世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

Impact Wrestling Review 2022 "脅威の1時間マッチ" ジョシュ・アレキサンダー対マイク・ベイリー

Impact Wrestling #957 12/8/2022
Impact世界王座戦
ジョシュ・アレキサンダー(c)”スピードボール”マイク・ベイリー

youtu.be


 インパクトのトップ2人であり、2022年のMVP候補であり、現在のBest in the world2人の激突が年末にセッティング。1年の総決算に相応しいカードは、結果的に1時間マッチとなったので、試合内容を見ていこう。

 冒頭10分は基本技が多く飛び出す静かな立ち上がり。ロングマッチであることを仄めかすかの様な、ジワジワと相手を削っていく展開。豪快な投げなどはないものの、強烈な打撃で締めて激しさを演出した後、10分経過し次の10分へ。

 10分〜20分は、少しずつ大技を解禁しながらも、軸となるアンクルロックとベイリーがこの試合限りとなる腕へのサブミッションを解禁。リバース・ハリケーン・ラナといった一撃も飛び出し、次第に死闘感を強く表現。ベイリーの猛攻にダウンベースの受けで応えるジョシュ。この辺りの剛柔使い分けられる辺りは、ジョシュの上手さである。

 20分経過。ここまででも十分に好勝負レベルのハイクオリティ。だが試合は続き、攻防も場外ダイブや高さを使うもの、エプロンへの投げといった環境を変えたものも解禁することで、ダメージの濃さもより色濃くなってくる。腕の痛みでC4スパイクが打てない細かな演出も付加。

 30分経過。後5分位でまとめれば、名勝負レベルは確定だが、更なる高みへと歩み出した後半戦。勢いは落ちず、かといって垂直落下技連発の様に過激化の一途を辿る様なこともせず、アンクルロックや互いの得意技や必殺技を散りばめながら、序盤で放つ様な得意技のシークエンスに立ち戻り、熱気を保ちつつ時間も上手く消費する。文字にすれば簡単なことかもしれないが、選ばれし者しか出来ない領域。TVプロレスとしての魅せ方も心得ているので、玄人好みに寄りすぎないのも大きなポイント。

 40分経過。
 残り20分は消耗戦の度合いがかなり色濃くなり、ラストスパート。ハードコア要素を付け加える程が簡単ではあったが、それはしない硬派な選択。ベイリーの猛攻でジョシュが追い込まれる立場だったのが、次第にジョシュが追い詰め、ベイリーがアンダードッグ性を活かし、どこまで耐えられるか、一発逆転はあるかと前半とは180度展開が変わる流れなのは憎い演出。ジョシュの大技&アンクルロック地獄を耐え抜いたベイリーが大逆転を狙うも、という展開も両者の特性が非常に反映されており、素晴らしい締めくくり方でした。

 35分くらいまでのクオリティが業界の年間ベスト級だったものの、残りは期待値を超える様な展開とはならなかったのは残念。
 しかし、2022年のMVP候補対決に相応しいエピックバトル。全てにおいてハイクオリティ。圧倒的にタフでハードだが、同じくらいの美しさを誇っていました。

 文句無しに名勝負。
評価:****3/4

全体評価:7.5

 

Impact Wrestling #949 10/13/2022
Impact世界王座戦
ジョシュ・アレキサンダー(c)対ボビー・フィッシュ

youtu.be


 WWEのスパイ疑惑も出るなどAEWとは良い別れ方をしなかったフィッシュ。順調に嫌われ者コースを歩んでおり、スポット参戦となったインパクトでもヒールでの登場。ただ、ここで救いの手を差し伸べたのは絶対王者ジョシュ。

 フィッシュのテクニカルだが地味な面を、テクニカル勝負もパワフル勝負もエンタメに少し寄せても良い試合が作れる万能さでフォローアップ。フィッシュの持ち味を最大限引き出した上で、豪快に仕留める。本当に何でも高次元で出来てしまうジョシュの凄さを再認識出来る一戦。フィッシュ相手に短時間でここまで作り切るのは天晴れ。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

Impact Wrestling #953 11/10/2022
Impactノックアウツ世界王座戦
ジョーディン・グレイス(c)対ジゼル・ショー(w/ジェイ・ヴィダル)

youtu.be


 高い身体能力が武器のジゼルだが、安定感には欠ける為、一旦ヒールとして修行。高難易度の技を使わなくても試合を作る訓練を行い、対する王者ジョーディンが肉体的にも試合内容的にも力強く構えており、ジゼルも思う様な試合運びが出来ている。

 実力が劣る選手を引っ張る事が出来る様になったジョーディンは鬼に金棒。彼女は、今WWEに近い選手の1人でしょう。
 中々良い試合。
評価:***1/2