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みちのくプロレス レビュー2023 "運命のジュニア頂上対決" フジタ”Jr”ハヤト対高橋ヒロム

みちのくプロレス レックpresentみちのくプロレス30周年記念大会第2弾

岩手・矢巾町民総合体育館大会 10/15/2023

フジタ”Jr”ハヤト対高橋ヒロム
 東北Jr.ヘビー級王座とRIDET UWF王座の2冠王ハヤトと、IWGPジュニアヘビー王者のヒロムの運命の激突。この試合は、理屈で考えても素晴らしい試合。しかし、理屈抜きで物凄い試合。

 ガンサバイバー、痛みを抱えつつも王者にも返り咲き、トップとして再始動を進めるハヤトと皆が認めるジュニア世界一ヒロムの世紀の一戦は、試合の殆どを打撃戦に費やす予想だにしない展開。

 シューティングスタイルのハヤトに真っ向から打撃で食い下がるヒロムのタフさ、懐の深さが全開。ハヤトの蹴りに負けないほどの堅いエルボーと胸板を切り裂く様なチョップの数々で、ストライカータイプを圧倒するヒロムの凄さを体感出来る。ヒロムは凄さだけでなく、ハヤトの鋭い打撃を受け切るタフさも示し、それでなくダメージ表現やダウンの魅せ方のバリエーションの豊かさで試合を広げていく手腕も発揮。存在自体が物語であるハヤトという食材を最高の形で調理することに成功。

 ハヤトもヒロムのスタイルを取り入れつつ、軸はブレずに蹴り続ける。変に色気を出さずに、1番得意な形で貫き通す芯の強さ、それを可能にするフィジカル、テクニックの復調も見事。
 そして新日本の舞台でもなく、みちのくの東京大会でもなく、岩手・矢巾町民総合体育館で実現したことに意味がある。ドームやアリーナより客数は少なく、装置があるわけでもない。しかし、みちのくプロのホーム、超満員の空間で実現したことで、より魔法がかかった印象を受けた。

 この試合よりもクオリティがある試合はあるにはあるが、ヒロム対デスペラードやデスペラード対葛西に代表される様に、エモーショナルさはクオリティ偏重の試合を殺し得る。観る者の心を打つ、記憶に永遠に残り続けるマスターピース。

 文句無しに名勝負。
評価:****3/4
全体評価:7.5+