世界のプロレス探検隊

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新日本プロレス Resurgence レビュー ジェイ・ホワイト対デヴィッド・フィンレー/ランス・アーチャー対棚橋弘至他

新日本プロレス(NJPW) Resurgence 8/14/2021

 

 

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石井智宏対ムース
 

 石井プレゼンツのハードヒッティングに、ムースが合わしていく形。インパクトでは尊大ヒールを続けているムースがとことん合わせている所を見ると、石井の存在がVIP待遇という事がわかる。ムースも新日本に参戦していた時よりも格段にレベルアップしており、じっくりとした試合展開の戦い方も格段に上手くなっていて、上手く石井のペース、世界観に乗る事が出来ている。

 正直石井の試合の中では、ワンオブゼムの内容ではあるものの、現地ファンからすれば期待していたものは見ることが出来たからこその高評価でしょう。
 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

NEVER無差別級選手権試合
ジェイ・ホワイト(c)対デヴィッド・フィンレー

 道場育ちのヤングライオン対決再び。インパクトでもかなり煽ったカードの割には、期待値の低さ、試合の盛り上がらなさが際立つ。悪い試合かというと良い試合ではある。堅実に攻防を積み上げていき、高い技術を感じるハードな攻防の連続からクライマックスで切り返し合戦でダメ押しと基本的には、手堅い内容を示していた。

 その中でもジェイの上手さは、フィンレーを突き放すレベルである。日本ならそれで良い。ヒールプレイを入れず、良い攻防を積み上げていく方が良い反応を貰える。コロナ+元々リアクションが薄い国民性の日本ならば、ストイックに良い内容を残す形の方が評価が高い。しかし、アメリカであれば、それだけでは難しい。スターとはいえ、それは日本でのこと。アメリカでの実績には乏しい彼らがやっていくには、良いレスラー以上のものを見せなければいけない。

 キャラクターの薄い、同じ背格好のレスラー同士が、スポーツライクに試合をするよりも、ジェイはBCらしくヒールらしい所を組み込まないと、格上なのにフィンレーと同じ様な印象しか残らないこととなる。フィンレーも成長はしているが、シングルであれば特に、ジェイが押し上げて何とかという所なので、アクセントを超える仕掛けが欲しかった。クライマックスの唐突なローブロー合戦ではなく、凶器攻撃や介入でも良かったでしょう。

 日本生活が長く、ジェイの嗅覚が鈍っているので、アメリカでしっかり補ってから、日本に戻ってきて欲しい所。リーダーではあるものの、AEWでのKENTAやROHでのGODクラスのインパクトは、彼のポテンシャルからすれば残す必要がある。

 好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

IWGP USヘビー級選手権試合
ランス・アーチャー(c)対棚橋弘至
 

 棚橋は、元々アメリカンプロレスとは相性が悪い。というより棚橋は新日本のハルク・ホーガン的な存在なので、全てにおいて確立されている大スター。一定のレベルで合わせていても、合わせに行くという行為は、スターの輝きを奪う事になる。主役は主役でこそ光る。それを体現している選手。

 今回誤算だったのは、日本のスタイルも熟知しているアーチャーが、AEWではベビーフェイスだった事。ヒールで暴れ回る役なら最終的な棚橋の大立ち回りが活きるけれども、AEWで既にアーチャーが支持を受け過ぎてしまったのは想定外だった。

 試合の中で微調整は行い続けていて、アーチャーもその意を汲める技術がある選手なので、形にはしていたけれども、両者の良さはフルで出ることはなかった。結局棚橋がUS王座を初戴冠した事実と試合後のアーチャーのリスペクト溢れるマイクが1番印象的でした。平均的良試合。
評価:***1/4

 

全体評価:7.5+