WWE Extreme Rules 2022 10/8/2022
グッド・オールド・ファッションド・ドニ―ブルックマッチ
ザ・ブロウリング・ブルーツ(シェイマス、リッジ・ホランド&ブッチ)対インペリアム(ギュンター、ルドウィグ・カイザー&ジオヴァンニ・ヴィンチ)
ストリートファイトだが、凶器を必要としないメンバーが揃っており、トルネードタッグの様相を呈す。荒々しい乱戦の中に、グンターの猛烈なチョップが火を噴く形。トリオで動く戦略的な面もあり、BBはフェイスとして個々でも躍動。支持率が日に日に上がっており、シェイマスは団体屈指のトップフェイスとしてウォルターに立ち向かう。
月跨ぎの比較的長めの抗争なだけあり、荒々しさの中にストーリーテリングな面など色々な要素が詰まっているのも見逃せない。欧州生まれのみで、比較的華よりも腕っ節の強さが持ち味のメンバーでここまでの内容が作り出せたのは素晴らしい。来たるグンターシェイマス3の機運も高める熱戦でした。
好勝負。
評価:****
ストラップ・マッチ
ドリュー・マッキンタイア対キャリオン・クロス(w/スカーレット)
場外乱闘からスタートし、マッキンタイアがクロスにストラップをつけさせる形で試合を始めたのは細かいけれども良い演出。その後はスカーレットを絡めた乱戦ベース。ヘビー級の重みのある攻防とシンプルにストラップを使っていく形で試合を作る。
どちらも華や強さがあり対応力もある。良いライバル関係になりそうは可能性を示せただけでも収穫。今後の抗争にも期待。
平均より上。
評価:***
WWE RAW女子王座戦-ラダー・マッチ
ビアンカ・ブレアー(c)対ベイリー
女子同士のラダー戦は、NXTではシングルでもウォー・ゲームズの先攻後攻を決めるラダー戦を、一軍でも多人数でMITB戦やTLC戦は行われているが、シングルでのラダー戦はでは初。その為、過激な攻防に走らず、ラダーを登る攻防をしっかりと入れてから、ラダーを凶器化する攻防を入れる抜群のセットアップ。
過激に走るのはいくらでも出来る中で、本格派のラダー戦を作る事を選択し、確実にやり遂げる技量がこの2人にはある。ビアンカのスターパワー&類稀なるアスリート能力とベイリーのヒールワークを含めたインサイドワークが上手く発揮されており、そこにラダーを使う攻防も的確に織り交ぜていく。どちらのピースが欠けても成立しなかったでしょう。
物凄いハードバンプはなくとも、物足りなさは一切なし。DAMAGE CTRLのイヨ・スカイ&ダコタ・カイの介入も持ち前の怪力で一網打尽にし、その勢いのまま怪力をベイリーにも披露。ラダーを持ち上げるシーンは過去にもあったが、ラダーを持ったベイリーを担ぎ上げてのKODは最高の一撃。
サマースラムからのストーリーが上手く嵌っていたからこそのこの試合。上品で玄人好みな内容だが、インパクトは十分。椅子やテーブルがなくても問題なし。最高のストーリーに最高の試合で応えた今大会のMOTN。ビアンカ・ブレアーは、今やベッキー・リンチ級、ローマン・レインズが君臨するポジションに最も近いスターの1人でしょう。成長曲線が凄まじい。
文句無しに好勝負。
評価:****
A nice touch from @itsBayleyWWE with 'Sara' on her wrist tape.
