世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Full Gear 2025 Review カイル・フレッチャー対マーク・ブリスコ/ジョン・モクスリー対カイル・オライリー他

AEW Full Gear 2025 11/22/2025

www.trillertv.com


PAC対ダービー・アリン
 B&Gで火炎テーブル葬を喰らわせたPACが、そのダメージ色濃いダービーを力の限りドミネイトしていく展開。乱戦ベースだからパワフルなPACとダービーのハードバンプでしっかり形にしていくのは見事でした。中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW世界タッグ王座戦
ブロディード(c)(ブロディ・キング&バンディード)対FTR(ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)(w/ストークリー)

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 FTRの2人でも個々のレスラースキルは高いが、流石にプロディードの高火力を前にすれば別物。個々の破壊力満点のブロディードを狡猾に分断し、基本的に1対2の状況を作り続けるFTR。分断の仕方もストークリー活用やエプロンでの攻撃など全て同じ見せ方はしない徹底ぶり。そのFTRの高い壁を打ち破るかの様に、薙ぎ倒し続けるブロディードの良さも非常に光っている。

 終盤にかけては、一層スリリングな展開に拍車がかかっており、分断し続ける戦略はブレず、片方が復活するまでにいかに決められるかを突き通しつつ、連携技の数々にニアフォールやカットを駆使し、大ボリュームに。ブリスコズ×AOTF、ブリスコズ×丸藤杉浦オマージュのドゥームス・デイ・デバイス切り返しスパニッシュフライ(不知火改)は、特にハイライトとなった名シーン。

 十分凄い試合だったが、クライマックスにおける猛ラッシュで更に突き抜けたクオリティ。2組の持ち味が最大限発揮された好勝負でした。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

AEWナショナル王座初代王者決定戦-カジノ・ガントレットマッチ
 メンバーがChikara関係者ばかりなのは置いておいて、デマンド対ハートシンジケート、大悪党デスライダーズが続き、小悪党リコシェが制裁されるなど、基本は毎週TVに出ているメンバーばかりでサプライズはなかったが、出番順を工夫することで良い化学反応を起こしている。

 ストーリーの反映させ方が秀逸で、その上一つ一つの攻防も完成度が高い。AEWの良さを残しつつ、WWEの様な洗練さを纏っているガントレット戦でした。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

ノー・ホールズ・バードマッチ
ジョン・モクスリー(w/マリーナ・シャフィール)対カイル・オライリー

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 奇襲テイクダウンからスタートし、グラウンドの応酬から激しい打撃に移行するAEW版Bloodsport。

 同時代に東海岸インディで活躍はしたものの、CZWとROHに分かれており、WWEでもメインロスターとNXTで交わる事のなかった両者の遭遇も最終局面。

 シュートスタイルで終わらせることはなく、モクスリーが持ち込んだフォーク攻撃でそれぞれ大流血となり、その姿のままサブミッションを極めていくエクストリームシュートスタイルマッチ。デスライダーズ以前のモクスリーが帰ってきており、これはもしや追放?と嵐の前触れを感じさせるものではあるものの、やりたいことがやれるうってつけの相手であるオライリーと大流血サブミッションバトルを披露。

 フォーク、チェーン、椅子とこれまで築いてきたストーリーを絡めつつ、勢いを失わずに完走。モクスリーの原点回帰と流血戦に対応するオライリーの新境地開拓を同時に成功し、クオリティも備わっているのは見事。賛否両論が出やすい好き嫌い分かれる内容だが、完成度は段違いでした。
 好勝負。
評価:****

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AEW TNT王座戦-ノーDQマッチ
(マークは負けると、ドン・キャリス・ファミリーに強制加入)
カイル・フレッチャー(c)(w/ドン・キャリス)対マーク・ブリスコ

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 5戦目となり、背水の陣のマークはDCF入りを賭けることとなる。前回の対戦から既にハードコア度は上がっていたが、明確にノーDQということで凶器攻撃がメイン。流血被りはしているものの、モクスリー対オライリーがチェーンとフォークというデスマッチ系凶器であるため、この試合は、徹底的にTLC、有刺鉄線、画鋲とハードコア要素に振り切った形。

 多彩な凶器群を徹底的に駆使し、互いの肉体を痛めていき、一つ一つの攻防、スポットの完成度が非常に高い。AEWらしく過激度も中々高いが、試合形式の妙、フレッチャーとマークが築いてきたブランド力もあり、ハードさが際立ってもそれ以上に魅力が勝つ。DCF十八番のスクリュー・ドライバー攻撃を織り交ぜながら、ニアフォールの攻防で魅了し、ラストスパート。

 飛ぶ鳥を落とす勢いのフレッチャーの勢いとマークだけでなくジェイの魅力も兼ね揃え、1人ブリスコ兄弟として完全体に進化を遂げたマークの活きの良い闘いぶりも見事。フレッチャーは真のトップスターへと更なるステップアップに向かい、一方では今年のAEW内MVPの1人マークに勲章がもたらされたのも嬉しい結末。

 内容と結末両方に花丸をあげるべき立派なハードコア・プロレスリングの逸品です。
 名勝負。
評価:****1/2

 

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AEW女子世界王座戦
クリス・スタットランダー(c)対メルセデス・モネ

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 ハードコア、デスマッチ、特殊形式満載の大会だが、レスリングに拘るモネのイデオロギーが全開の一戦。それがたとえクレイジー団体AEWであってもそれはブレない。スタットランダーのアスリート性とモネのテクニックのせめぎ合い。

 モネが完璧に試合をコントロールするものの、理屈を超える力で制すことが出来るのがスタットランダー。モネはラッパー的な成功を雄弁に語るキャラクターだが、本質的にはエディ・ゲレロの様に強敵を狡猾に乗り越えていく時こそ真価が発揮されるレスラー。相手が自らの格と同格それ以上であればある程、モネの魅力が引き出されていく。それまでの試合で燃え尽きた観客達に良い意味で媚びない。己の描きたい芸術を貫き通す。

 スタットランダーもモネの芸術を補佐するレスラーとしては、トニーに次いで優れている存在。安定感が増しており、一撃の破壊力は業界随一。エディムーブを繰り出すモネに対し、AEWの裏方であり、エディの仲間、宿命のライバルであるディーン・マレンコの雪崩式ガット・バスターやモネの唯一無二の盟友であるベイリーのベイリー・トゥ・ペリーを披露するといったエモーショナルになるシーンも印象的。

 予想以上に唐突なフィニッシュではあるものの、全編通して芸術点の高い熱戦。通常形式のこの様なレスリングマッチがあると大会が締まる。
 好勝負。
評価:****

 

AEW世界王座戦-スティール・ケージマッチ
“ハングマン”アダム・ペイジ(c)対サモア・ジョー

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 流血もハードコアも既に出てしまった長丁場の大会。燃え尽きた観客と払拭出来る程はハネてはいないストーリー。別にクオリティを狙いにいくことは出来るトップスター2人だが、デスライダーズストーリーと同じ様に、クオリティ度外視のストーリー重視の試合。

 大流血と介入にサプライズで形にしており、試合後のスワーブ復帰で消し飛んではいるものの、メインとしては我慢出来る最低ラインを踏み外さなかっただけで、満足は出来ないレベルでした。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

全体評価:9.5+