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Camp Leapfrog Matt Makowski's Frogsport Review 神童マコウスキの驚愕テクニック&極寒! ソビエト・デスマッチ!!

Camp Leapfrog Matt Makowski's Frogsport 4/25/2021

 

Camp Leapfrog - IndependentWrestling.TV


準決勝
マット・マコウスキ対Yoya
 どちらも本家Bloodsportに参戦したシューター対決。技術はある両者だが、体格差が大人と子供位あるので、このルールだとマコウスキが受けてやってる感が強くなってしまうのはやむなし。ヨーヤが打撃を使って切り崩せたら少し変わってくるものの、殺伐とはしていない空間なのでこれもやむなし。小気味良いグラップリングを経て、最後はマコウスキの良く思いつくなと思う大技で一本。楽しめる内容です。平均より上。
評価:***1/4

 

 

準決勝
ジャナイ・カイ対ダリウス・カーター

 テコンドー黒帯のカイ対Beyondから流れ着いたカーターの一戦。カーターが徹底的に寝かせる形で、カイが何とか関節技で返していく展開。スタイル上スパーリングっぽくなるのは仕方ないが、カイの打撃を上手く使わせたかった。マイク・ベイリーの様な蹴りの連打は見応えがあるので、打撃ベースでグラウンドを織り交ぜれば、また違ったとは思うが、グラウンド主体でも良い攻防はあったので、悪くはない内容にまとまった。 

 ストライカー型の女子選手は決して多くはなく、海外ではより少ないので期待したい。将来の来日も期待したくなる。平均より上。
評価:***

 

ソビエト・デスマッチ
マーシャ・スラモヴィッチ対エディス・サーリアル


 丁寧に長尺の煽りVやロシア語の表記まで用意して、会場も雪が積もった空き地に組まれた白マットのリング。この徹底した世界観がまず高ポイント。そして徹底したハードコア。粗さはあっても緩くない。ハードな粗さは魅力になる。それはメジャーどころのレスラーと比べて粗さがあるだけで、インディレベルであれば有望株の2人なので、レベルは高い。試合構築もそのアングラ感とは裏腹に堅実に作り上げている。リングでの攻防と場外の攻防のバランスも良く、それでいてスポットはこれぞバックヤードレスリング!といいたくなるほどハード。

 マーシャはしっかりと流血しており、女子のハードコア/デスマッチ系の試合でも屈指の激しさである。安易にフォールに行かない所も徹底して、これでもかと大技を叩き込む展開も、銀世界が作り出す無機質な所を引き立てている。

 流血や屋根からのダイブ、椅子攻撃に留まらず、ウォッカ&ミスト攻撃、ロシアより愛を込めてと書かれたマッドマンポンドかホーレスボーダーばりのSTOP看板攻撃、田中将斗対グラジエーター/マイク・オーサムを彷彿とさせる場外ドアへのスーパーオーサムボムは、思わずSomeone call 911!!! と叫んでしまう驚愕の一撃。男子デスマッチでも中々ない徹底した潰し合いは必見。アングラではあるが、お遊び感に逃げずに、とことんハードコアに向き合った激闘。

 方向性は全然違うけれど、ナビエフをUSで見る前に、まさかマーシャとエディスのソビエト・デスマッチで満足できてしまうとは。ハードコア/デスマッチファンをも確実に唸らせる、まさに羊たちも獣たちも沈黙してしまう程の激闘。ただ激しく馬鹿騒ぎするのではなく、真摯に取り組み、考え抜かれた内容であるのが好感。
 大満足の好勝負で、今年を代表する一戦。個人的にはドレイク・ヤンガー対サムタック・ジャックのSAWデスマッチを思い出した激戦でした。
評価:****

 

決勝
マット・マコウスキ対ダリウス・カーター

 Beyondでは胡散臭いヒールの印象しかなかったカーターが意外なグラウンドテクニックを見せ応戦していたのには驚いた。しかし巧いを超えてくるのが対戦相手のマコウスキ。技術の上に極め、相手を仕留める関節技という意識が強いのが、流石元MMAファイター。

 プロレス的レスリングであるのはカーターだが、マコウスキの鋭い関節技を見てしまうと、ディッキンソン位技術を押し返せる圧がないと難しい。そこに打撃や投げも的確に織り交ぜていくので更に隙がない。まだまだ伸びしろがあるなと感じる部分もありながらも、何でこんなところで試合しているの?もっと大きいステージが待っているよと思いたくなるけれど、それでもこの環境を謳歌しているのを見るのも楽しめる。

 それでもカーターがあの手この手を使って諦めず、コンセプト通りの粘着質なグラウンドや脚攻めで立ち向かい続けたのも熱い。それがあったからこそマコウスキの凄さが引き立ったと言えるだろう。そしてフィニッシュの豪快な雪崩式飛びつき腕十字も芸術の一言。画になる一撃で仕留め、有終の美を飾りました。想像以上の激闘。

好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:9