世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

スターダム Review 2022 スターライト・キッド対AZM/渡辺桃対AZM他

STARDOM NEW YEAR STARS 2022/Day-1 1/8/2022
渡辺桃対AZM

youtu.be


 AZMのハイスピード戦法対桃の無慈悲な蹴りの対決。セコンドの介入が慣れていなさすぎてお遊び感が出てしまうものの、リング上の2人の鋭さにより、その緩いムードが消え去っていく。

 桃は、ヒールプレイはそこそこに、スカした表情と強烈な殺人キックで場を支配する「女性版中嶋勝彦」として君臨。それに対し、AZMは、攻守切り替えのメリハリの上手さに受け手としての表現力も良くと、フワフワしつつあった桃のヒールターンストーリーを極上なものに一変させていた。

 桃の容赦ない顔面キックは、やる方も受ける方も本当にトップレベルだからこそ出来るもの。単なるストーリー開戦ではなく、単品でも特別な遺恨戦に仕上げたのは賞賛に値する。ジュリア対鈴季すずもハードコアやデスマッチに挑むかとは思うが、この2人も特殊形式に進めても面白いでしょう。好勝負。
評価:****

 

STARDOM Cinderella Journey 2022 in NAGAOKA 2/23/2022
ハイスピード選手権試合
スターライト・キッド(c)対AZM

youtu.be 男女国を問わず、プロレス史に残る最高の軽量級対決の一つ。ミステリオ対エディ、最近でいえばリコシェ対オスプレイ辺りにも匹敵する内容とインパクトを誇っている。フェイスヒール的な仕掛けはないけれども、その分試合内容を完璧なものにする事に注力。量と質両方で圧倒する。
 ルチャ要素を強く感じるまさにハイスピードという様な攻防の数々は圧巻。ケブラーダや鉄柱超えプランチャ等男子でさえも中々出さない驚愕技を次々と放ち、先日既に披露していたワンマン・スパニッシュ・フライを決める等AAAのクルーザー級か、もしくはPWGか?Xディビジョンか?と錯覚する程。

 しかし、この華麗な攻防やクイック連発の目まぐるしさはあくまでも構成要素の一部。主となる要素は、ライバル同士のせめぎ合い。エルボー合戦に始まり、打撃も織り交ぜ、そして腕攻めからの本家Eita顔負けヌメロ・ウノをキーにしたことで、相手をねじ伏せる厳しさが浮き彫りとなり、一気にこの試合の雰囲気が良い意味で重く変化したのが非常に印象的。緩急硬軟の使い分けが最高レベルで推移していた。これならMSGでもショーをスティール出来る内容。ただただ日本に留めておくには惜しすぎる程歴史に残る激戦でした。名勝負。
評価:****1/2

 

ワンダー・オブ・スターダム選手権試合
上谷沙弥(c)対なつぽい
 前の試合の名勝負の割を食った試合。ハイフライングやスピーディーなスタイルを信条とする2人の激突で、尚且つフェイス対決。この前にそのスタイルの最高峰を見せつけられるとどれだけ良い内容であっても、既視感しか覚えず、塗り替えるのは難しい。

 女優業も行っているなつぽいは、表情豊かに試合を動かそうとしていて印象的だったが、大きくゲームチェンジャーとはならない。2人とも悪いシーンは全くなく、この2人ならではの華やかで、かつパワフルな攻防は沢山観る事が出来たからこそ、これはマッチメイクのミスでしょう。別大会に分けるか、せめて試合順を離すといった工夫は欲しかった。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:8.5