世界のプロレス探検隊

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センダイガールズプロレスリング 7.15 後楽園ホール大会レビュー ジョーダン・グレイス対橋本千紘/岩田美香対安納サオリ他

センダイガールズプロレスリング 東京・後楽園ホール大会 7/15/2024

ハードコア・マッチ
DASH・チサコ対渡辺桃

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 仙女対スターダムの団体対抗戦によるハードコア。しかし両団体で両者がハードコアに挑む形は異なる。チサコは、シングルもしくはインタージェンダー戦でハードコアに挑む事が多いのに対し、桃は、多人数戦もしくは介入の手段としてハードコアに挑む事が多い。スタンスが異なる両者。

 確かにこの試合のハイライトは、チサコによる巨大ラダーからの場外テーブルへのスプラッシュ。ジェフ・ハーディさながらの決死の1発は凄まじい年間ベスト級のメガスポットである。

 ただ、この試合が昇華されたのは、大江戸隊の介入を最低限に抑え、ハードコア戦の構築、凶器を扱う技術では確実に差があるチサコの猛攻を、完璧に受け切った桃の決意とタフさである。スターダムのトップレスラーでしょ?要所はチサコが全部受けて負けるんでしょ?という穿った見方を全部塗り替えたことが勝因。

 勿論ハードコアではなくとも、十分素晴らしい試合が出来る両者。実際通常技の攻防のレベルも高かった。

 その中で、これでもかとボコボコにされた桃と遠慮なく潰し切ったチサコ。かといってワンサイドではなく、桃の反撃も有刺鉄線バット使用や場外テーブル葬もインパクト十分。結果両者とも勝者と言いたくなる内容。

 何か渡辺桃の新章のターニングポイントとなる様な試合。完全にこの試合が今大会に火を付けたのは間違いない。

 好勝負。
評価:****

 

ジョーダン・グレイス対橋本千紘

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 橋本千紘をパワーで押し込める怪物がこの業界にいたのか…という点と、今のジョーダンをパワーで押し込める日本人が存在するのか…という2つの驚きにより形成される怪獣大戦争。

 スーパーアスリートであり団体のエース、日本の宝である橋本が、TNA 3度のKO王者、ロイヤルランブル参戦、PLEでNXT女子王座挑戦と半分WWEスーパースターであり、今や男女関係なくTNA1番の看板選手となったジョーダンががっぷり四つ、真剣勝負で渡り合う、それだけでこの2人にしか出せないエピックモーメント。

 今や業界で飛ぶ鳥を落とす勢いのジョーダンをねじ伏せて倒すのではないかという橋本の猛攻に対し、ジョーダンもパワフルさだけではなく、受けで試合を作る構築のバリエーションを見せた事で、橋本の怪物性がストレートに試合に反映され、展開に幅をもたらす事となった。業界随一の肉体を持ちながら、硬軟使いこなせるのがTNA女子部門の至宝。

 4,000枚を超えるのチケットがソールドアウトとなったTNAの周年大会スラミバーサリーを翌週に控え、怪我をさせたくない中、このタイミングで試合実行とここまでのハードな内容を許可したTNA側も英断でした。メジャーインディ関係なく、世界トップクラス、理屈を超えた唯一無二の肉弾戦を生み出しました。

 好勝負。
評価:****

 

センダイガールズワールド選手権&ワンダー・オブ・スターダム選手権 ダブルタイトルマ
岩田美香(c)対安納サオリ

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 ファストペースで突っ走った2月の試合の時点で、既に高い完成度と相性の良さを示し、更に6月のダブルタイトル戦では、積極的に溜めを作っていくことで、大会場と二冠戦に相応しいスケールの大きさと重厚感を追加し、本抗争の一つの到達点に辿り着く。王座流出という失態に塞ぎ込んだ安納が、盟友なつぽいや当の岩田の激により、再起していくストーリーもあり、迎えた3戦目。

 2月、6月で見せた稲妻の様な激しく疾走感溢れる打撃の応酬、サブミッションを交えた足や首の部分破壊攻撃主体だった2戦と比較すると、スピード感や攻防の激しさは一定レベル保ちつつ、覚悟を決めたことを示す安納の神妙な表情、意図的に溜めを作ることでストーリーを表現。

 赤い炎は中で燃えているが、その周りに青い炎も燃えているかの様な、激しくもテンションを少し抑えた試合構築は、これまでとは異なる新基軸を生み出したといっても良い。大事な3戦目で新たな挑戦を持ってくるほど世界観の共有もなされており、互いがこのカードに自信を持っている証明である。

 ただ、ある地点までは、疾走感で走り切った2月の試合、重厚さと完成度を高めた6月に比べると流石に劣るレベルだった。それを超えるきっかけになったのは打撃の打ち合いから。安納による衝撃の張り手を喰らいながらも鋭いキックで返す岩田。そこから頭突きも交えつつ、得意技の応酬。急激にギアを入れるとそこからは無敵状態。これぞ女子プロレスという意地の張り合いにより、試合を格段にスケールアップ。

 最後もなつぽいの必殺技フェアリアル・ギフトを決めるなどストーリーを踏まえた画作りも的確。前半を溜めた分、後半の爆発力は今抗争随一。説得力満点のラストスパートで一気に心奪われる。複数の選択肢、アイデアどれを選んでも、最終的にはハイレベルにまとめることが出来る。これぞ数え歌というべき安定感も見事。3部作のフィナーレに相応しい死闘でした。

 好勝負。
評価:****

全体評価:9+