AEW Dynamite #184 4/12/2023
ダービー・アリン対スワーブ・ストリックランド
ダービーが奇襲を仕掛け、勢い良く攻めていく一方、スワーブは悪くクールに制していく。DEFYからのライバル対決もキャリアを重ねる事で、スター性が増し、別の領域に突入。スワーブは、新進気鋭のラッパーが、最高のレスリング技術を持って戦っている様な形で、既存のレスラー像に囚われない形を模索している。いつトップに立ってもおかしくない調子を維持している。
対するダービーも安定の試合運び。エンバシーの面々を絡めながら互いの格を守る様な形でフィニッシュとなったが、それまでの過程でお釣りが来るくらいハイレベルな一戦。印象的なスポットを配置し、互いのキャラクターを最大限反映させ、その他の攻防も上々。このカードにハズレなし。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
AEWインターナショナル王座戦
オレンジ・キャシディ(c)対バディ・マシューズ(w/ジュリア・ハート)
必殺オレンジパンチを放てば放つ程、負傷した右拳が痛むオレンジ。痛みに対する表現力の豊かさが光る試合展開。実力者マシューズ相手で右拳の負傷がなくても大変な戦いの中、キャラクターを残しつつも何とか切り抜けていく。
しぶとさとは1番無縁だったオレンジだが、もうその姿はなく、団体を背負うトップスターの風格が漂っており、真っ向からマシューズと打ち合える逞しさが印象に残る。
ルチャドール、元WWE、インディ上がり、シューター誰でも来いというAEWの中で1番の懐深さを見せ続けているスターでしょう。怪我なく休みなく毎週戦い続けているタフさ、安定的にクオリティを残し続ける技術はもっと賞賛されるべき。AEWの屋台骨を守り続けている重要な存在。
終盤でもオレンジパンチをキーにしつつ、激しくも印象的な攻防を続け、クールなフィニッシュも記憶に残る良試合でした。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
全体評価:7
AEW Rampage #91 4/22/2023
AAAメガ王座戦
イホ・デル・ヴィキンゴ(c)対ドラリスティコ(w/ラ・ファクシオン・インゴベルナブレ)
完全なルチャリブレ。最低限TVプロレスらしさは保っているものの、自由に飛び回るルチャの持ち味を示したショーケース。ノアでも活躍中の2代目ミスティコことドラリスティコが、USでも人気沸騰中のヴィキンゴに負けじと真っ向から空中戦に挑んだのは、トップ・エストレージャのプライドを垣間見た熱い展開。
ヴィキンゴも引くところは引き、返すところはド派手に返す。互いを高め合っていたのは印象的。数多くのハイフライングムーブにエプロンでのカナディアン・デストロイヤー、更にはドラリスティコ必殺のラ・ミスティカも放ちとAAAでも中々見る事が出来ない程の特別仕様。ショーケースレベルを飛び越えた大熱戦でした。
好勝負。
評価:****
全体評価:7
AEW Rampage #93 5/5/2023
ザ・ファーム・デリーション
ハーディーズ(マット&ジェフ・ハーディ)、アイゼイア・キャシディ&フック対ザ・ファーム(イーサン・ペイジ、ビッグ・ビル、リー・モリアーティ&ストークリー・ハサウェイ)
元祖シネマティックマッチことハーディーズのデリーションシリーズがAEWでも実現。マット・ハーディ家で戦うアメリカ版宇宙大戦争だが、ロケット花火や高所ダイブは出てくるものの、過去のシリーズに比べると演出は抑えめ。
マットも歳を重ね、ジェフは戻ったばかりで、ブロークン要素もブラザー・ニーロもウィローもおらず、高所ダイブはアイゼイアに任せている形。アイゼイアの喘ぎ声はさすがにバカすぎて面白いものの、ハーディーズの衰えと過去インパクトで行ったド派手さは抑えられており、物足りなさは残る。
その分The Firmの面々は大活躍。演技力花丸のイーサンが試合の軸を作り、ハサウェイのやられっぷりもさすがの技術。ビッグ・ビルことモリッシーも巨漢としての働きと見事な顔芸で貢献。TVプロレスの経験が多い面々は、格が違うところを見せつけた。
ドローンのA1を皮切りに、マットの奥さんレビーや叔父のベンジャミン、キングマクセルを筆頭としたマットとレビーの子供達も登場。ブロディ・リーの息子-1よりも先に1歳でレスラーデビューしていたマクセルもどんどん大きくなり、色気が出ていたのがハイライトの一つ。
結果的に、タズの息子フックとマットの息子マクセルの共演という歴史的な遭遇もあり、The Firmの面々の大活躍が光ったということもあり、楽しめたのは楽しめた作品でした。ただAEWのカラーには合っていないのと、ハーディーズの状態が悪かったのは残念。
平均より上。
評価:***