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ICW No Holds Barred Vol. "Unlucky" 13 Review マードック対サディーカ/デイル対ニール他

ICW No Holds Barred Vol. Unlucky 13 6/26/2021

 

iwtv.live

 

デイル・パトリックス対ニール・ダイヤモンド・カッター

 SHOWBOATに鳴り響く『Sweet Caroline』の大合唱。

 試合前から出来上がっていた会場は、TOSの時と同様の熱を帯びていた。それを逃さなかったのはこの2人。まずはデイルがニュージャックばりの各種凶器を手際良く活用し、トミー・ドリーマーに客席を乗せていく見事な仕事ぶり。対するニールもそれが出来る選手なので、ハードな受けを行いながら、攻めでも勢いを持続させる匠の技を見せ、ドア破壊を皮切りに終盤へ。
 終盤は、各々の大技が飛び出したニアフォールの攻防。過激度は可もなく不可もなくではあるが、使い方が上手く、ニアフォールの攻防も熱い一方でクドさがなかったのが、この試合を押し上げた要因。ニールの飛び技もアクセントとして効いていた。

 2人とも実力者であり、既に好勝負も残しているが、大歓声、最高の雰囲気にも押し上げられ、彼らの代表作の一つを残す事が出来ました。好勝負。
評価:****

 

ザ・カークス(ブランドン&ケイシー・カーク)対ダニー・デマント&アレックス・オーシャン(w/ミッテン)

 団体のボスデマントと期待の若手オーシャン、憎まれ役カーク夫妻をボコボコにする定番企画だが、この試合では一番光っていたのは、カークスの妻ケイシー。毎度ヤジは受けるわ、年がら年中ほぼ毎大会酷い目に遭っているヒールだが、それはケイシーが、CZW時代に電流爆破戦を経験する程のタフさを持っているから。

 この試合でも中々に酷い目には遭っていたが、ガセットプレートで顔面大流血となっても、オーシャンには画鋲バットを叩き込み、ボスデマントには、ガラスボード葬をお見舞い。スティーブ・コリーノ道を歩む旦那ブランドンのサポートを受けながら、オーシャンをラダー上から場外ボードへ突き落とし、ボス・デマントへは、蛍光灯束を連続に叩き込んで激勝。

 団体スタッフのミッテンとその母親が絡むので、どんなファンマッチかと思い、実際ファンマッチであり、オーシャンがすっかり精彩を欠いているままではあるが、タフ野郎ケイシーの大活躍が全てを救った。彼女の体の張りっぷりは、団体を超えて業界屈指。やはりカーク夫妻のコーナーは、ICWには外せない名物となった。

中々良い試合。
評価:***1/2

 

シュラック対シコシスⅡ


 シコシスⅡの様な本当にヤバい雰囲気しかなくて、実際に行動もトンパチ感が出まくっている相手でも、暴虐獣シュラックならビッグネームであり、ヤバさにはヤバさで返せるので、舐められないのも良い。

 冒頭の張り手合戦でシュラックをKOしそうになるシーン等、中々アメリカや日本ではないシーンを生み出しており、期待通りの演出である。シコシスらしいレッグドロップでのドア破壊や蛍光灯攻撃を交えて、カオス感と荒々しさを保ったまま、粗が出る前に終えたのも堅実。

 フィニッシュがミス気味となったら、試合後にガラスボードを叩きつけて帳尻を合わせたのも、メキシコなら乱闘になってもおかしくはないけれども、やったのがシュラックだからこそ、シコシスⅡも寝ているだけだったかもしれない。

 クレイジー系に対する門番シュラックの見事な大立ち回り。シコシスⅡも存在感を示したので、また来て欲しい所。平均的良試合。
評価:***1/4

 

ICWアメリカン・デスマッチ王座戦
ジョン・ウェイン・マードック(c)対サディーカ


 ヘビーメタルでのマフ戦、前日のキンバー戦程は、サディーカの荒々しさを野放しにしない、マードックならではのコントロールが効いていたので、サディーカの危険度が抑えられていており、メイン、王座戦としての格式を守る意識が高かった試合。

 マードックの猛攻を受けても、怯まず同等以上の攻撃を返すサディーカのタフさクレイジーさは健在。詰まった体格であっても軽々飛べるのもメヒカーノらしさ満点。

 フィニッシュこそ呆気なかったが、試合後の健闘を称え合うシーンで、前日同様レフェリーを襲いそうになり、勢い余って客席に蛍光灯を放り込む(直撃した人はいない)怖さは、今もうなくなってしまったプロレスラーのあるべき非現実性を見せてくれた。

 この日3戦目である事を感じさせないタフさを誇るマードックの安定感があり、大量の蛍光灯やボード系凶器の補佐はあったものの、サディーカが最大限の持ち味を発揮した内容。GCWよりも日本よりも先にこれを見せたのは価値がある。

 そしてサディーカに首ったけ。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

全体評価:9.5