世界のプロレス探検隊

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ROH Death Before Dishonor 2022 Review FTR対ブリスコズ 2 / ルーシュ対ドラゴン・リー他

ROH Death Before Dishonor 2022 7/23/2022

 

www.fite.tv

 

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ROH世界王座戦
ジョナサン・グレシャム(c)(w/プリンス・ナナ)対クラウディオ・カスタニョーリ

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 沈み行く時、崩壊した時、リニューアルする前後で宙に浮いていた時全ての屋台骨を守り、世界中でROHの名前を残してきた男ジョナサン・グレシャムだが、急遽ヒールターンはさせられるわ、マネージャーだったタリー・ブランチャードはいなくなり、気づいたらプリンス・ナナのもと、エンバシーになっているわ、オープニングで10分少々だわとクラウディオの咬ませ犬にさせられるわとそれが巨大企業だから仕方ないとはいえ散々な扱いのグレシャムなのでキレたくもなる。

(※ちなみにクラウディオも元エンバシー。)

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 試合自体は華麗なレスリングからビッグマンのクラウディオを巧みに押さえつけるも、クラウディオの大技が炸裂と狙い通りの内容で仕事はきっちり行うも、あっさりとした内容には違いない。

 フェイスしかいないROHのチャンピオン勢なので、ヒールターンした今なら、TV王座ピュア王座タッグ王座トリオス王座も出番は回ってくるに違いないが、AEW/ROHがなくとも引く手数多のグレシャムなのでどの様な決断を取るかは気になる所。

 平均的良試合。
評価:***1/4

www.wrestlinginc.com

 

ROHピュア王座戦
ウィーラー・ユータ(c)対ダニエル・ガルシア

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 AEWを背負って立つ若手対決は遺恨が深く、序盤はラフも交える為、正直ピュアルールが邪魔に感じる程の荒々しさ。

 個々の要素は良くても、余り上手く回っていたとは思えないが、後半からは歯車が上手く噛み合い始め、ガルシア、ユータ共にキレの良い動きと表情作りの上手さを示し、試合の着火剤として用意したウォールズ・オブ・ジェリコ、ブルドッグ・チョーク、リーガル・ストレッチ(リーガルの現役時代を彷彿とさせるワインレッドカラーのタイツとシューズも芸が細かい)と互いの師匠の技を繰り出す仕掛けは大成功。

 ピュアルールの世界観から逸脱し過ぎずにライバル関係を高め上げたのは見事。まだまだ続きが見たくなる熱戦。サブミッションマッチやアイアンマンマッチ、ピュアルールがあってもなくても何でも出来る関係性なので、更に看板カードに高めて欲しい。 

 中々良い試合。
評価:***1/2

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ルーシュ(w/ホセ・ジ・アシスタント)対ドラゴン・リー
 兄弟対決はフルスロットルな肉弾戦。テーブル破壊はあるとはいえ、凶器を使わない狂気のハードコア。メキシコではビッグネームだが癖が強く、今のところアメリカ受けは余りしていないルーシュをプッシュするには最適の相手である身内。

 リーの攻守に渡ってタフでパワフルな面がジャストフィット。Holy Shit!級の攻防を連発し、見事な中締めとなった激戦。今週のモクスリー戦も非常に楽しみである。

 好勝負。
評価:****

 

ROH女子世界王座戦
メルセデス・マルチネス(c)対セリーナ・ディーブ

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 若きライバル対決と激戦となった兄弟対決の後は余りにも辛すぎるが、ROHそしてSHIMMERリバイバルというべき、女子革命の礎を築いた歴史を示すかの様な濃密な攻防。大会場向きの入りではないとはいえ、グラウンドの攻防をじっくり行った後、エプロンでのスピアー等大会場にも対応出来る派手な攻防も導入。

 セリーナは、田中将斗オマージュともいえるダイアモンドダストにバロスペシャルとレア技を次々披露しつつ、並行して脚攻めも導入。盛り上がりは薄すぎるが、それに惑わされず、やるべき事を全う。

 セレニティロックを巡る攻防はテクニックを感じさせ、その他も大技攻勢とニアフォール連発でボリュームアップ。このプロレス業界を腕っ節一本で渡り歩いてきたその証を見せつけた一戦でした。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

ROH世界タッグ王座戦-三本勝負
FTR(c)(ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)対ブリスコ・ブラザーズ(ジェイ&マーク・ブリスコ)

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 稀代の名タッグ対決第2ラウンドは、3本勝負。
 1本目は、ロングマッチを予感させる程丁寧に一つ一つの攻防を築いていくオーソドックスな展開ながら、熱さ鋭さは、1本勝負でも通用する程ハイレベルで、そこにハーウッドが肩を痛めているそのダメージ表現を織り込む事で、2本目以降への種蒔きも行う。16分もの時間を取るだけあり、出し惜しみなく必殺技の攻防まで行った末に、まずはブリスコズが先取。

 2本目は後がないFTRが反撃を狙うも、ダメージが残るハーウッドが捕まり、あわやストレート負けというところまで追い込まれる展開で意表を突く。ロングマッチだからこそ出来る演出だが、両タッグ共期待に応える。ホットタッグ成立からウィーラーが躍動。親友ベイリーオマージュのベイリー・トゥ・ベリーにゴリー・ボムと必殺コースもあえなくカットに遭う。

 カットする際も全力で行い、その流れで来たる3本目に使うテーブルのセッティング、ゴング攻撃でのウィーラーの流血を同時に行い、FTRフェイス、ブリスコズヒールという立ち位置を明確にする。数分間で正確に実現してしまうのだから天晴れ。そしてビッグ・リグでお返しし、これでタイ。

 運命の3本目は、消耗度の強い中最終決戦。レフェリー失神に幻の3カウント連発に特大のテーブル破壊と正直あえて試合を崩す代わりに、ドラマチックな面を強めた格好。ROHらしくないかもしれないが、大会場ということで細々とせずにスケールアップしたのは妥当な判断。クライマックスもシングルレスラーとしての実績も多いハーウッドとジェイを残した選択もクレバー。

 前回の名勝負の後、(ブリスコズが過去の差別発言により意図的にAEWから排除されている中で)ストーリーもじっくりと積み上げた訳ではない中であっても、実力で全てを証明した大熱戦でした。名勝負。
評価:****1/2


全体評価:9.5