世界のプロレス探検隊

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GCW rSpring Break Review ~1年越しの再戦! RSP対ニック・F'N・ゲイジ / ゲイジとモクスリー11年ぶりの再会~

GCW rSpring Break Presented By 44OH! 4/9/2021

 

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▷ GCW: rSpring Break - fka JJSB5 - Official PPV Replay - FITE


アラミス、ドラゴン・ベイン&ラレド・キッド対アーレズ、グリンゴ・ロコ&ブラック・タウルス
 ラレドやタウルス等AAAのトップスターでAEWやインパクトにも参戦する選手が確実に締めてくれるので、後は各々が持ち前の一芸で大暴れするのみ。連鎖ムーブ、ハイフライング、強烈なカウンターの連続をこれでもかと見せつけ、フルスロットルで魅せるこれぞルチャリブレ。

 アメリカンプロレスのリズムも理解している選手揃いなのも良く、暴れまくるだけではなく、キャッチーさも兼ね揃えているのがポイント。ECWにおけるミステリオ、シコシス、クレイジー、ICWNYにおけるSAT等、ハードコア・レスリングとお酒のお供にはルチャリブレが最適!今回も例に漏れず見事な試合でした。今大会のMOTN。好勝負。
評価:****

 

MASADA対アティカス・クーガー
 竹串を巡る抗争も遂に決着。竹串束以外にも竹串バットや竹串ボードも公認凶器として設置されていた。恐らくメインがあるので、蛍光灯やガラスボードは温存。今の衰えたMASADAは、それらがあっても苦しさはあるが、クーガーが攻守にリードして、MASADAを導いていた。

 派手な攻防は少なかったが、その分竹串のエグさは上手く示せており、その一方で、レジェンドMASADAを持ち上げることも忘れない。MASADAのエグい攻撃も悪くはないが、やはりもうかつての鋭さは帰ってこない。只、それはもう仕方がない中で、ネームバリューと試合構築の上手さで騙し騙しやっていきながら、若手や中堅の踏み台として活躍出来れば御の字でしょう。

 悲しい限りだが、明らかにクーガーの方が今は価値があるので、この結果は順当。寧ろ必殺技3発打たせた事に、リスペクトを強く感じる所。近年のMASADAの試合では良い内容。平均的良試合。
評価:***1/4

 

ジョーイ・ジャネラ対クリス・ディッキンソン
 ジョーイは、バン・バン・ビガロオマージュのコスチュームで登場!まさにグリーディングス・フロム・アズベリーパークといったところでしょう。
 試合はハードコア・ブロウル。椅子山盛り、ドア、巨大ラダーを活用しながら、ディッキンソンの大流血も目を引く。構成としてはとにかく身体を張っていくファンマッチ仕様なので、簡素ではある。この2人なら堅実なセットアップも期待出来る選手だが、この試合に関してはお祭り優先。凶器攻撃に対するハードバンプと大流血で盛り上げた乱戦。平均的良試合。
評価:***1/4

 

GCW世界王座戦-デスマッチ
リッキー・シェイン・ペイジ(c)対ニック・ゲイジ
 Run Rickey Runから1年以上、ゲイジの怪我も癒え、遂に年間最高の舞台でのリマッチが実現。ゲイジは、入場こそいつも通り(そのいつも通りが現在のレスラーの入場でトップのものではある)だが、リングアナ、エミール・ジェイのアナウンスは盟友ネイト・へイトレッドと実兄である正義痛ことジャスティス・ペインに捧げる歴代最高の特別仕様。対するRSPはセコンドなしで、白の特別コスチュームに身を包んだこれまた特別仕様。
 静かな立ち上がりかと思いきや、ゲイジがRSPのアナウンスの途中に奇襲を仕掛けそのままスタート。蛍光灯、ガラスボードに有刺鉄線ボード葬で一方的に血祭りに上げる立ち上がりは、普通にレスリングなんかせずに期待を裏切らないなと満足させてくれる。ブランクはあっても大舞台には間に合わせて来る辺りやはり大スターである。

 勢い良くゲイジが攻め立てていた序盤とは打って変わって、中盤は蛍光灯を活用しながら憎々しげにRSPがゲイジを甚振る展開。スローな展開になっていくものの、デスマッチの激しさは保ちつつ、ドラマ性を高めていく難しい手法を確実にやってのけるのは、流石RSP。デスマッチレスラーの中でもトップの試合巧者の試合構築はやはりハイレベル。昨年の捨て試合連発は、キャラクターの為、来たるこの決戦の為に「わざと」やっていたのだと再認識出来る。途中で脚攻めだけではなく、場外ガラスボード葬、場外蛍光灯トラップ葬を交えるロングマッチ特別仕様なのも、この試合は天下分け目の決戦だと思わせる。

 ここまでは完璧な出来だったが、終盤は少しずつ巻きが入っていく形となる。レフェリー失神から44OH軍とGCW軍の介入に高所足場からのガラスボード&巨大蛍光灯束葬と派手なシーンは続くも、間が悪かった為、中盤までで作った勢いを損ねてしまったというのが正直な所。前回の試合が余りにも神懸かり過ぎていて、ハードルが上がり過ぎていたのが要因ではあるが、このカードと44OH!ストーリーの清算の為にはもう少し上手くやって欲しかった。
 アイアン、ライアン&ベバリー介入とクーガー介入にレフェリー失神を二段編成にした割には、大きなうねりを起こしきれなかったのは勿体無い。クライマックスは凄惨ではあったものの、割とすんなり決まったなという印象。火炎テーブル位は欲しかった所。とはいえ長期欠場明け1発目のゲイジで良くぞここまで仕上げたなとそこに関しては称賛したい。

 試合単位で言えば好勝負に届かない良試合レベルだが、入場、アナウンスその他諸々等他には出来ないデスマッチいやインディ頂上決戦。存分に楽しませて頂きました。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

 試合後、勝ち名乗りを受けるゲイジの元に、なんとジョシュ・バーネット戦を前日に終えたジョン・モクスリーがなんと登場!!!
 ゲイジに蛍光灯へのパラダイム・シフトを決め、宣戦布告を行うという特大サプライズ。ゲイジとモクスリーは、2010年にCZWで約1年間CZW世界ヘビー級王座を争った間柄。11年の時を経て、メジャーとインディ、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドの違いはあるけれども、唯一無二のカリスマと化した両雄が遂に遭遇。これは全世界のプロレスファンが見逃せない対決となるでしょう!!

全体評価:9