世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

ROH Final Battle 2023 Review "ジェイ追悼戦" マーク・ブリスコ&FTR対BCC/アティーナ対ビリー・スタークス他

ROH Final Battle 2023 12/15/2023

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AAAメガ王座戦
イホ・デル・ヴィキンゴ(c)対ブラック・タウルス

 


 タウルスは豪快な投げ技を持ちながら、ヴィキンゴには劣るものの、一線級のハイフライングも持つハイブリッドルチャドール。タウルスのド派手な攻撃に苦戦しつつも、ヴィキンゴも持ち前の超絶技で反撃。

 数え歌らしく持ち味を引き出し合う試合となっている。適正試合時間よりは長い為、間延びした部分も散見されたが、オープニングには贅沢過ぎる極上のルチャアクションでした。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

アイ・クイットマッチ
イーサン・ペイジ対トニー・ニース(w/”スマート”マーク・スターリング)
 ハードコア度は少なめだが、降参を迫るバリエーションの多さ、アイクイット戦らしい攻防も織り交ぜる形。AEW/ROHのこの手の試合にしては、デスマッチ度は最低限といったレベルだが、ベテラン2人の実力の高さにより、上手くカバーされている試合内容。

 ただこれくらい出来るのはわかり切っており、イーサンは過小評価されている。もっとプッシュされて欲しい。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

ROH世界TV王座新王者決定戦-Survival Of The Fittestマッチ
リー・モリアーティ対カイル・フレッチャー対コマンデル対リー・ジョンソン対ブライアン・キース対ダルトン・キャッスル(w/ザ・ボーイズ)
 キャッスルをコメディリリーフとして使いながら、6人に比較的平等にスポットを割り振りながらテンポ良く進めていった序盤。

 連鎖ダイブスポットからキャッスルの介入込みの脱落シーンは失敗だったが、プレショーでカートウィールを倒し、急遽参戦となったテキサス出身で支持も受けるキースが持ち前のハードヒッティングで躍動したところから、1段階ギアが上がり、トリとなったフレッチャー対コマンデルで大爆発。

 両者共実力も実績もある選手ではあるが、巨大ロスターの中では期待の若手枠に収まっていた。しかし、豪快でスリリングな一進一退の攻防を行い、一気にこの大会を彼らのものにした。コマンデルがビッグダイブを連発し、それを受け切ったフレッチャーが、鋭い攻撃を連発。

 この2人のマッチアップだけは、他と毛色が違う数段上の内容でした。ラスト2の大爆発でクオリティを大きく上げて好勝負に。
評価:****

 

ジェイ・ブリスコ・トリビュートマッチ
マーク・ブリスコ&FTR(ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)対ブラックプール・コンバット・クラブ(ブライアン・ダニエルソン、ジョン・モクスリー&クラウディオ・カスタニョーリ)

 

 

 ジェイ追悼記念ということで、2部構成。
 前半は通常の6人タッグで、素早く細かいタッチプレーと、武骨な削り合いを両立させ、最後は6人入り乱れての攻防から乱闘に転ずる形でノーコンテスト。

 マークの呼びかけで後半の反則無しFight Without Honor戦がスタートすれば、一転流血、凶器満載のハードコアファイトに。ブリスコズオマージュを挟みながら、ジェイが大好きで大得意だった乱戦を展開。有刺鉄線ラダーや画鋲テーブルにフォークとてんこ盛りでありながらも、無秩序でありながらもギリギリ一歩手前で、安定させるベテラン達の匠の技も光る。BCCの暴力性とそれに負けないマーク&FTRのタフさが交わる極上ハードコア。

 1試合で2度美味しいお得な試合。レスラーとしてもプロウラーとしても素晴らしいジェイを象徴するかの様な演出は、心打たれるものがあり、試合は試合で6人タッグだからといって全く手抜きなし。むしろ死力を尽くし切った激闘でした。

 名勝負。
評価:****1/2

 

ROH女子世界王座戦
アティーナ(c)対ビリー・スタークス

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 今大会ではダントツに長いストーリーを敷いてきたこのカード。鼻を骨折しマスク姿のアティーナは、ハンデを全く感じさせない強さでビリーを圧倒。今回のテーマである師匠超えは簡単にさせないと流血まで飛び出す程ビリーを追い込む。

 ビリーは超新星でシンデレラガール。実力も経験も19歳とは思えないレベルではあるものの、絶対王者アティーナの前では、さすがに存在感では劣ってしまうが、それはそれで想定内。高い身体能力と懸命な姿を見せ続けることで最大限価値が生まれる存在。ストーリーとアティーナのサポートによって、ビリーの未完成さは全て魅力となる。

 アティーナの得意技フルコースや雪崩式クロイツラスを受け切れば、ビリーも場外でのスープレックスやスワントーンなど厳しい攻撃を返していき、ボルテージはうなぎ上り。

 重厚な攻防の数々は、メインに相応しいものとなっており、格差は示しつつも、ビリーの可能性により、勝ち負けはわからない緊張感もキープ。ギリギリまで粘るビリーを、オーフェイスを使わずに奥の手的なサブミッションで仕留めるアティーナの老獪さも光った。

 アティーナの強さ上手さが光る中、ビリーも将来のメインロスターたる価値を改めて示し、チャレンジマッチ以上の大熱戦に昇華させた。ストーリーと試合内容がガッチリ噛み合った素晴らしいメインイベントでした。

 好勝負。
評価:****

全体評価:9+