世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

WWE WrestleMania Backlash Review レインズ対セザーロ他 ~レインズの、シナに対するメッセージ~

WWE WrestleMania Backlash 5/16/2021

WWE RAW女子王座戦-トリプル・スレットマッチ
リア・リプリー(c)対アスカ対シャーロット・フレアー
 3人が常に絡み続ける展開。この抗争の主役であるリアは、試合には付いていけているものの、シャーロットとアスカという豪傑2人に挟まれてしまうと、良い動きはしていても、キャラクターの弱さ、スターとして未完な部分が際立ってしまう。それを揉まれながらやってきたのが、シャーロットであり、アスカである。

 NXTでステップを踏んで、スターになった後昇格した所までは同じでも、由緒正し過ぎる家柄と4ホースウーメンの仲間に囲まれながら成長していったシャーロットと日本で十分過ぎるキャリアを積み、NXTで築いた無敗ギミックと唯一無二のジャパニーズ・シュートスタイルを持っていたアスカと比べると、まだスター「候補生」であるのが際立つ。シャーロットとアスカは、アクション面も表情面共に格別。それでいて、3ウェイムーブの絡め方や分断の方法といったディテールも見事で隙がない。

 リアが悪いのではなく、シャーロットとアスカのレベルが高過ぎる。それが際立った好勝負。最も容易くこのレベルの試合をやってのけるのが今のWWEの女子戦線。(トップどころに限るが)
評価:****

 

ランバージャック・マッチ
ダミアン・プリースト対ザ・ミズ(w/ジョン・モリソン)

 バティスタ新作主演映画「Army of the Dead」(ゾンビ映画)の宣伝マッチ。でもそれならせめてバティスタ本人が出てこないと、演者もエキストラ役も浮かばれない。ミズ&モリソンの演技力はやはり見事。まあこれでマイナス星3つなら、金にも宣伝にもならないKOPWとかどうすんねんというのは言わないでおこう。
 余談だがゾンビ姿でも「Switchblade Conspiracy 第3の男」ことジョー・ゲイシーのことはすぐ判別出来た辺り、私はやはりCZWが大好き過ぎる。
見所はあるからマイナスではない。こういうのにクオリティを求める方が間違い。
評価:**1/4

 

WWE王座戦-トリプル・スレットマッチ
ボビー・ラシュリー(c)(w/MVP)対ドリュー・マッキンタイア対ブラウン・ストローマン
動けるビッグマンが場外戦や実況席破壊を交えつつ、派手な打ち合いを行うWWE式スーパーヘビー3ウェイの定石通りの内容。想像の域は超えないまでも、確実な仕事を遂行する事は出来ていた。中々良い試合。
評価:***1/2

 

WWEユニバーサル王座戦
ローマン・レインズ(c)(w/ポール・ヘイマン)対セザーロ
 対ブライアンの抗争を色濃く引き継いだ、レインズプレゼンツの「プロレスリング」要素強めな試合。

 オーソドックスなグラウンドにヒールプレイを細かく織り交ぜながら、大技封じの腕と肩攻めにより、理詰めで動きを止め、粘るセザーロの勝ち目を消していく。正直余程の事がない限りレインズが防衛するはずのマッチメイクで、普通はセザーロに勝ち目を持たせていくけれども、健闘する姿こそ見せてあげるも、セザーロ・スイング等のエンタメ的な大技は使わせず、使わせても各種アッパーカットやブロディオマージュのディスカス・クローズライン位。グラウンドや打撃で、勝ち目を削いで屈服させる形は、余りにも玄人過ぎるものの、レインズの存在感や色気で全て成立させてしまう。

 ブライアンに比べるとアンダードッグとしての魅せ方やスターパワーが不足するセザーロなので、レインズの行動に対するリターンが大きく出来ず、好勝負には届かなかった。試合が終わってレインズの強さしか残らなかった。それをアピールする内容が狙いではあるが、セザーロがトップレスラーへの道をここでこじ開けて欲しかった。その殻を破るチャンスだったが、その期待には応えられず。

 ロックやシナ、特にシナのパンク戦以降、特にUS王座オープン・チャレンジ辺りの、試合でも魅せていき、レスラーとして評価を上げたその時のシナと同様の事を行っている。更にその時のシナを超えていきたいというムービースターになっていく前に、レインズがWWEでレスラーとして実現したい、恐らく最後の仕事が今である。その重みは、中堅では簡単には背負えないのが痛い程伝わった試合。

好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:8.5