世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Double Or Nothing 2023 Review BCC対エリート/Four Pillars 4ウェイマッチ他

AEW Double Or Nothing 2023 5/29/2023

 
 

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AEWインターナショナル王座戦-ブラックジャック・バトルロイヤル
 ジェイ・ホワイトといった豪華メンバーでさえもバトルロイヤル送りにされる程の層の厚さ。とはいえ豪華メンバーを送ったからこそ各々にスポットが割り振りされており、全く見せ場がないことはない、それなりに配慮はあり、スワーブ×キース、ジェイ&ジュース×リッキーといったストーリーを表現した攻防も比較的多め。

 安定した内容ではあるが、その中で活躍したのはビッグ・ビルことモリッシー。AEWナンバーワンの動けるビッグマンが躍動し、存在感を示す。元WWEの経験とインパクトで磨いた実力を発揮していた。彼も過小評価されている選手。ある程度のシングルプッシュはあっても良い。

 そして最後のオレンジ・キャシディ対スワーブ・ストリックランドの攻防は特筆もの。互いのキャラクターと技術をオーバーザトップロープに押し込んで最高の魅せ方をしていた。フィニッシュシーンは何百回と見たくなる芸術。尻上がりに調子を上げて、 

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW世界トリオス王座戦-オープン・ハウス・ルール
ハウス・オブ・ブラック(c)(マラカイ・ブラック、ブロディ・キング&バディ・マシューズ)(w/ジュリア・ハート)対ジ・アクレイムド(マックス・キャスター&アンソニー・ボーウェンス)&”ダディ・アス”ビリー・ガン

 


 試合は全然見せ場を作れなかったが、入場のラップがキレキレ。リア・リプリー×ドミニクネタを的確に突いているマックス・キャスターの腕と、未だ元気な大ベテランビリー・ガンの健在っぷりは楽しめる。
評価:**3/4

 

 

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AEW世界王座戦-フォー・ピラーズマッチ(フェイタル・4ウェイ)
MJF(c)対”ジャングル・ボーイ”ジャック・ペリー対ダービー・アリン対サミ-・ゲバラ

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 AEWのことが好きか、AEWをDay1から観ているか否かによって評価は別れる試合。 

 その加点を抜きにしても、華やかでエネルギッシュな文句無しに好勝負級のクオリティは残していたが、MJFのクロスローズやペリーのキルスイッチといったそれぞれのメンターの必殺技を決めるシーン、MJFとダービーが再三掛け合ったヘッドロック・テイクオーバー(サイド・ロック・テイクダウン)といった彼らの関係性を示すシーンなどPPVのみ観るライト層とヘビーなマニアでは評価の乖離は起こり得る。

 そんなことは知ったことではないと、入場から試合終了までやりたいことを詰め込んだ27分。スポットの数をとにかく増やし、独創性に溢れていたインディ要素の強い4ウェイだが、メジャーとしてのスケール感を保ったのはMJFの存在。小悪党にも道化にも技巧派レスラーにもカリスマ・スターにもその時々で変化出来るカメレオン型試合運びは、試合のクオリティを格段に引き上げ、PPVの王座戦という格を保つ為に必要不可欠でした。

 コーディのクロスローズ、前回PPVでの決まり手であるルベルロックに留まらず、故クリス・キャンディードオマージュの雪崩式パワーボムとこれぞプロレスオタクというべきチョイスも見事。(キャンディードと対戦経験があり、MJFのことを良く把握している解説のタズもナイスフォロー。)

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 全員ハイクオリティを残す活躍を見せていたが、試合のタクトを握っていたのはMJFで、やはり押しも押されもせぬ主役。彼がいなければここまでの試合にはならなかったでしょう。これまでの4年間の総決算の様な4ウェイマッチであり、新世代の象徴達が、現世代の象徴へと変化を遂げた一戦。AEWファンにとっては感慨深いシーンばかりの大熱戦でした。

 文句無しに名勝負。

評価:****3/4

 

アナーキー・イン・ジ・アリーナマッチ
ブラックプール・コンバット・クラブ(ブライアン・ダニエルソン、ジョン・モクスリー、クラウディオ・カスタニョーリ&ウィーラー・ユータ)対ジ・エリート(ケニー・オメガ、”ハングマン”アダム・ペイジ、マット&ニック・ジャクソン)

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 生演奏のワイルドシングが鳴り響く中、T-モバイルアリーナの会場内全体で大乱闘。メインに無秩序なハードコアを持ってくるのは往年のROHオマージュか。4人で動くシーン個々で動くシーンを使い分けながら、試合を構築していく形。
 有刺鉄線が巻かれたチップのモニュメントへの投げやフォーク使用で早速デスマッチモードに入るモクスリーとケニー。コンコースでのジャイアントスイング、凶器を使わなくても1番ヴァイオレンスなブライアンと持ち味が存分に出た前半。ケニーやハングマンのみならずバックスの2人がここまでボコボコになる試合は珍しい。エリート全員が文字通りボコボコのギタギタにされる展開。
 ケニーのキャプテン・アメリカの様にゴミ缶の蓋をシールドとして使うアイデアはセスに教えたい。というような繋ぎの展開でも優れたアイデア力とアクション力で見逃せない攻防ばかりで、それを雑多にならず、多角的に発展させているのが見事。

 暴力と流血の限りを尽くしながらも、エリートだからこその楽しさが発揮されているので、鬱々とし過ぎないのも良い。素晴らしかった昨年の同形式を超える為のエッセンスとしては申し分ない。
 ストーリーの起点となったスクリュー・ドライバーを巡る攻防を随所に含みながら、爆破スーパー・キックという過去一のスーパー・キックスポットに、普段はする側の画鋲攻撃をバックスが、ことごとく喰らっていく流れも意表を突いてくる。

 そして仲直りしたケニーとハングマンの大立ち回りから総仕上げは、”世界一の嫌われ者”ドン・キャリスから竹下の裏切りでダーティなフィニッシュ。全ては飯伏登場、ゴールデンラヴァーズ再結成への布石ではあるものの、布石にしては余りにも凶悪かつエンターテイメント性に溢れた大乱戦でした。
 文句無しに名勝負。
評価:****3/4

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全体評価:8