世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2022 ジョン・モクスリー対ウィーラー・ユータ/FTR対ヤング・バックス他

AEW Dynamite #128 - St. Patrick's Day Slam 3/16/2022
AEW女子世界王座戦-スティール・ケージマッチ
Dr.ブリット・ベイカーD.M.D(c)対サンダー・ロサ

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 伝説のライツ・アウトマッチから一年。PPVの一戦を生贄に、ロサが現在暮らしているテキサスでの大勝負に全てを賭ける。ロサの入場には、マリアッチも登場するスペシャルバージョンで、この試合で王座交代させないといつするのかという程シチュエーションを整えた一戦。

 金網に打ちつけ、早めに流血するスタート。1年前の流血戦と金網戦のマナーを押さえた形となっているが、流血戦と通常の攻防のミックスが今一つ。地力でカバーは出来ているものの、スケールアップには繋がらない。流血こそしているが、昨年の試合のせいで、ハードルが上がりきっているのも容易。

 終盤は一転、椅子を導入し、ハードコア度を強める。椅子トラップへの落下や雪崩式エア・レイド・クラッシュと大技は飛び出るも、レフェリー失神後に、介入者がなくオーブリーが来ただけだったり、スポットとスポットの合間の攻防が崩れきってしまっていたりと、修正出来ぬまま、画鋲使用で何とか形にしてフィニッシュ。

 歓喜の王者交代試合だが、ベイカーの長期政権の終わりにしては物足りないまま終わってしまったのが悔やまれる。平均より上。
評価:***

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AEW Dynamite #131 4/6/2022

アダム・コール対クリスチャン・ケイジ

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 のらりくらりとしながら、的確に内容を積み上げていくスタイル。新しく激しいスタイルが多く混在しているAEWだからこそ、この様なオーソドックスなアメリカンプロレスがたまにあるのも景色を変えるには重要なのは役割を果たす。

 フェイス時のクリスチャンの限界はあるとはいえ、手もかなり合っており、非常に心地良い空間が流れていた。中々良い試合。
評価:***1/2

 

AAA&ROH世界タッグ王座戦
FTR(c)(ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)対ヤング・バックス(マット&ニック・ジャクソン)(w/ブランドン・カトラー)

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 世界最高タッグ決定選手権再び。今回はフェイスヒールを入れ替えての激突となったが、ROHでのブリスコズ戦を経て、FTRの支持率が高まっており、バックスも徹底的に嫌われ者を演じ続けている為、舞台は整えられている。

 

 その状況を利用し、エネルギーを増幅させる様に、アピール合戦や組み合わない、逃げる行為、ローンバトルに控えへの攻撃とフラストレーションを溜めたかと思えば、一度連携を放てば、寸分の狂いもない連携技が炸裂と隙がない。

 間をとにかく埋めて、年間ベストを狙うスタイルではなく、間をむしろ徹底的に使い、その後の爆発力を高めるスタイルを取っていた影響はあるが、ウィーラーのホットタッグ成功後のハーウッドのクリーンハウスはスターそのものの輝きを放ち、その勢いを利用し、終盤の攻防へ以降。十八番の連携、合体技に掟破りの攻防、かつての戦いや最近の試合での決まり手等を全て注ぎ込む大ボリューム。

 AAAタッグ王座をFTRが奪取した時のベルトショットを再現したシーンには唸らされる。タッグの頂点を極めし者同士の珠玉の名勝負再びでした。名勝負。
評価:****1/2

全体評価:8+

 

AEW Rampage #36 4/8/2022
ブライアン・ダニエルソン対トレント・バレッタ

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 新日本参戦経験者2人によるストロングスタイル。エルボーの打ち合いにトペキャッチしてのバックドロップ等ハードな攻防も多数あり、ユータのストーリーの一環ではあるが、同時にバレッタの魅力を再提示するストーリーにもなっているのは嬉しいが、そうなるとチャッキーの今後はかなり心配。

 憎々しく削り取るブライアンの比類なき強さを誇示したフィニッシュもこの試合のテイストに非常にマッチしており、単なる繋ぎには終わらせなかった。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

オーエン・ハート・ファウンデーション女子トーナメント予選
レッド・ベルベット対ウィロー・ナイチンゲール

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 明るく元気でパワフルなウィローは大人気。それは契約選手のベルベットを凌ぐ勢い。ウィローがベルベットをかなり追い詰めたものの、ベルベットが何とか凌いで逆転。勝った時の挑発的な表情は様になっており、ベルベットはヒールも出来そう。

 そしてウィローはまずはROHの女子部門をリードしていく選手になっていきたい。その価値は示した。平均より上。

評価:***

 

ジョン・モクスリー対ウィーラー・ユータ

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 新ROHピュア王者に輝いたユータのBCC加入ストーリーの中で、大きくターニングポイントとなった一戦は、まさにユータの為の試合。ラフを交えたグラウンドでモクスリーがリード。試合を通してモクスリーがユータが光る様な削り方をしていて、そのユータも持ち前のテクニカルな面と、アンダードッグ性を兼ね揃えたスタイルで応戦。

 

 そこに大流血というエッセンスを加える事で、単なるチャレンジマッチを死闘に昇華。モクスリーらしくBloodsport的な趣がありながらも、シンプルなキャリア・メイキングマッチを作り出そうという所は、WWEのトップ経験者らしさも備えている。

 そしてクライマックスでは、以前の同カードでは秒殺だったユータが、血塗れのままパラダイム・シフトを2発返すことで大爆発。まさにスター誕生というべき記憶に残る激闘となりました。Cagematchの評価が9点台なのも理解出来る。

 ただユータのポテンシャルは元々これ位は朝飯前で出来る選手。やっとまともなスポットが当てられたことにより、ユータの真の実力に気づかされたことが大きい。

 好勝負。
評価:****

 

全体評価:8.5