世界のプロレス探検隊

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新日本プロレス DOMINION 6.6 in OSAKA-JO HALL Review オカダ対鷹木他 ~The Real New Hazard~

新日本プロレス DOMINION 6.6 in OSAKA-JO HALL 6/7/2021

IWGP Jr.ヘビー級選手権試合
エル・デスペラード(c)対YOH
 良い試合ではあるものの、デスペラードがベビーフェイスに寄って来ている事もあり、ラフ攻撃はあっても基本は正攻法での戦い。動きは良く、脚攻めの戦略、それに対するYOHの受けも悪くないものの、脚攻め対脚攻めは、ジュニアのスピード感を削ぐリスクもあり、演技力も問われるので、マスクマンと表現力が高いとは言えないアスリートタイプのYOHでは限界がある。この試合展開ならSHOの方が、関節技にも強くパワー押しも出来るので良かったかという印象。得意技必殺技大盤振る舞いは見応え十分だったが、この組み合わせならデスペラードのルード殺法は必要だった。中々良い試合。
評価:***1/2


飯伏幸太対ジェフ・コブ(w/グレート・オーカーン)

 この2人の特性や相性を考えると、20分以内に収めたのは正解。リーダー・オスプレイを失ったコブだが、丁度ルチャ・アンダーグラウンドもMLWで復活しそうということもあり、マタンザ時代を彷彿とさせる獰猛さを見せながら、飯伏と大技中心の派手なアクションを展開していく。

 飯伏も大技中心の相手との相性は良いので、スムーズに試合が進んでいく。豪快な投げ、飛び技の競い合い、カミゴェを巡る攻防も綺麗に決めて、見事な好勝負を作り上げた。オーカーンのセコンドも嵌っていて、2人でタッグ王座に挑戦するのも良いと感じた。好勝負。
評価:****

 

第3代IWGP世界ヘビー級王者決定戦
オカダ・カズチカ対鷹木信悟

 オスプレイの負傷欠場により空位となった王座の新王者決定戦。3戦目とライバル関係はあるが、因縁は特にないということで、グラウンドから基本的な攻防で、じっくり高めていく展開。意表を突く様なシーンはないものの、安定はしている。鷹木のわかりやすいプロレスは、求心力を生み出していて、団体でもうやることがなくなってしまって、試合はずっと素晴らしくても、言動は迷走している風に見られてしまうオカダには更に効果を発揮する。
 互いに得意技を積み重ねていきながら、鷹木のハードヒットを軸として王座戦の重厚感を作り出す。ヘビーとは思えないスピード感と強烈な攻撃のバランス、そしてマネークリップで緩急を作るとやはり安定している。
 場外MADE IN JAPANに各種パンピングボンバー、STAY DREAMと必殺技の畳み掛けは、オカダを上回り続ける。本来ならそれをも飲み込むオカダの底無しの強さもあるのだが、それは慣れ、マンネリ、達成し尽くしたという言葉と共に、「またオカダ」かという反応に集約されてしまう。世界最高レベルのパフォーマンスであっても、それを何年もずっと同じことをやり続けていることの弊害。当然新しい味を、新しい景色を欲したくなる。鷹木もドラゲー時代から大きくは変わっていないが、景色が変わると新鮮に映る。

 36分にして、前半を置きに行った事で、マスターピースにはならなかったものの、内容は予想通り充実していた好勝負。クライマックスも重厚であった。鷹木政権となり、いつヒールターンというカードを切るのか。新鮮度が無くなる前に動かして欲しい所。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:8.5