世界のプロレス探検隊

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WWE NXT Deadline Review ~複数人マッチ革命! アイアン・サバイバーマッチ誕生~

WWE NXT Deadline 12/10/2022

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#1コンテンダー-ウィメンズ・アイアン・サバイバーマッチ
ロクサーン・ペレズ対コーラ・ジェイド対インディ・ハートウェル対ゾーイ・スターク対キアナ・ジェームズ

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 試合時間は25分間。最初は2人で始まり、5分おきに1人追加。ピンフォール、ギブアップで1点加点。フォール、ギブアップを奪われた者、反則を犯した者は1分半ペナルティボックス行き、25分経過時点で一番多くポイントを奪った者が勝者となる、時間差多人数アイアンマンマッチ、新形式アイアンサバイバーマッチが発足。
 かつてのチャンピオンシップ・スクランブル+TNAのキング・オブ・ザ・マウンテンマッチの様な形式。難しい実験形式の為、ストーリーよりもインディ上がりで多人数形式も経験を多くしている選手が揃っている。

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 ロクサーンとスタークからスタート。オーソドックスなレスリングから休みなく動き続け、他の参加者を待つ形。手堅く基本的な攻防が殆どだが、実力者ロクサーンとスタークなので場を持たせられる。

 スタークが最初のフォールを奪い、コーラが登場した辺りから試合は加速。コーラ対ロクサーンの因縁を交えながら、複数人が入り乱れる展開が続く。休みなく動き続けなければいけない試合形式。忘れがちになる最初に登場したロクサーンとスタークが不利になる、ペナルティボックスに行った後は少し回復するというサイコロジーを忘れない、試合前半に見せた攻防の伏線を後半で回収するといった上手さも揃えている。

 終盤は連鎖丸め込み、連鎖場外ダイブ、連鎖フォールと畳みかけ、勝ち逃げを狙う者、逆転を狙う者と戦略的な面を打ち出し目まぐるしくフィニッシュ。最後、ポイント0のキアナがスパニッシュ・フライで見せ場をちゃんと作ったのも見事。非常に練られていて、全員が輝く様な試合内容となっており、管理プロレスの賜物ではあるものの、 インディで叩き上げて来た経験値も非常に感じられるのは、インディレスリングファンにとっては嬉しい所。

 本形式の初回にして、早くも正解の一つを出してしまった記念すべき好勝負。
評価:****

 

アルヴァ・ファイア対アイラ・ドーン
 スコットランド出身対決。怪奇派度が増したアイラのショーケースマッチだが、アルヴァも流石の実力で試合を締める。クライマックスのギミック要素もそれ以外も見せ場は作っており、アンダーカードとしては十分。

 課題だったキャラクター面も仕上げつつあり、実力的には既にメインロスターレベルのアルヴァは昇格が近いか。平均的良試合。
評価:***1/4

 

WWE NXTタッグ王座戦
プリティ・デッドリー(c)(エルトン・プリンス&キット・ウィルソン)対ニュー・デイ(コフィ・キングストン&エグゼイヴィアー・ウッズ)

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 ニュー・デイがNXTに降臨。WWE屈指の人気者が、小会場に降り立てば物凄い量の声援と熱気で会場を支配。
 試合はというと、とにかく楽しい試合。皆の人気者ニュー・デイと小悪党チャンプPDの一戦な、コミカルな面もアクション面も楽しい要素が満載。ニュー・デイに負けない位キャラクターが仕上がっているPDの活躍もかなりのもの。

 メリハリが物凄く効いており、全編通してタッグの面白さが詰まった熱戦。

 好勝負。
評価:****

 

#1コンテンダー-メンズ・アイアン・サバイバーマッチ
JDマクドナ対アクシアム対グレイソン・ウォラ―対カーメロ・ヘイズ対ジョー・ゲイシー

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 アメリカ(ヘイズ、ゲイシー)、アイルランド(マクドナ)、ウォラー(オーストラリア)、スペイン(アクシアム)とメインロスター入りを狙う凄腕世界選抜が揃った男子の一戦
女子の方が手堅くも明確な方向性を示した中、男子の方は圧倒的な攻防の量と質で勝負。

 この試合の中心となったのは、マクドナとアクシアムのライバル対決。冒頭の5分間で、遺恨を感じさせるシーンを織り交ぜながらも、疾走感に満ち溢れた最高の5分間で試合のセッティングを完了させる。その後選手が続々と入り、フォールも増えていく中、多人数が入り乱れる攻防、フォール後に次の攻防へ移るシーン、ペナルティボックスを活用するシーンと起点となる時には必ずマクドナとアクシアムの2人がいた。マクドナだけポイント0の憂き目に遭ったものの、間違いなく一番活躍したのは彼。自らの見せ場も他のメンバーの見せ場も作り続け、ライバルのアクシアムと共に潤滑油であり続けた。

 その他のメンバーも持ち味を如何なく発揮。ヘイズは持ち前の身体能力を、ウォラーは身体能力に加え小悪党キャラクターを、ゲイシーは豪快なラリアットで敵を薙ぎ倒していくブルファイトをと、自らのパートで120%の活躍を果たしていた。
 1対1の攻防、複数人の攻防、ペナルティボックスを活用した攻防と25分間に様々な魅せ方を最高品質で詰め込んでおり、それが雑多でなく綺麗にまとまっている。華麗なスポット、印象的な名シーンも満載で最初にして最高傑作が出たと言っても過言ではない内容。

 WWEが誇る管理プロレスとスケール感に、個々がインディ時代からWWE在籍時の今日まで磨いてきたスキルや経験の融合。高い独創性と完成度が備わっていた歴代の多人数マッチの中でもかなり上位に残る試合、年間ベスト候補の革新的な名勝負。
 文句無しに名勝負。
評価:****3/4

 

WWE NXT王座戦
ブロン・ブレイカー(c)対アポロ・クルーズ
 技巧を堪能した後はわかりやすい怪力自慢による迫力勝負と絶妙の配置。使い切った頭をリフレッシュするにはこれくらいが丁度良い。レスリングはそこそこに、ハイフライ&パワームーブで勝負。程良く切り返しや掟破りムーブを決める事で単発にならない工夫も良い。

 ブレイカーのプッシュというよりはクルーズ再生の意味合いが強い内容となってしまう程、ブレイカーは絶対王者としての貫禄を手にしている。
 中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価:9.5