世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE Clash At The Castle Review ローマン・レインズ対ドリュー・マッキンタイア/"インペリアム復活"ギュンター対シェイマス他

WWE Clash At The Castle 9/3/2022
ダメージ・コントロール(ベイリー、ダコタ・カイ&イヨ・スカイ)対ビアンカ・ブレアー、アスカ&アレクサ・ブリス

 ベイリー軍が「ダメージ・コントロール」と正式に名乗る初めての試合。個々にスポットも当たり、オープニングとしては盛り上げているものの、あくまでもビアンカ対ベイリーへの布石となる位置。

 中盤〜終盤、攻防が思い描いていたよりも崩れてしまったのは、期待値には届かなかった要因ではあるものの、女子6人タッグでスペシャルイベント/PPVのオープニングを飾る事はまずないので、新たな試みとビアンカ対ベイリーの前振りとしては悪くはない。

 ただ、この試合で一番驚いた点は、実況のマイケル・コールからアスカとイヨ・スカイそして紫雷美央の名前まで出し、トリプルテイルズへの言及があったことでしょう。 

 平均より上。
評価:***

 

WWE IC王座戦
“リング・ジェネラル”ギュンター(c)(w/ルドウィグ・カイザー&ジオヴァンニ・ヴィンチ)対シェイマス(w/リッジ・ホランド&ブッチ)

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 オーストリア対アイルランド。プロレス版EUROといっても良い激突。ギュンターと共に、ジオヴァンニ・ヴィンチことかつてのファビアン・アイクナーがインペリアムの一員として登場し、すっかりピート・ダンに戻りつつあるブッチとホランドと乱戦を展開し、ギュンターとシェイマスは一対一に。

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 ヨーロッパにおける超ドリームマッチは、予想通り骨を絶つ様な肉弾戦に。大会場である点とシェイマスが鳴りにくい身体なのかはわかりかねるが、ギュンターのチョップの破裂音がない為、迫力としては今ひとつ欠けていたが、シェイマスの白い肌を真っ赤に染めるには十分。内出血が破壊力を物語る。ギュンターもチョップやハンマーパンチを数多く打つ事でカバー。鉄階段や場外を利用したのもスケールアップに役立っていた。

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 対するシェイマスは、的確なダメージ表現と匹敵する強打でギュンターの存在を引き出す上手さで貢献。つい最近までヒールだったが、大ベビーフェイスとして君臨。観客を乗せて支持を得るやり方はお手の物。自らの価値を示しつつも、新参者のプッシュに貢献するベテランとしても見事な立ち振る舞いを見せており、ウェールズの観衆を熱狂の渦に巻き込んでいった。

 世界最高のレスラーであった時期のウォルターを考えれば、まだまだトップフォームではないとしても、絞った体で出来る内容のベストは尽くしていた。もう少し身体の厚みを戻す事が出来た時に、この再戦は見てみたい所。

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 ギュンターの真の実力が遂に発揮され、それを引き出し、更に頂点をも獲った程の自分の実力を示したシェイマスがキャリアでもトップクラスの仕事を遂行。シェイマスの中でも特に印象的だったビッグ・ショーとの試合に匹敵するハード・ヒッティングマッチ。ヨーロッパ開催の特番、6万人の大観衆が見守る中、歴史に残るエピックマッチと評価したくなる飛び切りの内容です。

 文句無しに好勝負。

評価:****1/4

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WWE SmackDown女子王座戦
リヴ・モーガン(c)対シェイナ・ベイズラー

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 シェイナの盟友ロンダに叩き潰されながらも何とかベルトを守り抜いた"プロレス界のデナーリス・ターガリエン"を目指すリヴ・モーガン。今回も対シェイナで実力差は明らかながら、元UFC(シェイナ)には元UFCとマット・リドルとの柔術の訓練も経た上でこの試合に挑む背景もあり、リヴの成長ストーリーを楽しむ対戦となっている。プレ・ショーでは、UFC現世界ウェルター級王者レオン・エドワーズと談笑する一幕もあった。更にプッシュに意気込むリヴは、イギリス開催だった『SummerSlam 92』のシェリー・マーテルオマージュのコスチュームと特別仕様。

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 試合は、シェイナの上手さが際立っているものの、リヴも新技を多数解禁し、その他練習の成果を示す様な関節技も披露。てっきりシェイナがあっさり切って捨てるか、不透明決着、丸め込みと思っていただけにクリーンピンだったのは予想外ではあるものの、それに至る過程は確実に見せる事が出来た試合内容。

