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ミエド・エクストレモ対シクロペ ~今こそ再評価を! もう一つの電流爆破、マジソスが見せるデスマッチ史〜

Lucha Libre Vanguardia Celebrando 10 Anos De Los Macizos 6/2/2019

エクスプローディング・バーブドワイヤー・デスマッチ
ミエド・エクストレモ対シクロペ


 

AEWで電流爆破がフューチャーされたからこそ、今再評価されるべきデスマッチ。
 爆破有刺鉄線ロープに蛍光灯束が置かれた電流爆破デスマッチ。試合前はフリーダムズのTシャツを着ていたミエドが、大仁田の入場完コピで来るのだから面白すぎる。只この試合、大仁田オマージュを見せたのはこれと爆破シーンくらい。爆破にフォーカスはしつつも、あくまでも一要素として割り切っていたのも見事だった。
 名勝負数え歌のパートナー対決だけあって、互いを熟知しており、当然の如く手が合う。 ルチャらしいスピーディーな攻防からAEW以上のインパクトを誇る爆破シーンを早いタイミングで繰り出していく。前半は一進一退の攻防+爆破で押し切ると、中盤からは蛍光灯束を投入。素早い攻防にプラス出来て、試合の厚みを生み出すのに一番の凶器。それをこれでもかと使っていく。蛍光灯を使いながら爆破バット(顔面にぶち込んだのもエグい!)や爆破ボードに立ち返り、かと思えば高所足場からのパールハーバースプラッシュなどスーパーダイブを見せる全方向射撃。

 入場と爆破は大仁田。途中のバイルドライバーは、カクタス・ジャック。高所ダイブや蛍光灯の使い方は葛西、更に竹田のエッセンスも入っていて、この試合で日本のデスマッチ史を振り返ることができる。それを日本育ちでもあるこの2人が、母国メキシコでやってくれてるのが素晴らしい。ただ、オマージュ全開ではありながらも、ルチャドールという根本の所は絶対に忘れない。見せる攻防や技、立ち振る舞いは、最終的にルチャ・エクストレマに回帰するのが最も感心したポイント。

 メキシコらしい緩さ、危うさ、激しさと日本の丁寧かつストロングな点に、往年のレジェンドの要素を散りばめた極上のデスマッチ。デスマッチの激しさ、エンターテイメントとしての楽しさ、プロレスリングとしての完成度とどれを取っても完璧な試合。モクスリーとケニーを軽く超えてきた大激戦。

 デスマッチレスラーとしてのプライドを見せつけられた。メキシカン・デスマッチ界を代表する試合。2021年の今だからこそ見て欲しい名勝負です。
評価:****1/2