世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

CZW Review 2002-2003 正義痛対ニック・モンド/ジミー・レイヴ対トニー・ママルーク他

CZW A Higher Level Of Pain 4/13/2002

Combat Zone Wrestling - IndependentWrestling.TV


CZW世界ヘビー級王座戦
ジャスティス・ペイン(c)対ニック・モンド
モンドの俊敏性と被虐性を活かした内容。ペインがとことん叩き潰す事により、モンドの凄さが際立つ形。技巧派を気取っているペインだが、場外テーブル葬等危なっかしすぎるので、この時のモンドだからこそ成立した内容である。後半は、大量の画鋲を撒いたリングでエグい技を打ち合う形。粗さも圧倒的な疾走感により、奇跡のバランスが保たれている。その2人のシングルベストといっても良い内容。もう一回同じ内容を再現して欲しいと言われても間違いなく無理だったとは思う。プロレスも人生にも絶対はないと思わせてくれる好勝負。
評価:****

CZW No Excuses 8/10/2002

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ファンズ・ブリング・ザ・ウェポンズ・デスマッチ
(SPレフェリー:グレッグ・マシューズ)
ワイフビーター(w/ビッグ・マック・スマック)対LOBO(w/ロッキン・レベル)
レフェリーは、ロボの息がかかったロッキン・レベル軍のグレッグ・マシューズが登場。とはいえ、各種凶器をこれでもかと叩き付ける過激な流血戦がメイン。これしかないけれども、テンポは良く過激度も高い。色気がある2人だけあって説得力もある。スペシャルレフェリーの使い方がいまいちなのと、結末がザンディグによる襲撃というチープ・フィニッシュであっても派手で楽しめる内容ではある。中々良い試合。
評価:***1/2

 

CZW Then & Now 5/10/2003

Combat Zone Wrestling - IndependentWrestling.TV


ホミサイド対トレント・アシッド(w/デューイ・ドノヴァン)
 全体的に粗いけれども、圧倒的なスピード感、リズム感で、ハイインパクトの技を撃ち続ける、スポットフェストにならない絶妙なラインで留めている奇跡的なバランス感もこのカードならでは。ハードコアによるスケールアップが上手く出来ていない、時間切れからの再開、その後の攻防のドラマ性の作り方等完成形にはなっていないものの、ポジティブな面の方が圧倒的に多く、流石00年代前半米インディを代表する数え歌、心奪われる戦いを見せてくれた。中々良い試合。
評価:***1/2

 

CZW Uprising 10/11/2003

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20分アイアンマン・マッチ
ジミー・レイヴ対トニー・ママルーク
 CZW史上最高のレスリングマッチ。インディ史にも残るチェスマッチ。全ての攻防に意味がある。ママルークは腕、レイヴは脚と初めから部分破壊に直結する展開が続く。20分アイアンマン戦に対する構築の巧さも群を抜いていて、冒頭は鋭いグラウンドの探り合いからママルークが腕攻めに入りそのまま一本。その流れを切らずにレイヴを更に追い込むも虚を突いた丸め込みでタイに。
 その後はママルークのスープレックス連発を凌いだレイヴが脚攻めを開始。得意のヒールフックに繋げる美しい脚攻めで追い込む。1発でギブアップではなく、執拗に執拗に追い込み続けてギブアップを奪うのが見事。売れ線ではない内容ではあるけれども、構築の上手さ、全ての攻防がストーリーとして意味を持っていて、それをレスリングベースで流れる様に紡がれていく。

 クライマックスは、点差を広げようとするレイヴと何とかして追いつこうとするママルークという構図、ママルークが腕攻めを絡める事が出来たらベストだったが、焦りでなりふり構わなくなっているリアリティもそれはそれで見事であった。何年経っても色褪せないこれぞ芸術というべきレスリングマッチ。デスマッチ団体CZWに咲いた可憐な一輪の花。両者にとってのキャリアベスト。名勝負。
評価:****1/2