 シェイナにももっとプッシュを与えて欲しいとはいえ、今回はまずリヴ・モーガンがプッシュに見合う活躍を果たした。
 平均より上。
評価:***

 

エッジ&レイ・ミステリオ(w/ドミニク・ミステリオ)対ジャッジメント・デイ(フィン・ベイラー&ダミアン・プリースト)(w/リア・リプリー)

 

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 元WWEタッグ王者エッジとミステリオが憎きJD討伐に向けて久々の合体。試合自体は普通のタッグマッチ。ある意味エッジ対プリーストで抗争が完結しており、ベイラーがデーモンを召喚するしか道はないので、結果的にエッジのヨーロッパでの顔見せとなる。

 ただ終盤の畳み掛けは良く、フィニッシュに至る流れはPPV級のスケール。しかし、結果的にはドミニクヒールターンの為の試合でした。

 平均的良試合。
評価:***1/4

 

セス・”フリーキン”・ローリンズ対マット・リドル

 

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 サマースラムやRAWでの乱闘、これまでにない程苛烈な舌戦とSNSで巻き起こったリアルのヒートから積み上げた因縁を活かし。スタートから乱戦模様で始めていき、その後一進一退の攻防に繋げていく流れ。激しくもスムーズな試合構築は、あっという間に抗争における繋ぎの位置となる試合である事を忘れさせてくれる。

 エルトン・ジョンオマージュコスチュームのセスも試合となれば類稀なる実力を発揮し、リドルはマットを取り戻し、バーサーカーモード発動で封印していた打撃や関節技も披露。RKOに対するカウンターの飛び付きスリーパーは最たるもの。そしてフィニッシュとなる怒りで我を忘れ、そこを突いたセスが反撃する展開もストーリーに合っていて的確。

 ECWの聖地フィラデルフィア開催となるエクストリーム・ルールズに向けた前哨戦という意味合いを遥かに超える熱戦。新たな数え歌の誕生といっても過言ではないでしょう。

 好勝負。
評価:****

 

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WWEアンディスピューティド・ユニバーサル王座戦
ローマン・レインズ(c)対ドリュー・マッキンタイア

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 マッキンタイアの入場は、旧テーマ『Broken Dreams』から現テーマへの特別仕様。ファンが求めていた事を最高の舞台で最高の形で見せていく。簡単だけども難しい事をサラッとやってしまうのが今の勢いに乗るHHH体制。対するレインズは、ヘイマン、ウーソズ、サミなしの単独で登場。(ウーソズは犯罪歴の影響で登場出来ない為、事前のSDでマッキンタイアが襲撃するプロモが行われた。)入場の壮大さがこの試合のまず大きな見せ場の一つ。

 試合は、ビッグスター同士のシンプルなぶつかり合いに、レインズがヒールとして煽り、逃げを駆使し、雰囲気を高める。その後のレインズの長めの支配からマッキンタイアの反撃は、特別仕様ではなくTV放送でも起こり得るレベル。ただこのクラスにしか出来ない世界最高のスケール感と色気、特別なシチュエーションがフォローしている。

 終盤に移行し、得意技・必殺技の打ち合い。大技をひたすら繰り出すというわけではなく、ペースを守り丁寧に繰り出していく。これまでのヨーロッパ大会ではないレベルで一つ一つ積み重ねていくことで特別感を煽りつつ、バリケード破壊にレフェリー失神、セオリーのキャッシュイン未遂、ボクシングWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリーによるセオリー制裁、ウーソズの末弟ソロ・シコア介入と畳みかけ、王座防衛するならばこれしかない締め方。

 客席に控えていたキャリオン・クロスとスカーレットをブラフにし、フューリーを絡ませるシンプルイズベストの形。レインズとシコアが帰った後、マッキンタイアとフューリーが歌って締めるのもヨーロッパ開催の特番でしか出来ない相応しい演出。

 HHH体制が目指すレスリング重視でありながらもWWEらしいエンターテイメント、絶妙なバランスのメインイベントでした。オーソドックスであり、タイソン・フューリーを認知しているか(WWEに出た事はあるので、知っているとは思うがその価値を認識しているか)によって、評価は割れると思うが王道の強みを体感出来る好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

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全体評価:9+