世界のプロレス探検隊

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ROH Final Battle 2022 Review "ダブル・ドッグ・カラー戦" FTR対ブリスコ・ブラザーズ他

ROH Final Battle 2022 12/10/2022

 

www.fite.tv

 

 

ROH女子世界王座戦
メルセデス・マルチネス(c)対アティーナ

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 SHIMMERリバイバルというべき抗争。
 第3の目が開眼したと額に眼のメイクを付けているアティーナ。ヒールとしてアグレッ シブに振る舞うものの、今大会はアティーナの地元テキサス開催。両親も見守る中で、次第にフェイスの様な形になっていく。メルセデスがフェイスらしく振る舞わなかった微調整は匠の技だったが、ストーリー的にはブレてしまった。

 フェイス/ヒールを行ったり来たりな難しい試合展開ではあるものの、地力の高さで全てをカバー出来たのは実力者対決ならでは。全体的なクオリティは高くまとまっていた。中々良い試合。
評価:***1/2

 

ROHピュア王座戦
ダニエル・ガルシア(c)対ウィーラー・ユータ

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 ピュア王座を巡る争いもシングル3戦目。とはいえ軍団抗争の中に含まれる事が多く、個々の抗争としては余り時間をかけられていなかった為、ストーリー性よりもアグレッシブな姿でライバル関係を煽る様な展開。

 両者ファイトスタイルがピュアルール向きなだけで、今試合は、特段ピュアルールを意識した試合というよりは、ピュアルールの中で織り込めるラフファイトの限界スレスレを行き、荒々しさが目立つ。

 試合全編通しても荒々しさの方が勝っていた中でも、随所に見せるテクニカルな面、このカードの相性の良さは健在。ユータの格を上げつつ、ガルシアを次のステージに向かわせる為ならこの形というクリーンな決まり方。内容でストーリーの弱さをカバーし切った熱戦でした。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

ROH世界タッグ王座戦-ダブル・ドッグ・カラーマッチ
FTR(c)(ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)対ブリスコ・ブラザーズ(ジェイ&マーク・ブリスコ)

 


 3度目の決戦は、ドッグカラー戦。AEWではブリスコズを使わないので、抗争の発展性がなく、ストーリーの力は不足しているものの、過去2戦とも歴史に残る試合をやってのけた世界最高タッグ2組だけあり、試合内容で全てをカバー。逆に間隔が空いていることで新鮮さも保つ事が出来ているのはラッキー。

 世界でも有数のハードコア巧者ブリスコズが、自身も敵も血に染めていく暴れっぷりを見せたかと思いきや、FTRもクラシカルなタフ野郎というオールドスクールな面を大切にする選手らしく、真っ向からラフファイトで応戦していく展開。
 ジェイとダックス、マークとキャッシュという組み合わせで鎖を繋いだのも大きな意味を持っていて、試合中盤までは、ハイフライングや椅子や場外花道でのスポットなど、派手なシーンを演出出来るマークとキャッシュが多く見せ場を作り、終盤以降はシングルレスラーとしても世界有数の実力を誇るジェイとダックスが、単品でも好勝負クラスの濃密な潰し合いを演じる。
 観客から求められて、出したものの最後まで未使用だったテーブルをブラフに使い、ECWのドッグカラー戦の様にすぐ首輪を外してしまうこともなく、チェーンと使っても椅子のみというドッグカラーマッチにおけるストロングスタイルを最後まで貫き通し、その志向を維持してもダレる、物足りないという感情を一切起こさせなかったのは圧巻の一言。

 ダックスが「マスターピース」と後に語った様に、同形式でこの試合を超える試合はもう現れないと思いたくなる傑作。両タッグの魅力が最高の形で出ており、年間ベスト、歴代ベストに挙げられても文句の無い名勝負。

 文句無しに名勝負。
評価:****3/4

 

ROH世界王座戦(クラウディオは負けるとJAS加入)
クリス・ジェリコ(c)対クラウディオ・カスタニョーリ

 


 介入シーンはあるものの、ROHということでヒールプレイも要所だけに抑え、クラウディオの鉄人さを示す様なレスリングベースで試合を進めても、まだまだメインイベンターとして完結出来るジェリコの技術と経験が通用する事を実感。

 ヒールプレイを少なめにするROHという団体/ブランドへのリスペクトを忘れないのがクリス・ジェリコ。セコンド介入含む勝ち負けがわかりづらいスリリングな展開から明快な勧善懲悪へ。

 ジャイアント・スイングでギブアップするというありそうでなかったフィニッシュも印象的。両者の持ち味が存分に活かされた好勝負でした。
評価:****

全体評価:8.5+