世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

Impact Wrestling Over Drive Review ジョシュ・アレキサンダー対フランキー・カザリアン/ジョーディン・グレイス対マーシャ・スラモヴィッチ他

Impact Wrestling Countdown To Over Drive 11/18/2022

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#1コンテンダーズ-Impact世界タッグ王座
モーター・シティ・マシンガンズ(アレックス・シェリー&クリス・セイビン)対バレット・クラブ(エース・オースチン&クリス・ベイ)

 疾走感溢れるスピーディーな攻防が続く軽量級タッグ戦。エースとベイの新日本参戦に向けた試運転要素はありながらも、MCMGがそれに負けない連携力と個々の技術でしっかりと凌駕していくあたりは流石ベテランといったところ。本編でも良いくらいの良試合でした。

 中々良い試合。
評価:***1/2

Impact Wrestling Over Drive 11/18/2022

 

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ミッキーは負けたら引退
ミッキー・ジェームス対テイラー・ワイルド
 負ければ引退というリック•フレアーを彷彿とさせる引退ロードを歩むミッキー。今回はTNA元KO王者テイラーを相手に、基本に充実なレスリングベースの試合を披露。渋い試合ではあるものの、ベテランだからこそ味を出せる、むしろ等身大の魅力が出た試合となっている。

 復帰後また休んで戻ってきたテイラーも状態は良く、ベルト戦線に絡んでも良いレベル。余りにも上を目指さなければ、引退を示唆するにはまだまだやれるレベルで活躍していたミッキーも貫禄十分。アンダーカードとしては十分な良試合。
 平均的良試合。
評価:***1/4

 

Impact Xディビジョン新王者決定トーナメント決勝戦
トレイ・ミゲル対ブラック・タウルス(w/クレイジー・スティーヴ)

 


 X級らしい軽快な攻防に、タウルスのルチャ要素もプラス。それでいて怪力を活かした豪快な投げ技もありと存在がチートなタウルスに対し、ルチャにも怪力にも対応し、土台を作り上げていくミゲル。もうどんな相手でもミゲルに任せておけば、ある程度問題ないだろうと言う所まで到達した事をこの試合でも証明。

 軽量級の魅力を残しながらも、世界王座戦でも通用する様な迫力や重厚感も備えている。タウルスの破壊力に耐えかねたミゲルがスプレー攻撃とヒールターンし悪の道に進んでいく展開も思わず頷ける程でした。ヒールチャンプとなったミゲルの今後にも期待したい。
 好勝負。
評価:****

 

Impactノックアウツ世界王座戦-ラスト・ノックアウト・スタンディングマッチ
ジョーディン・グレイス(c)対マーシャ・スラモヴィッチ

 BFGの再戦は、BFGの内容が認められたかPWGでも組まれた後に実現。

 ラストマン戦ということでデスマッチマーシャが発動する期待があるが、マーシャを凌ぐ勢いでジョーディンが高い完成度を示し、マーシャを凌駕。鬼神迫る表情でハードコア殺法にも打って出る予想を裏切る展開。場外戦や椅子を粉砕する程の投げ技を決めながらも、互いに脚攻めを織り交ぜ、立たせなくする理詰めの行動もアクセントになっている。

 ジョーディンの猛攻に叫びながら耐えるマーシャに声援が飛ぶ程。攻めで魅せるかと思いきや、絶妙なダメージ表現で引き込んでいく。脚攻めに対するセルは見事でした。 

 流血や画鋲など更なる過激表現といった要素がない為、スケール感は足りない部分があるとはいえ、ハードコア中心のタフマッチ+脚攻めとラストマン戦に対する解釈の仕方も実に考えられたもので感嘆の一言。

 ジョーディンはルックス面、アクション面での進化だけでなく、技術面でも自ら試合を作り、相手を引き出せるステージに到達。マーシャをネクストスターへと押し上げる事に成功。マーシャは、デスマッチ、ハードコアといった自らの強みを活かすだけでなく、応援を引き出す力も示し、ロシアのアサシンというキャラクターに留まらず、フェイスターンし団体を引っ張る存在になる可能性をアピール。
 最後もマッスルバスターの体勢に入ったまま、それをキープし鉄階段を登った上でバスターを決めるというウェイトリフティングの選手でもある怪力を持つジョーディンにしか出来ない凄技でフィニッシュ。これがWWE、AEWにスターダムなら業界を震撼させていたはず。名勝負。
評価:****1/2

 

Impact世界王座戦
ジョシュ・アレキサンダー(c)対フランキー・カザリアン

 AEWでのカザリアンしか観たことがない人ならば驚愕してしまう程の名勝負。インパクトを飛び越え業界を代表する名勝負製造機、ケニー・オメガやウィル・オスプレイに匹敵するベストバウトマシーンであるジョシュ・アレキサンダーの力を借り、キャリアの集大成を捧げたカザリアンの大立ち回り。
 力の籠ったロックアップに始まり、基本的な攻防からグラウンド、場外戦、X級らしい独創的な持ち技と丁寧かつ鋭く行っていき、この試合が特別である事を披露。動きは衰えていないものの、加齢から来る疲労の表現など、リアルと演技が織り混ざっているのも、この試合に賭けるカザリアンに感情移入したくなる演出。若い時のカザリアンにはなかった魅力である。

 対するジョシュはそのカザリアンの全てを受け止めた上で、試合を昇華させていく。ハードヒット、グラウンドの攻防とスタイルとしてはジャパニーズスタイルに限りなく近いけれども、地味渋や没個性にならないのがジョシュの魅力。圧倒的に強いし上手いが、受けに受けて弱さやダメージ表現を織り交ぜていくのかまた実に巧妙。まさに現代のカート・アングル。

 一進一退の攻防のみならず、試合を変化させる仕掛けも用意。10連続ジャーマン、レフェリー失神、カザリアンのライパルでもあるクリスチャン・ケイジの必殺技であるキルスイッチ、FortuneでTNA時代にステーブルメイトだったAJスタイルズのスタイルズ・クラッシュを披露。

 

 

 ノスタルジックにさせながらもアングルロック対チキンウイング・フェイスロックの絞り合いをメインに、手に汗握る攻防を演じる。雪崩式の攻防が上手く決まらなかったのも、普通ならブーイングものだが、これだけ肉体も気力も酷使したハードなロングマッチなら、疲労で技が上手く決まらないのもエッセンスとなる。40歳超えで世界王座戴冠を目指しキャリア全てを賭けるカザリアンなら尚更。

 ジョシュの力はあるとはいえ、一切頼っている印象を与えずに、己の力で名勝負を作り上げたカザリアン。キャリアベストといっても良い物凄い試合でした。通常放送の試合でも外していない上に、特番やPPVでも一切外した試合を出さないジョシュもやはり恐ろしいの一言。

 名勝負。
評価:****1/2

 

 試合後に王座挑戦権を持つブリー・レイが登場し、本性を表しヒールターン。次回PPVでの王座挑戦を悪さたっぷりにアピール。ブリーもTNA/インパクトの歴史であり、近年はコメントが炎上する人の印象しかなかったが、ジョシュ相手にもう一花咲かせられるか。

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全体評価:9