世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

Impact Wrestling Rebellion 2023 Review スティーヴ・マクリン対KUSHIDA/ディオナ・パラッツォ対ジョーディン・グレイス他

Impact Wrestling Rebellion 2023 4/16/2023

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Impact世界タッグ王座戦-アルティメットXマッチ
ABC(c)(エース・オースチン&クリス・ベイ)対モーター・シティ・マシンガンズ(クリス・セイビン&アレックス・シェリー)
 Xディビジョンの始祖であるMCMGと新しい世代として引っ張ってきたABCのアルティメットX。飛んだり跳ねたりというよりは、連携を活用したシーンが多く、タッグである事を活かす形。

 腕や脚を痛めつけて動きを止める、1人が相手を押さえている隙にもう1人にベルトを獲らせに行く様な攻防もありと、華やかさでいうと期待値に届かないものの、技術面は高く、これまでとは異なる切り口を見せた創造性も豊かな試合。MCMGが華やかな攻撃を絞った分、ABCの華やかな攻撃を引き立てる展開となっているのも憎い。

 クオリティは中々良い試合レベルとはいえ、全ての意図が理解出来る試合内容なので文句のつけようはない。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

ラスト・ライツマッチ
エディ・エドワーズ対PCO
 オリジナルのラストライツマッチは、棺桶に入れて吊り上げたら勝利だったが、棺桶に入れたら勝利という形式にマイナーチェンジ。
 ハードコアが得意な2人であり、安定感を具現化させた存在ことエドワーズの安定感抜群の試合運びとPCOのクレイジーなキャラクターと立ち振る舞いがそれなりにマッチしている。

 棺桶戦という難しい試合形式の割には、しっかりまとめられている、流石エディとPCOと思う試合。エドワーズは、奥さんアリーシャが自身よりもヒールが上手い選手なので、それは武器にできるでしょう。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

Impact Xディビジョン王座戦-エリミネーションマッチ
トレイ・ミゲル(c)対ジョナサン・グレシャム対”スピードボール”マイク・ベイリー
 1人ヒールのミゲルを軸に据えたエリミネーション戦。個々の魅力は、TVプロレスを意識しない方がより出るものの、Xディビジョン×3ウェイ×TVプロレスのエンターテイメント性という難解なお題を上手く掛け合わせてまとめ切るのは、この3人と演者に損はさせないクリエイティブ陣の腕が光る。

 サブミッション使いのグレシャムは少し割を食う展開にならざるを得ないものの、ミゲルやベイリーはアグレッシブな攻防を連発。ミゲルはヒールプレイでアクセントを付ける役割も的確に努める。

 要所は独創的かつ立体的な3ウェイムーブで魅せる事でXディビジョンとしてのアイデンティティを誇示。脱落シーンも丁寧。決して年間ベストを狙う様な派手な試合ではないものの、ハードコアに挟まれた中締めとしては最適な試合内容となっています。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

ハードコア・ウォー
チーム・ブリー(ブリー・レイ、マーシャ・スラモヴィッチ、ムース、ブライアン・マイヤース、ケニー・キング)対チーム・ドリーマー(トミー・ドリーマー、キラー・ケリー、フランキー・カザリアン、上村裕也&ブルピンダー・グルジャー)
 ブリーとドリーマーのECW勢をメインに、寄せ集めメンバーによる出場機会救済企画。ハードコア慣れしているメンバーとそうではないメンバーの差が激しいので、クオリティは上がっていかないが、マイヤースやカザリアン辺りのベテラン勢が試合を作り、何とかフォロー。

 テーブルや凶器攻撃が沢山あるので、楽しめはするファンマッチをこのメンバーの割には上手くまとめた印象。平均より上。
評価:***

 

Impact世界王座新王者決定戦
スティーヴ・マクリン対KUSHIDA
 ジョシュ・アレキサンダーの長期欠場による王座返上により、ジョシュ対マクリンという寝かしていた最高のカードを失う事となり、急遽用意する事となったカード。6人タッグなどは挟んでも、ストーリーが生まれる様な組み合わせではなく、流石にマクリンに渡すだろうと思われている事前の予想通り、ベルトはマクリンに渡るのだが、内容で魅せたのがこの試合。
 マクリンがカナダ国旗を足蹴にするといったヒールプレイで、ニュートラルになりかかっていた立ち位置を改めてヒールに設定。

 WWE仕込みのわかりやすいヒールプレイで土台を作ると、こちらもWWE仕込みの表現と日本人の中ではトップのアメリカンプロレスに対する経験と理解度を誇るクシダが、一本を狙える武器を持つアンダードッグとして堅実な振る舞いを見せる。

 中盤以降は、重戦車マクリンの厳しい攻撃を凌ぎ、クシダがホバーボードロックを執拗に狙う展開。マクリンの必殺フルコースも返し、ギリギリの中でもギブアップを狙う攻防は、試合も会場も熱を帯びてくる。

 マクリンがトップ戦線に行く前に、Xディビジョン戦線で力を付けた経験値も、この試合に活きており、ミスマッチなのでは?と想像していた観る者の考えを改めさせる大熱戦に昇華。ジョシュ欠場の大ピンチに対し、マクリンとクシダを信じたインパクトクリエイティブ陣の勝利。

 試合後のプロモも含めて、狙い以上のリターンが生まれた一戦でした。好勝負。
評価:****

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Impactノックアウツ世界王座新王者決定戦
ディオナ・パラッツォ対ジョーディン・グレイス

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 こちらもミッキー・ジェームスが結局間に合わず、新王者決定戦となった王座戦。とはいっても、ジョーディン対マーシャと並んで、ノックアウト部門でトップの数え歌となっているカードだけに、この2人なら難なくメインを務めてくれるだろうという信頼を誰しもが感じている。

 その信頼に応えるかの様に、フェイス/ヒールを使わない形にしようとも、序盤のグラウンドから、場外ダイブを挟んだ場外戦、安定感のある中盤、そして一進一退の攻防で魅せた終盤と、重厚感満載の試合を作り上げる。

 ストーリーや試合形式の押し上げがない分、2020年の数え歌よりはスケールアップしづらい部分はあったものの、逆にいえばそれがなくとも、レスラーとしての能力のみで勝負出来る事を証明。WWEのメインロスターで活躍出来る存在に最も近い女子レスラー2人による確かな技術に裏打ちされた格式高いメインイベントでした。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

全体評価:9