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Impact Wrestling Rebellion 2021 Review "Wタイトル戦"ケニー対スワン/激闘! Xディビジョン3ウェイ

Impact Wrestling Rebellion 2021 4/25/2021

 

 

www.fite.tv

 

Impact Wrestling Xディビジョン王座戦-トリプル・スレットマッチ
エース・オースチン(c)(w/マッドマン・フルトン)対ジョシュ・アレキサンダー対TJP
 完全無敵のジョシュ、テクニシャンTJPとヒールとして1番キャラクターが立っていて、尚且つトリッキーなムーブを扱えるエースとバランスも良く腕が確かな3人が織りなすこれぞXディビジョンという目まぐるしい展開が続く好勝負。

 ジョシュのアンクル・ロックをキーとして連鎖サブミッションを上手に活用。必殺技も適切に使いながら、ニアフォール、カット、セコンドのフルトンの介入と環境を上手く、空間を広く使っていたのが好感。TJPはシングルの時に比べるとキャラクターが薄いので、仕方がない部分はあるものの、攻防面では確実に貢献。

 そしてエースの色気、立体的な攻撃、ジョシュのパワフルさテクニカルさ執拗さどれを取っても最高品質の攻撃が交わる理想的な展開。近年のXディビジョン戦ではトップクラスの内容。何度でも観たくなる一戦。今大会のMOTN。好勝負。
評価:****

 

ラスト・マン・スタンディングマッチ
サミ・キャラハン対トレイ・ミゲル
 一度は離脱を決めたミゲル。しかし他のラスカルズと行動を共にせず、WWE行きを断り、インパクトに残留。それを良しとしないサミとの抗争決着戦。当然それはストーリーライン。真相はケーフェイなので明かされてはいないものの、今後シングルレスラーとしてキャリアを進めていくミゲルに対し、軽量級の飛んだり跳ねたりの試合だけでは、業界は渡り歩いていけない。タフマッチもやれてこそトップの階段を登れるのだとばかりに、ハードコアマッチ師範代のサミが自ら手ほどきを加えたこの試合。

 ライトニング・スパイラルまで使い出し、吉野正人度が更に増していくミゲルを終始リードしたサミ。ミゲルもテーブルの立てた脚への投げ等ハードバンプで応えていたものの、試合は予想通りサミのコントロール下に置かれており、終始余裕を崩さず、ミゲルを鍛え上げていくという形。本当は自身の団体PWRでしたい内容ではあるが、まだそれは開けないので、代わりにインパクトで行ったという形。

 豪快ではあるが、テーブルへのカッター1発で終わってしまうのは呆気ないけれども、目的がはなからミゲルをオーバーさせる為、同郷オハイオの後輩の再出発を自らバックアップしたと思えば合点がいく。親分肌のサミなら可愛い後輩の為にひと肌脱いだ内容でした。後進育成も一段落したことなので、さあ至宝を奪い去った外敵、カナダのペーパーチャンプの首を取りに行くしかないでしょう。中々良い試合。
評価:***1/2

 

Impact Wrestling世界王座&AEW世界王座戦
リッチ・スワン(Impact ch)(w/ウィリー・マック&エディ・エドワーズ)対ケニー・オメガ(AEW ch)(w/ドン・キャリス&グッド・ブラザーズ)
 衝撃的な秒殺かドミネイトか介入祭りのチープ・フィニッシュか。この3択しかあり得ない環境下の中、セコンド大量、オーブリーとブライアン・ヘブナーという両団体のレフェリー、トニー・カーン、ジェリー・リン、トニー・シュヴァーニのAEW裏方陣とインパクトのスコット・ダモールという裏方のトップを映して、チープフィニッシュを思わせて、レフェリー失神も決定打としては使わず、結果外敵ケニーがドミネイトして、インパクトのピープルズチャンプであるスワンを倒すという形を選択。

 石橋を叩いて渡る丁寧な試合構築、確実な加点で積み上げる中盤まで、ストーリーに沿った終盤と堅実ではあるが、予想の範疇は越えなかったのが正直な感想。ダウンベースやストーリー仕立ての試合、ロングマッチでも良い試合を残せる様になったスワンではあるが、良い試合を残した相手はムースやサミと深い関係がある間柄の選手が多く、彼らはスワンの良さを理解しているけれども、ケニーとスワンの関係性はないに等しい。その中で、成長したとはいえ、ケニーよりは実力が劣るスワンが、ケニーの新日本ボリューム積み上げスタイルの構築に合わせて、ストーリーに沿って自らの反撃シーンを削った結果、スワンの小気味良さ、豪快な空中戦は活かされず、ケニーの強さがただただ際立った内容となった。

 それは狙い通りではあるので、全く失敗ではなく、良い試合良いメインイベントには違いはない。しかし、ドン・キャリスのプロモやグッド・ブラザーズの振る舞い、AEWでのエリート対モクスリーといった外的要素でヒール要素を強めただけで、ケニー自体は、然程変化はない。試合にしても、新日本やAEWで観ているケニーの試合の少し劣化版だなという印象しか残らないから、試合後の反響も薄かった。これに尽きる。

 単に良い試合をするだけでは、ストーリーが発展していかないので、今後の展開で回収出来るかが鍵。ケニー・オメガとAEWの宿命なのだが、ハードルが上がり切ってしまっているのを、どう跳ね除けるかが今後の課題になり続けるだろう。

好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:7.5+