世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review 2021 ハングマン対ブライアン/サミー対コーディ/"タズの息子"フック驚愕デビュー戦他

AEW Rampage #18 12/3/2021
AEW TNT王座戦
サミー・ゲバラ(c)対トニー・ニース
 世も世なら205LIVEで組まれていたかもしれないカード。ニースは良くも悪くも安定。TVプロレス的アスリートプロレスを見せ、凄いけども色はない。サミーが負傷設定を使いながらダウンベースで試合を作り、要所では飛び技を打ち合う形で豪快に見せてまとめる。WWEの型に嵌める管理プロレスの方がニースは合うだけに、これからは正念場でしょう。中々良い試合。
評価:***1/2

 

AEW Rampage #19 12/10/2021
フック対フエゴ・デル・ソル

youtu.be タズの息子フックが遂にデビュー。父とは違う精悍な顔つきではあるが、父譲りの固いレスリングとタズプレックスにタズミッションを決めてフエゴを瞬殺。エクスカリバーも喉を潰しながら、狙っていたジョーイ・スタイルズオマージュであるカ・タ・ハ・ジ・メ呼びを決め、実況席に座る父親の嬉しい顔もすぐ浮かぶ。見事やスター性を隠し切れない風格を損なわない見事なスカッシュ。今後が楽しみで仕方なくなる最高のデビュー戦でした。平均レベル。
評価:***

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AEW Dynamite #115 - Winter Is Coming 12/15/2021
AEW世界王座戦
“ハングマン”アダム・ペイジ(c)対ブライアン・ダニエルソン

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 オーソドックスなレスリングの中に、王者でありながら追う者でもあるペイジと挑戦者でありながら迎え討つ者であるブライアンという構図を改めて描きながら、歓声も貰ってしまうブライアンは、ヒールである事を再提示していく。

 プロレスリングはコンバット・シアターである。そう語った様に物語を技術で紡いでいく。時間を稼ぐ、消費する逃げの攻防が一切なく、何分でも何時間でもクオリティを落とさずに試合が出来るとかつて長時間試合を幾度となくやってきた経験が余裕を生み出す。このブライアンに相対するのは地球上のどのレスラーでも難しい立場ではあるけども、ペイジも実直に受け止めていく。ブライアンのペースが続くとはいえ、ペイジも跳ね返すだけの一発を持っている事は示し続ける。
 攻防の質、量共に20分経過時点で既にPPV級のレベルに仕上がっており、いつ終わっても良い展開にしつつも、決定打を上手く避けていく辺りは巧みである。

 ブライアンが畳み掛けに行ったペイジをエプロンに突き落とし、流血に追い込んだ所で30分経過。流血したペイジに更に拳を振り下ろしていく無慈悲なブライアンに対し、ダウンベースに切り替えるペイジ。テクニカルな面も強かった前半とは打って変わって、激しさをより打ち出しいき、ギアを上げていく。ブライアンが憎々しいまでの圧倒的な強者として描かれており、ピープルズチャンプとなったペイジとの相性は抜群。ブライアンもペイジの立場をWWEで経験してきているだけに感慨深いものもある。インディの時とは重みが違う。

 40分経過前後には、ツームストーンやエプロンへのデッド・アイで勝負に出たペイジに対し、場外ダイブをテーブルに自爆させて、逆に勝負に出るブライアン。瀕死のペイジが起死回生で放ったのはブロディ・リーの必殺技ディスカス・クローズライン。これまで明確に開いていた差がグッと縮まるのが可視化出来る印象的な一撃。これによりこの試合の価値がワンランク上がった。

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 残り10分も明らかな死闘モードになるのではなく、攻防量もスピードも一定に保ったままラストスパート。得意技は乱舞するが、ブライアンのランニング・ニーとペイジのバックショットは最後まで温存し、ペイジがやっと決めたところで時間切れという結末を最大限引き立てるもの。それが出来る力量があるのが素晴らしい。選ばれし者の60分フルタイム。ブライアンはずっとその位置で戦い続けていたが、ペイジがその領域に踏み入れる事を許された一戦。そして何よりも解き放たれたブライアン・ダニエルソンは団体、業界全てを支配する。AEWは、とんでもないモンスターを迎え入れてしまった。 

 文句無しに名勝負。
評価:****3/4

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AEW Dynamite #116 - Holiday Bash 12/22/2021
アダム・コール対オレンジ・キャシディ

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 被っていないけどもCZW卒でもある両者。キャシディはPWUにも出ていたが。試合は、両軍の介入も絡め、最後にはオライリーが登場するサプライズも印象的。しかし、試合もテンポも良く、コールがキャシディの事をしっかり理解して、改めて価値を再定義するかの様な試合運びを見せ、キャシディもヒーローとして爆発力も示す。想像以上に物凄く噛み合っていた良試合でした。中々良い試合。
評価:***1/2

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ザ・ピナクル(マクスウェル・ジェイコブ・フリードマン、ダックス・ハーウッド&キャッシュ・ウィーラー)対ダービー・アリン、スティング&CMパンク

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 FTRのプロレス教室。ヒールタッグ、トリオ、リーダーの両脇を支える参謀とは何か、相手がメガスターの時の対応と呆気に取られる程の技術に脱帽。対するスティングもパンク仕様のメイクとコスチュームで、支配されるターンや場外ダイブまで担当するほど大ハッスル。

 主役のパンク、MJFを要所での活躍に抑えたとしても、参謀達が実力を如何なく発揮し、十分満足出来るロングマッチとなっている。只の前哨戦ではなく、極上のクラシックを作り上げた。ピナクルの3人を見ているだけで勉強になる。教本の様な試合でした。好勝負。
評価:****

全体評価:7.5+

 

AEW Rampage #21 - Holiday Bash 12/25/2021

フック対ベアー・ブロンソン

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 フックのスカッシュ劇場。巨漢のブロンソンにファイアーサンダー・ドライバーを喰らうも、ノーセルで立ち上がり、タズプレックスからのタズミッション改めレッドラムで瞬殺し。楽し過ぎるの一言ですね。
評価:**3/4

 

AEW TNT王座戦
サミー・ゲバラ(c)対コーディ・ローズ(w.アーン・アンダーソン)

youtu.be シナやレインズばりにブーイングが飛ぶベビーフェイスのコーディ。ヒールターンは結局せず、この試合もフェイス対決で一進一退の展開が続く。サミーも初回放送第一試合から別人の様な成長を遂げたその力を見せるものの、コーディがコントロールしながら試合は進む。

 支配ターンが終わってからは大技攻勢。掟破りのクロスローズに留まらず、立体的な空中殺法も披露。コーディも荒々しく観客席へのパワーボムと破天荒に返す。ビッグファイトに相応しく華々しい内容に仕上げており、シンプルに楽しめる一戦。

 コーディも調子をキープしており、サミーも王者を任されただけの存在であると最後まで見せ続けました。ムラっ気のあったサミーが安定感を王座戴冠から受け渡すまで保ったのは賞賛に値する。好勝負。
評価:****

全体評価:7+

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