世界のプロレス探検隊

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Pro Wrestling Trainwreck Southern Sickness Cup 2021 Night1 Review カーヴァー対ノーラン他 ~大炎上! 怪人! 爆竹! 極悪デスマッチ~

PWT(Pro Wrestling Trainwreck)

Southern Sickness Cup 2021 Night1 5/14/2021

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1回戦-アンラッキー・スパ・デスマッチ
ジミー・”チョンド”・ライオン対ジョシュ・クレイン
 裸足デスマッチ。足裏にステープラーでドル札を先に7回打ち込んだ方の勝ち。決して綺麗ではないけれども、泥臭さ満点の果し合いとギミック性の強い試合形式の妙が合わさって、見応えある内容となりました。GCWでもICWでもないPWTのカラーにピッタリ嵌ったデスマッチ。やはりジョシュはこういう泥臭い方が活き活きしている。流石インディアナ出身。中々良い試合。
評価:***1/2

 

1回戦-カーペット・ストリップス、シンダー・ブロックス&カット・カン・ボーズ・デスマッチ
ボビー・ベバリー(w/エリック・ライアン)対ニール・ダイヤモンド・カッター
 蛍光灯やガラスを使わなくても、地味なカーペットストリップや立てた椅子への投げをこれでもかとエグく使う事で、終盤まで試合を作ってしまう職人2人の上手さが光る一戦。フェイスヒールを活用しつつ、ニールのアンダードッグ性を引き立てるベバリー。伊達にEVOLVEにも出ていない。

 元々デスマッチをしなくてもインディのスターになれるはずの実力を備えていて、そこにデスマッチ慣れもしたので、相方のライアンと共に大活躍してくれるだろう。対戦相手のニールもデスマッチ界の好勝負製造機だけあり、いつも通り高値安定の素晴らしい内容を残してくれた。神大会でこの後も凄い試合が連発していなければ、ショーをスティールしていたはずの試合でした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

1回戦-スイング・フォー・ザ・フェンス・デスマッチ
ザ・カーヴァー対ノーラン・エドワード
 怪人カーヴァーは、ある程度強設定にはしているが、ダメージは喰らうので、試合の幅は狭まらない。そして世界観を壊さないままに、技のチョイスも冴えていて、デスマッチの進め方も良く、総じてキャラクター・レスリングが上手い。WWEの怪人と比べるべきではないと思うけれども、デスマッチの世界においては、絶妙な存在に今後なっていくのではないだろうか。

 そしてその怪人らしさを十二分に引き出したのはノーラン。被虐性にも優れていて、首輪をつけられ、リングポストに手を縛られ吊るされたシーンは、見事な生贄になっていて、その後爆竹バットで盛大にやり返したのは今大会でも最高のシーンの一つ。
 その後各種デスマッチアイテムを使いつつも、手に汗握る一進一退の攻防を演じ、再三起き上がる怪人カーヴァーをこれでもかと叩きのめし激勝。やられる時の芸術性、やり返す時の容赦なさ。

 通常形式でもハードコアでもデスマッチでも対応出来る幅広さと腕、ノーランとAKIRAは真の意味で世界を制することが出来る可能性を秘めた逸材である。

 こういう選手が出てきたのは、CZWでブレイクし、WWE加入後トップを取ったにも関わらず、離脱しAEWでトップを張りながら、AEWでもPPVのメインでデスマッチ。GCWではシュートスタイルや今後デスマッチも行うと自由に業界を飛び回るジョン・モクスリーの様なロールモデルが生まれたことと、プロレス業界史上最もデスマッチというジャンルが勢いを持っているコロナ〜アフターコロナ時代である背景もあるだろう。独特の世界観を持つカーヴァー相手にこのレベルの試合が出来るのは天晴れ。好勝負。
評価:****

 

1回戦-ドント・チェンジ・ザ・チャンネル・デスマッチ
エリック・ライアン対JJエスコバー
 股間火だるまJJ会場出禁事件として少しバズった試合。運営側は正直たまったものではないけれども、JJは野外でやらないと持ち味を出し切れないので、次からは野外で呼びましょう。ただ試合は、ライアンのキャリーも効いていて、思っていたよりも悪くなかった。火だるま以降、のたうちまわっていたシーンがカットされていたのには笑いました。平均より上。
評価:***

 

1回戦-TOKYOデス・タワーズ・マッチ
オリン・ヴァイト対ケビン・ギザ
 この前が大クセ試合だっただけにやりづらさしかないものの、直球の蛍光灯デスマッチで、とことん身体を張る展開にしたのは大正解。オリンの良さも活き、IWAからの刺客ギザの奮闘も実に印象的。

 大流血に蛍光灯タワー、束を含めとことん蛍光灯を喰らっていく展開。ギザの集中力が持たなくなりそうな所は、オリンが上手くフォローして、試合内容を保ち続けたのは見事。オリンも決してキャリアは長くない選手だが、先輩格として確実にリード出来るのは心強い。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

1回戦-ハウス・オブ・ペイン・デスマッチ
ジョン・ウェイン・マードック対ジェイク・クリスト
 ハイペース、怪奇派、大炎上、バラエティ溢れるデスマッチを生み出した神大会のエンディングは、IWA-MSで絶賛抗争中でありながら、IWA-MSタッグ王者同士となった両雄の対決。決してド派手ではなく、スピード感もまったり目ではあるが、フェイスヒールをフル活用する、オールドスクールな内容。

 ジェイクがくどくなる程観客を煽り、耐えたマードックがデスマッチ凶器でやり返す。IWAスタイルを感じさせてくれる。ベテラン対決、通常形式の試合でも問題なく戦える両者だからこその内容に仕上がっていて、現代プロレスでは、支持を獲得した余裕のあるトップ選手ではないと挑みづらいというのもある。

 蛍光灯にガラスボードとマードックだけではなく、ジェイクもしっかりデスマッチ凶器を複数回被弾していて、もうデスマッチファイターとしての道も歩んでいくのだと感じさせる試合。わかりやすい勧善懲悪で大満足。安心して家路に向かえる結末と内容でした。好勝負に届かない良試合。評価:***3/4

全体評価:10