世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

プロレスリング我闘雲舞 "10周年記念大会" Phoenix Rises Review 駿河メイ対水森由菜/CDK対ヤンキー二丁拳銃他

プロレスリング我闘雲舞「Phoenix Rises」9/15/2022

youtu.be

 

里歩、SAKI&バリヤン・アッキ対藤田ミノル、キッド・ライコス&米山香織
 AEWで全く出場していない里歩とスターダムのリーグ戦とその他団体にも出場をし続け、今一番忙しい選手の1人SAKIは出番が控えめだったが、その分アッキが奮闘。藤田米山の実力者にライコスを交えた曲者トリオを相手に獅子奮迅の活躍を見せる。

 アッキ絡みの攻防はどれも面白く、楽しい攻防も満載のトリオスマッチとなりました。ライコスも上手く溶け込んでおり、アピールも確実に出来ていました。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

オレンジパンナコッタ(沙也加&小石川チエ)対でいじーもんきー(鈴芽&遠藤有栖)
 我闘雲舞対東京女子の対抗戦。両団体の期待の若手同士の激突。若手らしく基本的な技が多いものの、時折女子プロレスらしい独創性溢れる攻撃は目を見張る。

 とにかく動く展開だが、バタバタしている訳ではなく、連携も息があっていてミスもない。タッグとしても個人としても華があり、キャラクターも立っている。ただ身の丈に合わない様な事はせず、今出来る事を最大限にやり切り、その上で若手だからと決め付けず、思い付いたアイデアも勇気を持って実行に移す。

 それぞれの団体で示している事を他団体相手でも確実に実行出来たのは素晴らしい限り。観ていて楽しい内容。その中に切磋琢磨があるのも試合のボルテージを高めていた要因。マッチメイクも素晴らしいが、演者の4人も見事な働きでした。
 中々良い試合。
評価:***1/2

 

アジアドリームタッグ選手権試合
CDK(c)(高梨将弘&クリス・ブルックス)対ヤンキー二丁拳銃(木高イサミ&宮本裕向)
 長く日本インディ界を渡り歩いてきた二丁拳銃と高梨。年季を感じさせる熟練の技術、未だ衰えないハードワークと機動力は健在。そしてそこにクリスが入る事で新鮮味が加わる。宮本、イサミ両方に対しても印象的な攻防を演じ、いずれシングルも見たくなる程の充実度がある。

 二丁拳銃の必殺シークエンスを切り、自らの必殺シークエンスに入る。技を出させないのではなく、ある程度受けた上で、更に上回るもので返していく重厚なラリーが続いていく。機動力溢れる両タッグらしく試合の疾走感も格別。名タッグ同士ががっぷり四つで、手に汗握る大熱戦を演じ、最高の形でメインへとバトンを渡しました。

 好勝負。
評価:****

 

駿河メイ対水森由菜

youtu.be

youtu.be


 団体の10周年記念大会のメインは、宿命の同期対決。コロナ期からポストコロナ期の今もホームアウェー関わらず、出る団体全てで結果を出してきた両者。このカードとしても数多くの激戦を残してきた団体が誇る一番の切り札。そして9月を以って水森がガトームーブを退団しフリーに転向となる為、所属同士の対戦はこの試合が最後。この事は本試合後に発表となったので、この時点ではわからなかったものの、試合における気合の入り方、試合終盤の駿河の語り掛けるようなエルボーの連打、そして試合後の2人の感極まった表情ともう決まっていた、また出会うかもしれないが、今思い残す事のない様に全てを出し尽くす意図が、感情を爆発させたのだろう。

 序盤から置きにいく様な攻防は一切なし。縦横無尽にリング内外を動き回り、丸め込みで決めに行ったと思えば、サブミッションで絞り合う。市ヶ谷だからこそ生まれた攻撃もリング仕様にマイナーチェンジさせアジャスト。これだけ観ればシリアス一辺倒な内容と思うけれども、両者の明るいアピールは健在。観客を乗せる演出は最大限発揮されている。ホームだからというエクスキューズはあるとはいえ、水森程観客を乗せられる女子選手は世界見渡しても本当に稀有。
 動きに動く展開なので試合の転調が付けづらい不安も場外戦でカバー。駿河の立体的な攻撃、水森のパワーで中盤を作り終盤へ。
 終盤からはもう一度ギアを入れ直し、掟破りの攻撃でアクセントを付けながら、両者得意のサブミッションを決め、ラストスパート。疾走感とアイデア力、そして決めるタイミングとどれも最高級。そこに上述の打撃戦が入る事で、飛び切りのエモーショナルな内容へと昇華。

 キャラクターとは相反する、叫びながら髪を振り乱してエルボーを打つ駿河の姿は、特に印象的。残る者と去る者の微妙な関係性を具現化した芸術的なシーンでした。フィニッシュの攻防も誰も傷つかない美し過ぎるもの。この戦いに敗者など存在しない。両者共に勝者である事を告げるかの様な決まり方。
 両者共にキャリアベストを更新した一戦。このカードがしばらく観られないのは残念だが、然るべき時にまた出会うと思わせるには十分。ただでさえ素晴らしい試合を最高のストーリーとライバル関係が更に昇華させた。同系統のインパクトを放ったという意味では、2022年日本女子団体で絞れば、スターダムのスターライト・キッド対AZM戦に近いものを感じた。別れてもプロレスラーである限りは、これからも語り継がれる試合と関係性でしょう。名勝負。
評価:****1/2

youtu.be

ameblo.jp

全体評価:9.5