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Impact Wrestling Hard To Kill 2023 Review ジョーディン・グレイス対ミッキー・ジェームス他 ~女子革命は永遠に~

Impact Wrestling Hard To Kill 2023 1/13/2023

 

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Impact世界王座戦-フルメタル・メイヘムマッチ
ジョシュ・アレキサンダー(c)対ブリー・レイ

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 Ace & 8sから早10年。いちゃもん付けおじさんとして堕ちたレジェンドブリーが、現世代最高レスラーの呼び声もある程の豪腕ジョシュをハードコア殺法で仕留めにかかるのがこの試合。奇襲からテーブル葬に流血とジョシュを追い込むものの、瞬く間に立て直すジョシュ。

 テクニカルでタフな試合のイメージが色濃いジョシュだが、ハードコアの経験値も高く、老いたブリーをサポートし、歴戦の経験値を引き出していたのが印象的。流石に51歳になり、以前の鋭さはないものの、大舞台に間違いを起こさないブリーも見事。

 数年以上ぶりのビッグマッチ抜擢に加え、ジョシュのサポート、数多くの凶器群、丁寧に作られたストーリー、ブリーの手下であるホッジ&スカイラー、ドリーマーにジョシュの妻であり、元レスラーであるジェイド・チャン-アレキサンダーの介入と、ECWテイスト満載の豪華な助演陣にも助けられ、恐らくキャリア最後であろう好勝負を演じた。

 前回特番から丁寧にストーリーを築き上げたこと、ブリーが築いてきた歴史、そして流血や画鋲を中盤に配置し、TLCを盛大に使用したことと、出し惜しみを一切しなかったのも要因。ジョシュのベストバウトリストに名を刻んだ熱戦。予想を遥かに超える素晴らしい内容でした。
 好勝負。
評価:****

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フェイタル・4ウェイ-#1コンテンダー・マッチ
マーシャ・スラモヴィッチ対テイラー・ワイルド対ディオナ・パラッツォ対キラー・ケリー
 スポットの回し合いの中でも、各々が何か一つ独創性を生み出そうと試行錯誤しているのが伝わる内容。見たことが無いムーブ、見たことのないアレンジを施しているムーブなど様々。10分切った試合時間の中でも魅力を出してくれる実力者揃いの4ウェイでした。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

エディ・エドワーズ対ジョナサン・グレシャム

 長々とグラウンドをしなくてもテクニックがある事を証明出来るテクニシャン対決。 上背のハンデをビルドアップした肉体でカバーするグレシャム。

 打撃のキレが増しており、腕攻めに絡めた波状攻撃も見事。相手が何をしても受け止めてくれる業界屈指の懐の深さを持つエドワーズだけに、持ち味がどんどん出てくる試合展開。

] エドワーズもハードコアキャラクターを封印し、ハードなチョップを中心にROHやノアで見せた様なハードでテクニカルなスタイルに、現在のヒールプレイを織り交ぜた形で応戦。序盤から密度の高い内容だったが、終盤からクライマックスにかけては、更にスリリングに。

 Honor No Moreがテーマの2人ではあるが、どこよりも誰よりもROHらしさが詰め込んだ大熱戦を演じました。好勝負。
評価:****

 

Impact ノックアウツ世界王座戦-タイトルvsキャリア
ジョーディン・グレイス(c)対ミッキー・ジェームス

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 負けたら即引退というノルマを課した中、強敵を倒し続け、遂に王者ジョーディンに到達したミッキー。キャリア23年、43歳となった大ベテランは、自らよりも遥かに若く強いジョーディンの脅威に対し、圧倒されつつも、老獪なテクニックとここぞという時のキレ味鋭い攻撃で反撃。

 まさにビッグマッチという様なスローな立ち上がりから、中盤は重厚にする意図を含みつつも、メリハリは効かせていく。一つ一つの攻防を丁寧に紡いでいき、意味のある内容に仕上げた。どちらが欠けてもこの試合は成り立たなかった。

 主役はミッキーだが、ジョーディンも主役と助演両方の活躍を見せていたのも大きなポイント。立ち位置的にはヒール調にならざるを得ないけれども、安直にヒールプレイを使うのではなく、持ち前の強さで巧く試合構築していたのが印象的。強靭な肉体と共に技術も身に付けた今のジョーディンは無敵。引退ストーリーを敷いた中でのミッキー戦でここまで存在感を示すのは並大抵のことではない。

 キャリアを通しても中々ない19分のPPVのメインイベント。ディオナ戦はハードコアだったが、今回は通常形式。騙しが効かない中で、レフェリー失神や介入、凶器攻撃を一切廃し、ノスタルジーに浸るのではなく、自身の限界を越え続ける。

 同世代のレスラーでフルタイムの選手は誰もいない中で、現世代トップの1人ジョーディンと対等にやり切った脅威的な試合。最後まで勝敗を見せない仕掛けも功を奏し、ペースが落ちずに完走。女子革命の旗手だったミッキーが、更なる革命をやり遂げた歴史に残る激闘。それを最高の形で支え抜いたジョーディン、裏方勢、メインに躊躇なく置いてくれる団体を讃えたい。これがWWEやAEWならば年間ベストを取ってもおかしくない。
 文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:9.5+