世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2022 CMパンク対MJF/"ハングマン"アダム・ペイジ対ランス・アーチャー他

AEW Dynamite #121 - Beach Break 1/26/2022
AEW TNT王座統一戦-ラダー・マッチ
コーディ・ローズ(ch)(w/アーン・アンダーソン)対サミー・ゲバラ(w/interim ch)

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 正規王者対暫定王者の統一戦。これで3戦目となる両者だけあり、ライバル関係を示すかのごとく、流れる様な攻防から場外戦ではコーディは今のフェイスなのにブーイングを貰うジョン・シナ現象を楽しみつつ、尊大さはアピール。

 一方2戦2敗とコーディに対しては分が悪く、背水の陣のサミーは、立体的な攻撃を軸に、アピールは減らして勝負に徹するスタンス。この試合に至るストーリーを汲む一方で、ラダー・マッチの要素、ハードコアファイトの要素を織り交ぜていくのも見事である。ラダー天辺からのスーパープレックスを皮切りに、ラダー・マッチ度は増していき、コーディも激しく攻撃で追い詰める。フェイスなのに厳しくすることでよりヒールに見せていく仕掛けも嵌っていて、サミーをアンダードッグとして応援される対象に仕上げている。

 そしてハイライトとなるラダーからのビッグムーブ連発。ジェフ・ハーディ+ランディ・オートンというような、ありそうでなかった跳び箱式カッター等、サミーならではのアイデア力溢れるスポットで度肝を抜き続けフィニッシュ。色々なラダー・マッチにおける既存の良い部分をリミックスして作り上げた激戦でした。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

アンサクションド・ライツ・アウトマッチ
アダム・コール対オレンジ・キャシディ
 オハイオには散々苦しめられてきたアダム・コール。今回はクリーブランド開催ということで、NXT時代最大のライバルが登場するかと噂されていたが、その人ではなくダンハウゼンがサプライズ登場。ただ試合に直結するものではなかった。

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 試合はコールがキャシディを甚振る展開が多い。キャシディのキャラクターを踏まえての試合運びだが、コールはのらりくらりコントロールするのが上手いけれども、攻めダルマが似合わないスタイルの選手だけに、いまいち盛り上がらないのが正直なところ。これがアダム・コール対ファイアー・アントなら素晴らしい試合になったかもしれないが、オレンジ・キャシディなので、そもそもがミスマッチ。

 しかし、終盤はキャシディがファイアー・アントモードを解禁し、荒々しく攻め出したことで、良いリズムが生まれていき、そこに介入や凶器攻撃、ステージやバックステージの攻防とエンタメ性を強めて力技で走り切った形。
 余り上手くいってない試合を、強引にまとめるのも団体力があってこそ。AEWの地力の高さがモノをいった内容。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:7.5

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AEW Dynamite #122 2/2/2022
CMパンク対マクスウェル・ジェイコブ・フリードマン

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 長きに渡るプロモの応酬やピナクルのメンバーとの試合を経てようやく辿り着いた一騎討ち。MJFは、ストライプのタイツにエルボーパットを着用。パンク対シナにおけるプロモ、「お前はボストン・レッドソックスではない、もはやアンダードッグではない。お前は権威だ。今やニューヨーク・ヤンキースだ」と言い放ったあの抗争からインスパイア。ニューヨーク出身のMJFからの回答を、パンクの地元シカゴでやってしまう演出は冴えていた。

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 試合は、30分超えのロングマッチに。ブライアン・ダニエルソンの活躍に感化されたかもしれないパンクが、「俺だって60分、90分やってきた男だ」と言わんばかりに希望したと思いたい試合時間。そしてクラシカル風味満載の内容。MJFは煽り、ヒールプレイと腕攻めで小狡く試合を作り、パンクは制裁感を出す要素として、ナックル、クローズライン、ボディスラムと基本技を徹底的に活用する拘りを見せる。ナックルは特に冴えており、まさに拳で試合を語っていた。

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 テープを使ってのリアネイキッドチョークで失神させたものの、レフェリーに見つかりあえなく試合開始。腕攻めに脚攻めの二段部分破壊に苦戦するも、ペプシ・ツイストに、17年ぶりの解禁となった雪崩式ペディグリーこと究極奥義ペプシ・プランジを放つ特別仕様。5分位減らせば、名勝負レベルとなった要素満載の激闘だったが、ロングマッチにする目的もあったので仕方なし。

 フィニッシュのウォードロウ介入まで、プロレス大好き新旧革命家2人が、ニヤニヤしながら試合を練っていたのが良くわかるクラシカルとエンタメ要素満載のアメリカンプロレス。あのCMパンクが寝る程の価値を改めてMJFが世界に示した一戦でした。

 好勝負。
評価:****

全体評価:7

 

AEW Dynamite #123 2/9/2022

※CMパンク組が勝てば、パンクはMJFとの再戦の権利を得る事が出来る
CMパンク&ジョン・モクスリー対FTR(ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)(w/タリー・ブランチャード)

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 CMパンクのパートナーは、デスマッチファンにはお馴染み「デス・サムライ」AKIRAのフーディーを着用したジョン・モクスリー。

 

 


 ヒールのタッグ屋対フェイスのトップシングルレスラーコンビというWWEでもよくやっていた構図の試合。ただこの豪華メンバーに、世界最高タッグの一つFTRがタクトを握れば、瞬く間にオールドスクールテイスト満載どぁりながら、現代にも通用する極上のアメリカン・タッグプロレスに仕上がっていく。

 最初はしっかり圧倒され、その後はテーブル破壊で上手く分断し、あの手この手で孤立シーンを描き、チープショットと的確な連携技でギリギリまで追い詰める。対するパンク、モクスリーも当然元WWEのメガスターだけあり、この手の試合はお手の物。試合数が増えているパンクは勿論、病み上がりのモクスリーも状態が上がってきていており、互いを補い合いながらも、スターならではの輝きを放っていた。

 タリー介入のおまけ付きもあり、豪快にフィニッシュ。パンク対MJFの繋ぎという意味合いでしかない試合で、これだけの素晴らしい試合を残してくれれば、通常放送だからといって見逃す事は出来なくなる。匠の仕事でした。好勝負。
評価:****

 

AEW世界王座戦-テキサス・デスマッチ
“ハングマン”アダム・ペイジ(c)対ランス・アーチャー(w/ジェイク・”ザ・スネーク”・ロバーツ&ダン・ランバート)

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 テキサス・デスマッチではあるが、3カウント後10カウントではなく、10カウント後に立てずノックアウトもしくはギブアップが勝利条件となる形式。

 バックステージからスタートし、入場ゲートでの乱闘からバックショットまでいきなり持っていく流れ。そこからアーチャーが反撃し、特に大流血となる乱戦に。中盤アーチャーの支配ターンでまったり仕掛けるも、ロバーツの介入や凶器と流血の力で何とかテンションを維持し続けると、アーチャーの鉄階段への断崖式ブラックアウトに、極めつけのレフェリーを使った変則バックショットは、バックショット対策で序盤にトップロープを外していたアーチャー陣営の策略を逆手に取る見事な一撃。

 ペイジのピープルズチャンプぶりとアーチャーのモンスターでありながらベテランでもある所を、凶器と流血という最高のスパイスを効かせて上手く仕上げた内容でした。 

 好勝負。
評価:****

全体評価:8