— WWE on BT Sport (@btsportwwe) 2022年10月9日
RIP, Sara Lee ❤️ pic.twitter.com/HTFqCOEpFC
アイ・クイットマッチ
エッジ対フィン・ベイラー
アイ・クイット戦の性質上、スローで敵を痛ぶる展開で始めていく為、盛り上がりに欠ける入りだったが、スタジアムを広く使った特別版の場外戦では、アイ・クイットを迫る攻防も散りばめる工夫も。ロングマッチ前提なので、序盤からクオリティを上げる事を欲張らず、エッジの痛めている脚に対する集中攻撃をキーとしつつ、ベイラーが優勢に進める形で前半は終了。
バリケード破壊やこの抗争のキーとなっている椅子の脚部分使ったクロスフェイス等サブミッション中心で盛り上げた後は、来ない訳がないジャッジメント・デイの介入。ここからフルスロットルモードでエンタメ要素が加速。
JDの介入からドミニクへの制裁、手錠使用でエッジを固定、助太刀に入ったミステリオの登場と排除。エッジの妻ベス・フェニックスの登場にリアとの対峙、スピアー乱れ打ちから怒涛のクライマックスへと。アティチュード・エラを彷彿とさせる様な特盛具合はこれぞWWEという演出。エッジの表情の作り方も後押ししており、最後はアイ・クイット戦ならこうするしかないという結末。ベタがやっぱり1番と思わざるを得ない。
クラウン・ジュエルを飛び越え、サバイバー・シリーズのウォー・ゲームスに繋がっていく見事な流れ。捨てユニットによる捨て抗争が一転ダイヤモンドに。ドミニク×レイ、リア×ベス、エッジ×ベイラーはデーモンの影もちらつかせ、今回は登場しなかったAJへのサイドストーリーもありと、ドラマ並のストーリー同時進行を行っているのも見逃せない。
好勝負。
評価:****
ファイト・ピットマッチ(SPレフェリー:ダニエル・コーミエ)
マット・リドル対セス・”フリーキン”・ローリンズ
元UFCヘビー級&ライトヘビー級王者、現在はUFCでコメンタリーも務めるDCことダニエル・コーミエを招聘したファイト・ピット。NXTで2回行い、満を辞しての昇格だが、結論から言うとスタジアム向きの形式ではなく、メインにすべきものではない。通常のケージマッチではなく、エスケープもなしフォールもない、ギブアップとKOのみの形式。レスナーとまでは言わなくても、ラシュリーやゲイブル辺りなら緊張感溢れる展開が出来たかもしれないが、関節技使いではないセスなので、スリリングな展開は作りづらい。関節技を使ったら使ったで、基本遠目で見る様な大会場では、熱を巻き起こしにくい。
.@TherealRVD would be proud.#ExtremeRules pic.twitter.com/955lJCMS91
— WWE (@WWE) 2022年10月9日
.@SuperKingofBros using the Showtime Kick 🤩#ExtremeRules pic.twitter.com/R5mh9hkrHW
— WWE on BT Sport (@btsportwwe) 2022年10月9日
The kick that changed my life.
— Anthony Pettis (@Showtimepettis) 2021年12月16日
11 years and we still have not seen anything like it 🙏 #ShowtimeKick pic.twitter.com/18SEGHQgZy
リドルは経験者だけあり、序盤のテイクダウンからのグラウンド、フィニッシュにも使用したサブミッション、UFC史上最高のフィニッシュの一つであるアンソニー・ペティスのショータイム・キック(金網を蹴ってのハイキック)と上手く乗りこなしてはいたが、中盤からはプロレスらしい試合展開に割り切っていた。
特別レフェリーのコーミエやセスのRVDオマージュは余り効果的でもなかったが、セスが客席を煽り、場を繋ぎつつ、RKOやストンプを巡る攻防で盛り上げ、何とかクオリティを落とさず走り切ったなという印象。全てこの後のグランドフィナーレ、ブレイ・ワイアットの復帰が持っていくので、割を食った格好。CatCの試合はかなり良かったので、ラストマン・スタンディング辺りで決着戦はして欲しいところ。
中々良い試合。
評価:***1/2
大会通して、ホワイト・ラビット絡みの演出からワイアットの映像、ミズのスキット、マイケル・コールの名実況と試合以外の面でもクオリティの高い演出揃いでした。
こちらも高評価の要因としては十分。
全体評価:9.5