世界のプロレス探検隊

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STARDOM STARDOM WORLD CLIMAX 2022 ~The Top~ Review KAIRI対スターライト・キッド/上谷沙弥対中野たむ他

STARDOM 『LECクリンぱっ!Presents STARDOM WORLD CLIMAX 2022 ~The Top~』
3/27/2022


KAIRI対スターライト・キッド

youtu.be


 闇堕ちキッドがスーパースターカイリを翻弄しにかかる展開。カイリはキッドの健闘を耐えながら、ほぼ表情作りのみで対応し、要所だけ反撃する形。

 ライジングスターキッドの才能や成長を示したチャレンジマッチとしては成功しているが、ヒールのキッドがスターであるカイリを翻弄する内容としては不足。表情が見えない仮面レスラーの良し悪しが出ていて、常に声を出しながら試合をすることでカバーはしているものの、観る者のヒートを溜める様な行為には手が回っていない。介入や凶器攻撃の補佐を入れるのも手だった。

 勝敗だけでなく、内容面でも、WWE帰りのカイリの牙城を崩すにはもう少し。今の大江戸隊の編成上厳しい部分はあるが、試合中の喋る行為を捨てて、よりミステリアスにカリスマ性を上げていく手法を試すのも手でしょう。中々良い試合。
評価:***1/2


ワンダー・オブ・スターダム選手権
上谷沙弥(c)対中野たむ
 前日の上谷対林下の様な、華やかかつハードな最高の品質である一方、もう一つ記憶に残る試合にはなり得なかった一戦。序盤の迎撃式カッターやエプロンへのツイスト・オブ・フェイトもターニングポイントになるシーンだったが、溜めが足りずにすぐ次の攻防に移ってしまう事で淡白に映る。歓声がないので、リアクションを感じ取れにくい影響は受けているとはいえ、もう少しスケールアップをさせてから中盤に移りたかった。


 場外への雪崩式フランケンや入場ゲートからの高所ダイブといった特別なスポットや、たむによる首への鋭角な攻撃の連続とエグさをエグさで塗り替えていくものの、攻防間の間や、緩急の使い方が今ひとつだった為、激しさの割にアッサリ感が残ってしまう結果となった。

 死力を尽くした激戦ではあるものの、ベストバウトと呼ばれる様な試合になるにはもう一歩といった一戦でした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4


ワールド・オブ・スターダム選手権
朱里(c)対岩谷麻優
 絶対王者対元王者のアイコン。大舞台に相応しいカード。その大舞台らしく、丁寧に作り上げていくセットアップ。岩谷が朱里を意識した蹴りやエプロンでのドラゴンスクリュー等を繰り出す一方、王者朱里は貫禄十分のファイトではね返していく。

 関節技をキーポイントにする事で、試合の幅を広げていたものの、効果的に使えた朱里の方がそのまま上回る展開となった為、想定していたよりもクオリティを押し上げる事は出来なかった。

 結果的に関節技を耐える岩谷の悲壮感を演出する為のものとなったのは良かったが、序盤の岩谷の朱里対策は点で終わってしまい、スケールアップには繋がらず。

 ハイレベルには違いないけれども、岩谷の所謂ゾンビモードすらも打ち消す程の朱里の強さが圧倒した試合。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:8