世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

DEFY Wrestling The Realest Review "年間ベスト級の名勝負"スワーブ・ストリックランド対ニック・ウェイン他

DEFY Wrestling The Realest 4/8/2023

defyondemand.vhx.tv

 

DEFY女子王座戦
バートビクセン(c)対山下実優

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 アジャ戦よりは動き合えるカードの為、持ち味を出せるビクセン。身体能力が一定以上あり、技も多彩で器用。悪く言えば器用貧乏。ルックスも良いので、AEWがジョバーとして多く使っていたのも頷ける。東女への遠征は契約に近いコースだが、WWEやインパクトもほっておかないだろう。

 この試合では、山下が攻守に渡り試合を作っていたことで、熱戦模様に。ビクセンはまず何を1番の武器にするのか絞って行くことが、ステップアップの近道。それが出来ればメジャー団体への契約もしくは日本で大きなスポットを得る事は容易でしょう。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

マリーナ・シャフィール対ニコール・マシューズ

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 AEW本体ではDarkでスカッシュかTVマッチで負け役かと期待されている割にはポジションが上がっていかないマリーナ。その持て余したポテンシャルをインディでは、Darkでは当たらない様な実力者達に如何なく披露していく。

 今回ビザ問題がクリアとなり、晴れてDEFY復帰となるニコール。彼女もShimmer王座を2度戴冠している実力者であり、本来ならジェイド・カーギルに秒殺される様な選手でないことは言うまでもないので、是非キャリアを再生して、得るべきスポットを獲得して欲しい。

 マリーナのMMAスタイルに対し、真っ向から受けて立ち、ハードヒッティングも返していくニコール。マリーナが打撃の激しさを強め、ギアを入れていくも、ニコールも正確に受け止めて、試合を加速させていく辺りは、歴戦の猛者。ニコールが的確に反撃すればするほど、マリーナの秘めた怪物らしさが引き出されるので、これからもどんどん実力のある選手と当てたいところ。10分以内ではあるものの、密度の高い良試合。

 GCWでのマーシャ戦、REVOLVERでのビリー戦に続き、この試合を観ても、マリーナのポテンシャルにベットしたくなるモクスリーやブライアンの気持ちがわかる。AEWで光るかは不明だが、もう少し時間をかければ、少なくてもROHではメインロスターとしてプッシュ出来る存在となるでしょう。今やロンダやシェイナを超える存在になり得る存在。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

 

DEFY世界王座戦
スワーブ・ストリックランド(c)対ニック・ウェイン

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mdk2727.hatenablog.com


 1年前、スワーブのWWE離脱後初めてDEFYで戦った試合となった一戦(DEFY『50』)は団体のMatch of the yearに輝く程の試合となった。その後互いにAEW所属となり、ニックはまだ正式デビューはしていないものの、世界中のインディで活躍しており、互いに立場を変え、成長し続けた上で待ちに待った再戦。

 その1年間で築き上げた進化が、色濃く反映された試合内容となっていて、序盤はまずじっくりとしたレスリングから演舞的な攻防で魅了し、最も簡単にThis is Awesomeを観客から引き出し、この試合の期待値を更に上げることに成功。

 場外戦ではエプロンへのデスバレーや椅子トラップへのカナディアン・デストロイヤーを決め、印象的なスポットを追加。インディらしく振り切ったスポットを経た後は、ニックがあわやというところまで追い詰める形。

 終盤級のスリリングな攻防を中盤に配置した後、終盤に向けては場外戦でニックは流血、返す刀でスワーブの得意な腕折りを逆に決めたニックが、腕攻めで追い詰めるアイデアもライバル性を高める演出としては見事。

 アクション面、試合構築の巧さは当然最高レベルだが、成長したニックの表現力は、攻守共冴え渡っており、まさに天才そのもの。鬼気迫る表情で立ち向かうシーンは、まさにヒーローそのもの。単なる若手ハイフライヤーでは届かない領域まで若干17歳で到達している。そしてそのニックの今の実力、潜在能力まで全て引き出したスワーブ。悪いけれど格好良過ぎて見惚れてしまうまるでブラックパンサーにおけるキルモンガーの様な存在。

 TVプロレスとライブプロレスのバランスも上手く取っており、時間も攻防も丁寧に行い、無駄を省き過ぎなかったのは正解。この試合のスケールアップに役立った。クライマックスは、互いの必殺技フルコースを決め合う展開。AEWスターであるスワーブの格を落とさないクイックなどではなく、決着を付けたのも見事。DEFYのホームグロウンスターの2人だからこそ出来る特別な試合。ワシントンにスワーブ・ストリックランドとニック・ウェインありと言わせる名勝負。

 重過ぎず軽過ぎず、ラフもテクニカルもハイフライングも全て含まれているけども、あくまでもメインは神童ニック・ウェインが、最強の難敵ヴィランであるスワーブ・ストリックランドを倒し頂点に立つ事。貴重な新旧エース対決を、1年寝かせたのも正解。間違いなく2023年を代表する激闘。30分超えの試合時間があっという間に感じられたのが何よりの証拠。

 試合後、スワーブからのサプライズのアナウンスは、ニックが晴れて18歳を迎え、遂にAEWデビューが叶う。そのデビュー戦は、7/12 カナダ・サスカトゥーン大会。そこでニック対スワーブのリマッチを行うこと。そしてDEFY世界王座を賭けて戦うというもの。(実際に王座戦になるかは不明。)

 AEWとかなり友好関係を築いているDEFYとはいえ、一インディ団体にこの様なサプライズを持って来させたトニー・カーンの懐の深さとニック・ウェインがそれに足る存在である事を示した瞬間でした。文句なしに名勝負。
評価:****3/4

www.fightful.com

 

全体評価:8.5+