世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

NWA EmPowerrr & 73 Review ~非WWE派が送る、もう一つのWomen's Revolution~ /大激戦! NWA世界王座戦

NWA EmPowerrr 8/28/2021

 

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 今大会は、エグゼクティブ・プロデューサーであるミッキー・ジェームスが、ゲイル・キム、ジャズ、メデューサ、ルフィストを共同プロデューサーに迎え、開催された女子選手のみのPPVであり、主催のNWAと共に、AEW、Impact Wrestlingが協力している。(AAAのチク・トルメンタも登場し、その他インディ選手も多数登場。)

 

 プロデューサーの1人、ゲイルキムが登場し、スピーチ。そこにジェナサイドともう1人を引き連れ、タリン・テレールが登場。ゲイルとはインパクト./TNA史上でもトップのライバル。悪態を突くタリンが、ゲイルを取り囲むと、そこに現れたのは、もう1人の最大のライバルオーサム・コング。コングがゲイルを助け、クリーンハウス!
その後、コングが引退を発表し、ゲイルとコングが抱き合うという感動的なシーンで、このセグメントは終了。

 

Impactノックアウツ王座戦
ディオナ・パラッツォ(c)対メリーナ

 タフイナフ出身で、WWEの中では出来るディーヴァ筆頭だったメリーナだが、時は経ち、本格派の実力者が乱立する時代となった今、非WWEの実力者筆頭ディオナがそのメリーナの前に立つ。メリーナも基本的な動きで不足する様な場面はないものの、自分で試合を作って、味付けする様な所まで出来る選手ではないので、ディオナが敷くベースラインを歩いていく形となる。

 ダメージ表現の演技は当然上手く対応出来るものの、そこからはディオナにおんぶに抱っこという形。現役バリバリ第一線のディオナが、WWEディーヴァの筆頭大ベテランメリーナに、レベルの差を見せつけた内容。ただそれを受け入れたメリーナやそれを描く事を求めたクリエイティブ陣が、いかに今のディオナを大事にしているかが良く伝わる試合でもありました。平均的良試合。
評価:***1/4

 

NWA世界女子タッグ新王者決定トーナメント決勝
The HEX(アリシン・ケイ&マーティ・ベル)対レッド・ベルベット&カイリン・キング

 37年ぶりに復活したタッグ王座を争うトーナメント。
ケイとマーティのベテランタッグが、AEWの若手タッグをリードする展開。ベルベットの動きの良さは、NWAでも眼を見張るものを見せているけれども、個々としてもタッグとしても、技や連携、振る舞い等、細かい所での精度が課題。

 そこをカバーしつつも、凌駕したHEXの勝利。AEWというネームバリューがあるとはいえ、流石にHEXが勝つべくして勝った試合。ベルベットとキングは良い出稽古になったでしょう。平均より上。
評価:***

 

NWA世界女子王座戦
カミール(c)対”レジット” レイラ・ハーシュ

 身長差が際立つマッチメイクだが、実際実力差もレイラの方が上。レイラが攻守に渡り、試合をリードし、動かす役目が求められるが、AEWのレギュラーとなり、試合を動かす立場になっても、物足りなさを感じる事はなく、カミールを上手くフォローしながら試合を進めている。

 カミールは、ルックスは完璧だが、まだ試合運びは危なかっしい部分もあり、序盤の鉄階段に叩きつけるシーンは、ヒヤッとしたが、何とか立て直し、終盤は、体格が劣るレイラが驚異の粘り腰を見せ、かなりの盛り上がりを生んだ。カミールも豪快な技で見せ場を作ったが、この試合内容を見れば、トニー・カーンもAEW本体でレイラにもっとスポットを与えたいと思うでしょう。中々良い試合。
評価:***1/2

 

全体評価:7+

 

NWA NWA 73 - Wrestling At The Chase 8/29/2021

 

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NWA世界ヘビー級王座戦-タイトルvsキャリア
ニック・オールディス(c)対トレヴァー・マードック

 不必要なものを選ばない完璧な取捨選択。イギリス人成金ヒール王者と労働者階級のヒーロー、南部出身の大ベテラン挑戦者という演者の相性。家族が見る前で引退を賭けるシチュエーションの妙。憎々しくも上手くて強い王者が、常に主導権を握り続け、挑戦者は荒々しい猛打で反撃するも常に劣勢を強いられるも、驚異の粘りで逆転を狙う。ベタすぎる試合展開だが、それを昇華させてこれぞオールドスクールという激戦と言わしてしまうのは、演者達とそれに至るストーリー、大観衆、演出面全てが良い方向に噛み合ったから。この2人の組み合わせを見るだけでは、ここまでの試合にはならないと思いたくもなるが、完全に覆して見せた。

 マードックの鋭いナックルを活かす場外戦をゴングが鳴る前に、じっくり時間を取って行った事により、試合のスケール感を生み出す。その後はオールディスが古典的ヒールワークで支配。ロープ悪用コブラツイストでコテコテのクラシカルに寄りつつも、攻防自体は今のファンにもわかりやすいインパクトの強い技も多く、上手くバランスを取りながら進める。そこからは怒涛の展開が続く。レフェリー失神後、客席にいるマードックの家族、息子を挑発したかと思えば、豪快なテーブル破壊。耐えたマードックにテキサスクローバーで絞る絶妙なサブミッションの使い方。常に絶体絶命のマードックが耐えに耐えて、最後はクラシカルなパイルドライバーをキーとして大逆転。

 ローカルヒーローが、姑息で強いヒール王者を瀕死になりながら倒す、これ以上ない最高の逆転劇。見事な勧善懲悪。まるでスターケードが戻ってきたかと思う様なビッグイベントに相応しい内容であり、リック・フレアーの帰還にも相応しい大激戦。スタイルも極めれば形になる。文句無しに好勝負。
評価:****1/4