世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

JAPW Review スティーヴ・コリーノ対ジェリー・ローラー/ロウ・キー対ブライアン

JAPW Stiff Dance 4/5/2002
トリプル・スレットマッチ
ロウ・キー対ホミサイド対”アメリカン・ドラゴン”ブライアン・ダニエルソン(w/キッド・クルーエル)

Jersey All Pro Wrestling - IndependentWrestling.TV

 ROHのあの伝説の旗揚げ興行『The Era Of Honor Begins』から2か月後、その旗揚げ興行のメインに登場したキーとブライアン。そしてその興行にも参戦したアフターECWの主役の1人ホミサイドが登場する3ウェイ。この時期でこのメンバーは!と心躍るものの、そこはJAPW。ストレートでは行かせてくれない。というのも敵陣に侵攻するブライアンは、クルーエルを携えヒールモード。

 そのクルーエルは、反則がない事を良いことに介入しまくる為、3ウェイではあるが、変則的な形になっている上に、このメンバーならバチバチ行ってなんぼの所もあるので、自ら外しに行った格好である。

それでも3ウェイの基本は押さえて、時折見せ場は作るので、完全に試合は崩れていないものの、この面子からするとかなり期待外れではある。史料として見るくらいで、IWTVでサッと見るのがベストの内容。平均的良試合。
評価:***1/4

 

JAPW Smart Only 6/7/2002
タップ・アウトマッチ
ロウ・キー対”アメリカン・ドラゴン”ブライアン・ダニエルソン

Jersey All Pro Wrestling - IndependentWrestling.TV

 先程の3ウェイで勝利を掠め取ったブライアンを追撃すべくキーが挑む。そして試合形式はタップ・アウトマッチ。所謂サブミッションマッチである。

 美しく鋭い試合を想像したが、相手を制圧する力強いグラウンドがまず目を見張る。そこに流れる様な攻守の移り変わりがあり、キーのドラゴン・クラッチとブライアンのキャトル・ミューティレーションを、互いが繰り出す掟破りもあり、ライバル関係を織り交ぜていくのが憎い。打撃の混ぜ方も上手く、軽さが一切ないのが素晴らしい。

 フォールが使えない中で、重厚感を打ち出すのは難しかったが、打撃や投げを使い、粗が出ないように上手く纏めた対応力も光る。

 かなり玄人好みな内容ではあるが、シュートスタイルの試合に必要なものを殆ど最高レベルで備えていて、それでいてMMA、バーリトゥード的というよりも、これぞプロ・レスリングだと言いたくさせるのはこの2人のセンスの高さを示していた名勝負。
評価:****1/2

 

JAPW Summer Shore Series 2002-

Royal Consequences 2 8/10/2002

ジェリー・”ザ・キング”ローラー対スティーヴ・コリーノ

Jersey All Pro Wrestling - IndependentWrestling.TV

 アメリカンプロレスはもちろんプロレスリングの華は、やっぱりナックルの切れ味だと再認識するのが、この”The King of Old School”ことコリーノと”メンフィスの帝王”ローラーの世紀の一戦である。ECWでは被っていないので、ああポールE、ECWが続いていればやりたかったかもなと思わせるカードであり、観たい内容を正確に実現した演者の腕も見事。

 試合中繰り出した技は、ナックル、フィストドロップ、パイルドライバーにコリーノの度重なるレフェリーのブラインドを突いた凶器攻撃これだけ。しかし、ナックルのキレは鋭く、ジャブ、ボディブローに振り切るストレート。試合展開、時間に応じた使い分けをしているので、またナックルかと思う事は決してなく、これしかないよなという説得力を生み出している。コリーノの凶器攻撃もコテコテ過ぎるものだが、これだけやってくれたらライブプロレスであれば大満足。わかりやすい勧善懲悪になっている上、ローラーの攻撃を完璧に引き立てたコリーノの受けも見事なもの。ローラーがまだ動きにキレがあるのも、試合のメリハリを生み出す意味では、重要な要素を担っていた。(それでも当時50歳だったのが本当に凄すぎる。)

 クオリティ至上主義、スポーツライクなプロレスに移行した今こそ、本来のアメリカンプロレスとはこれだという正真正銘のクラシックを堪能して欲しい。とはいえ今これをやるのは無理であり、インディレベルでこの内容が出来たのは、この2人の腕が凄いからなので、別に真似をする必要はないでしょう。ナックルが嫌な人はもう気絶するレベルなので見る必要はないですが、アメリカンプロレスに足を踏み入れた人は、是非見て欲しい試合です。単純な質を超える古典伝統芸能の面白さがここにある。

好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4