世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

GCW Holy Smokes Review ドリュー・パーカーラストシングルデスマッチ/山下りな対ケイシー・カーク/ジャネラ対VENY

GCW Holy Smokes 3/4/2023

 

www.fite.tv

 

GCWエクストリーム王座戦

ジョーイ・ジャネラ(c)対VENY


 スタートからVENYを自らの全力を出すに相応しいレスラーと位置付けているジョーイ。昨今のレスラーとしての好調さを物語る様に、ハードコアに頼らなくても通常技で熱戦を構築出来る腕前を披露。ハードヒットに鋭角な投げでVENYを追い詰めていけば、VENYも橋本千紘の様な世界有数の剛腕に対しても真っ向から勝負出来るタフさを披露。

 持ち前のハイフライングを武器にジョーイと真っ向から打ち合う。エプロンへの投げや急角度デスバレーやブレーンバスターで削り合った後、自然な流れでドアを投入し、ハードコアに移行したのも、これまでになく説得力が備わっていた。ポテンシャルを発揮しきれていなかったVENYが遂にアメリカで真価を発揮した激闘。それを引き出したジョーイも流石の活躍でした。

 好勝負。
評価:****

 

 

イホ・デル・ヴィギンゴ対アレックス・ゼイン

 ヴィギンゴの曲芸を全面に押し出した内容。度肝を抜く凄技の数々は圧倒させるものの、試合時間が20分超えの長さな上、ゼインのルチャの対応力も他と比べると不足している部分もある為、無理くりハードコアを交えて体裁を整えたスポットフェスト。しかし、光る攻防も多くあるので、高評価となる理由も理解は出来る。
 平均的良試合。
評価:***1/4

 

GCWウルトラヴァイオレント王座戦
山下りな(c)対ケイシー・カーク

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 元ICWアメリカンデスマッチ王者ケイシーが山下と禁断の遭遇。近いけれども遠かった場所にいた現在のデスマッチ女王の激突とあり、期待値は最高潮。

 男子レスラーを凌駕する豪傑同士だが、蛍光灯へのセルフバンプに代表される様にジャパニーズスタイルの盛り上げをする山下と、無理にテンションを合わさないケイシー。ハードパンプとインパクト負けしない攻撃は、互いの共通項だが、微妙にスタイルが違う所、アッパー的に盛り上げる山下に合わせたくなる所を堪え、自らのスタンスを崩さないケイシー、自らが持つ世界観、ICW NHBで築き上げてきた経験をそのまま持ち込んでいたのは見事。

 会場にいるファンが殆どICW NHBも観ているマニア達ばかりなので、ケイシーへの認知、支持を示したのもケイシーがスタンスを崩さなくても良かった要因。

 勿論試合内容自体はかなりハード。標準攻撃で蛍光灯にガゼットプレートを徹底的に使い、要所でガラスボードも豪快に使用。場外有刺鉄線ドアへのスーパープレックスを放ったのは今大会のハイライトの一つ。もう終わっても良いスポットだったが、ギアは更に加速。

 大量の蛍光灯に、頭部への椅子攻撃は双方ノーガード。更にケイシーの必殺技サイコドライバー・ファック・ユア・ライフ、山下の必殺技フルコースと引き出しフルオープンの死力を尽くした大熱戦に昇華。序盤から中盤にかけて停滞しかけた所もあったが、中盤以降のフルスロットル感であっという間に持ち直した。GCWは初参戦となるケイシーに対して、予想に反して最大限活躍の場を与え、山下りなに比類するデスマッチ女王である事を提示したのがこの試合がハネた要因。
 ICWでもH2Oでもそして日本でも再戦が見たい凄惨なデスマッチでした。

 好勝負。
評価:****

 

 

 

伊藤麻希対ルフィスト

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 試合内容というよりも、MDKニック・ゲイジの入場曲 メタリカ『for whom the bell tolls』で登場した伊藤だが、対戦相手のルフィストは、2006年にゲイジとCZW 『Cage Of Death VIII』にてケージ・オブ・デス戦で戦っており、ある意味では伊藤よりもゲイジのことを知っている。今カノと元カノを見る様な展開だったのが興味深かった。

Zandig vs. Nick Gage vs. Lobo vs. LuFisto | CZW Cage of Death VIII - YouTube

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ドリュー・パーカーズ・ラスト・シングル・デスマッチ
ドリュー・パーカー対ジョン・ウェイン・マードック

 アメリカでのデスマッチだけでなく、シングルのデスマッチは最後となるドリュー。デスマッチ路線ではないゲイジを除けば、一騎打ちをしていないのはマードック。ドリューの最後の晴れ舞台に相応しい最高の対戦相手といえる。

 特別仕様の白いコスチュームで揃えたマードックと感極まった表情のドリュー。決して参戦した数は多くないが、残した功績をリスペクトするかの様に温かく迎えた観客と整った舞台に応える様に、丁寧に攻防を築き上げていく。

 ガゼットプレートにダーツと十八番の凶器から、蛍光灯にガラスボード、場外破壊とシンプルかつ威力の高い凶器を次々と被弾していく。気を衒った攻防はなく、シンプルに積み重ねる。互いのレスラー能力の高さを感じ取れる重厚な内容。

 終盤は、ドリューによる必殺のスワントーン対マードックの必殺ディープサウス・デストロイヤーの乱れ打ちで盛大に。レスラー業を引退する訳ではなく、デスマッチ引退戦は日本で控えているだけに、エモーショナルさは打ち出しつつも、悪い方向に重くならない様に、試合の厚みだけ増していく選択が絶妙。ドリューのパフォーマンスも素晴らしかったが、それを下支えしたジョン・ウェイン・マードックの巧さ溢れるデスマッチでした。好勝負。

評価:****

 

 

 

全体評価:9