PROGRESS Wrestling Chapter 127: And The Word Was PROGRESS... 1/23/2022
アンソニー・オゴゴ対ハリ・シン
Demand PROGRESSでしか観ることが出来ないボーナスマッチ。2012ロンドンオリンピックボクシングミドル級で銅メダルに輝いた、イギリスの英雄がUKマットに登場。AEW所属なので当然WWEの関係では観れるはずがない選手が登場したことで、体制の変化が伺え、WWEも子飼いだった団体を含め、UKインディを支配する興味が薄れている暗示でしょう。
試合は、長めのほぼスカッシュマッチ。AEWの競争激化により登場の機会が少なくなっているものの、過去一番の内容。パンチに固執しなくなり、尊大なヒールキャラクターと恵まれた体格を活かした攻撃を駆使し、AEWの時よりも活き活きとしていた。
実績があり、キャラクターも立っていて、アスリート能力も高い。WWEに奪われずヨーロッパのスターを確保する意味でも本国アメリカでも重宝したい。WWEでいえばリッジ・ホランドの様に使っていければベストでしょう。枠があるかは別だが、それこそブライアン・ダニエルソンのバウンサーにしても面白いでしょう。ここまで活き活きしているオゴゴは見たことない。平均より上。
評価:***
PROGRESSタッグ王座戦
スモーキン・エーシズ(c)(チャーリー・スターリング&ニック・ライリー)対サンシャイン・マシーン(TKクーパー&チャック・マンボ)
SMは、軽快な動きが持ち味というのは把握していたが、その持ち味を更に強め、連携やタッグとしての成熟度も向上。勿論それだけでは好勝負にはならないが、スモーキンエーシズが風貌から想像出来ない程、SMに匹敵するレベルで立体的な攻撃を繰り出せるタッグである為、空中戦乱舞、豪快な合体技と多く飛び出す勢い満点の一戦となっていく。控えへの攻撃、カットプレーを多く駆使。
序盤から良いテンポで攻防を刻んでいき、中盤以降はスピードに乗り、攻守も目まぐるしく変わっていく展開。終盤になると、完全にゾーンに入り、大きなミスもなく、停滞する事もなく、思う存分力を発揮。
ヤング・バックスばりのスーパーキック・パーティやAJスタイルズばりのスパイラルタップも繰り出し、まるでPWGかと錯覚してしまう様な激戦模様。両チームがベストワークを見せた特別な一戦となりました。好勝負。
評価:****
PROGRESS世界王座戦-ファースト・トゥ・スリー・フォールマッチ
カーラ・ノワール(c)対クリス・リッジウェイ
30分アイアンマン・マッチを経て、今回は3本勝負ではなく、3本先取した者が勝利という過酷な戦い。勝利する為には本数が必要となる為、ベーシックな攻防の中にも決め手となる攻撃を加えていく展開。実際すぐにカーラが1本先取し、リッジウェイも早い段階でタイに戻すだけでなく、逆転まで持ち込む。
レスリングの攻防に戻ったかと思えば、クイックで決めにかかる等変調が激しくスリリング。試合形式の説明とライバル関係を示す展開を同時並行で行えるのはトップ対決だから出来ること。
絶対王者と化したカーラに対し、リッジウェイにヒール要素が付いていて、それをシュートスタイルと上手くミックス出来ているのも良い。風貌もコナー・マクレガーの様になったが、表現力が以前よりも増している印象も受ける。カーラも受けで試合を作れる選手なので、相乗効果を生み出している。
10分少々で2-2となり、残り約20分は実質の一本勝負に。序盤のセットアップの為の工夫と思えば、実際功を奏している為、今回の3本先取マッチは正解だったでしょう。
そのラスト一本に関しては、それまでの疲労度は反映させながら、間を沢山使ってラストスパート。シンプルにニアフォールとアンクルロックで極限まで追い込み、遂に絶対王者陥落かという機運を煽り続け、カーラは耐え続け、カウンターに徹する。カウントアウトを狙ってでも何としてでも勝ちたいという演出も細かいが効果的。
カーラの王者としての貫禄や安定感も当然だが、リッジウェイが元々持っていた鋭さや激しさが、一段レベルアップしており、ライバルとして君臨。ギリギリまで勝敗がわからない緊迫感を生み出していたのが何より一番の良い点。
Electric Ballroom帰還に相応しい大激戦。コロナ時代に築き上げたライバル関係を観客が帰ってきたタイミングでまず回収したのは、新体制一発目にとって幸先の良いスタートとなった。好勝負。
評価:****
全体評価:8.5