世界のプロレス探検隊

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GCW Cage Of Survival 2 Review ジョーイ・ジャネラ対エル・デスペラード/マーシャ・スラモヴィッチ対山下りな他

GCW Cage Of Survival 2 6/4/2023

 

www.fite.tv

 

 

 

 

イホ・デル・ヴィキンゴ対ニンジャ・マック

 

 GCWでブレイクを果たし、日本に進出し、そのまま日本でもGHCジュニアヘビー級王座を獲得するなどスターとなったニンジャ。

 ただ、ニンジャが日本に行っている間に、ルチャ旋風の目玉として登場し、瞬く間にニンジャのスポットを埋めるどころか、メインイベンターと化したヴィキンゴの激突だが、想像以上にスイングした内容となった。

 ハンドスプリング系の技を両者多く持っており、高い身体能力でまず魅了していく。それだけだとスポットフェスト的な展開に寄りがちだが、序盤にルチャ要素溢れるグラウンドをある程行い、それが嵌ったことで、しっかりと土台が作れた為、中盤以降に演舞的な攻防の比重が多くなっても、スポットフェスト感が少なく、小気味良いけれど、軽すぎない絶妙なバランスのルチャアクションに昇華していた。

 ニンジャのレスリング力が遥かに高くなっていたのも非常に実感出来る。華麗な高難易度のハイフライングにしても、少しズレても余裕を持ってフォローが出来たのも、この試合が壊れずに良い内容のままキープ出来ていた要因。

 手を重ねたり、ハードコア要素を追加したりすれば、決して好勝負級も夢ではない。また観たくなる熱戦でした。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

イースト・ウエスト・エクスプレス(ジョーダン・オリヴァー&ニック・ウェイン)&”スピードボール”マイク・ベイリー対アレック・プライス、ジミー・ロイド&ジャック・カートウィール

 試合構成としては、とことん勢い重視といったところだが、業界でも有数の実力を誇るメンバーを揃えて、15分を与えたら、これくらいは朝飯にやりますよと言わんばかりに見せ場多数のトリオスマッチ。この中では1人劣るロイドも何とか試合を壊さずに付いて行けていたのは感心。

 中々良い試合。
評価:***1/2

 

デスマッチ
エル・デスペラード対ジョーイ・ジャネラ

 新日本対DDTの構図でデスマッチを行う、デスペラードだからこそ実現したカードと試合形式。

 デスマッチレスラーではないけれども、デスマッチやハードコア大好きなデスペラードと、ザンディグとのデスマッチから成り上がって、その後デスマッチはせずに、ハードコアレベルで抑え、その分レスリング力を高めて地位を向上、確立させてきたジョーイの激突。

 その為、ベースはレスリング。通常形式にデスマッチ要素を織り交ぜていく形を取っており、無秩序デスマッチが多いGCWでは珍しい試合展開となる。

 普段のジョーイなら良くも悪くもラフ一辺倒になりそうな場面だが、デスペラードに配慮しながら、ペースを守り、多少停滞感が生まれても気にせずに、レスリングベースのデスマッチをキープしていた。

 デスペラードもデスマッチを主戦場とはしていないが故に、通常技を優先し、勢いに乗り切れていない場面は散見されたが、要所は凶器攻撃と流血でカバーは出来ている。無秩序で過激なデスマッチを求めるGCWファンからすると物足りなさを感じてリアクションが薄いシーンもあったが、これがNJPW STRONGでやれば熱狂と驚きの連続になる為、噛み合わせが良くなかった、アンラッキーだった。

 この異次元カードで、ここまで過激度もあり、流血やハードバンプもあり、プロレスとしてもクオリティと面白さを備えていれば十分。実現してくれて良かったと実感出来る良試合には仕上げることは出来ていた。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

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GCW世界王座戦-ケージ・オブ・サバイバルマッチ
マーシャ・スラモヴィッチ(c)対山下りな

 


 TOS8覇者の山下を迎え撃つマーシャ。世界王者対ウルトラヴァイオレント王者の王者対決となる。ケージオブサバイバル戦ということで金網戦をイメージするが、金網の中で戦うのではなく、2面に金網が置かれ、残りの2面はロープがなく、スカフォードが置かれている面、有刺鉄線スパイダーネットが置かれている面とCZW Cage of DeathやTangled Webのリバイバルと言っても良い装置。

Sami Callihan vs. Danny Havoc | CZW Cage of Death XI - YouTube

 

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 試合開始から必殺級の技を織り交ぜながら、ガラスボードに蛍光灯を積極的に導入していき、早々に流血。山下がハイテンションでアグレッシブに攻めていき、マーシャはインパクトでも学んでいるTVプロレス的なデフォルメしたダメージ表現を使うことで、わかりやすい見せ方も行っていく。

 ハードなデスマッチを作り上げていく一方、デスマッチをやらなくても良い程、通常形式でもかなりの実力者である両者だけあり、デスマッチアイテムを使っても使わなくてもどの攻防でも確実に加点を作り出せるのは強い。様々な凶器群も手広くテキパキと見せ場を生み出していく対応力も高評価となる理由の一つ。金網や有刺鉄線スパイダーネットといった難しい凶器も確実に使いこなしていた。

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 マイナス面は、クライマックスに使用するスカフォードが前日の決勝と被っている点(スポットとしては壮絶な一撃)、何といっても今年の裏WMのGCW版MITBラダー戦を勝ち上がったブレイク・クリスチャンの介入。それ自体は残念そのものだが、ニック・ゲイジを倒したマーシャをクリーンに負けさせる訳にもいかないので、理解は出来る。しかし、この試合が想定以上に素晴らしい試合となった為、ガッカリ度が強くなってしまった。

 最後はBullshitな締め方とはいえ、兎にも角にも、両者のレスラーとしての実力、デスマッチレスラーとしての実力、両方が爆発した好勝負。2010年代前半、モクスリー、サミ、ドレイク、ダニー辺りが一線で活躍していた時のCZWテイスト満載のデスマッチでした。

 好勝負。
評価:****

全体評価:8.5