差し置いてのPPVのメイン抜擢、それまでの試合が好勝負続きの異常なクオリティという大プレッシャーの中でも、最高のパフォーマンスをやり切り完走は実に素晴らしい。トリビュートも含めてROHだったからこそ意味がある内容。記録にも記憶にも残る名勝負です。
評価:****1/2
全体評価:10+