世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

スターダム ALLSTAR DREAM CINDERELLA 日本武道館大会レビュー

STARDOM 『レック Presents スターダム10周年記念~ひな祭り ALLSTAR DREAM CINDERELLA~』 3/3/2021

 

岩谷麻優対世志琥
 ラッカスが痩せた時並の衝撃。試合はスピーディーでアクション量もかなり多く内容が詰まった試合となっていて、特別な同期対決に相応しい、非常に良い試合だが、ラッカスの様にハイフライヤーが痩せるのと、ヨシコの様にハードヒッターが痩せるのは訳が違う。

 技の説得力や存在感が失われていて、結局その後怪我による欠場が発表され、それが影響かはわからないが、その衝撃しか残らなかったのは惜しまれる。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

ワールド・オブ・スターダム選手権試合
林下詩美(c)対上谷沙弥
 紫雷イオに匹敵するハイフライヤー上谷が飛びまくる内容。何だかんだ言っても唯一無二の武器であり、他を寄せ付けない圧倒的な魅力を持っている。WWEの関係者が見たら欲しいと思うだろう。それ位これ程飛べる人はいない。序盤のシークエンスにもある様に、開脚ムーブもありとツボは押さえている。後は、技を決める事に意識が向き過ぎて、まだ試合運びまでカバー出来ていない点とリスクの高い技をキャリアが浅いまま使う事で、大怪我を起こす事が心配。逸材なので大事に使って欲しい所。

 しかし、このキャリアでこれだけ出来たら万々歳である。対するもう1人の逸材林下は、持ち味である強さを示せず。受けで試合を作るにはまだ場数が足りていない。そもそも早くからプッシュを受けていたので、相手を引き出す試合をして来なかった事が要因。試合スタイルも、攻めベースの試合をして、柔道を生かした投げや絞め技が得意なので、上谷の得意なフィールドとは合わなかったのだろう。

 タッグパートナーということで練習も特に一緒に行っていて、手は合う様にした上でのこの試合。見せ場は沢山作った良い試合だが、良い意味での物怖じしない強さと、悪い意味での経験不足が両方見えた試合だった。中々良い試合。
評価:***1/2

 

ワンダー・オブ・スターダム選手権試合~敗者髪切りマッチ~
ジュリア(c)対中野たむ
 通常の試合形式なら好勝負クラスの内容。だがしかしこれは髪切りマッチ。女の命を奪う為の果たし合いならばこの内容では物足りない。張り手などラフファイトも織り交ぜ、場外テーブル上でのパイルドライバーこそ見せていたが、そこまで行って結局通常の試合に回帰するのは納得し難い。

 いつも通常の試合がデスマッチ位激しいでしょうと言われたら、そうですねと答えるしかないものの、命を賭ける果たし合いに涙も情けもいらない。必要なのは暴力と流血だけ。流石にそれはスターダムの世界観にも合わない上、別にファンも求めていないので仕方ないとはいえ、ジュリアはラフファイトが出来るセンスも持ち合わせており、たむを引き上げるだけの余裕もあったと思うので、伝説になり損なったのは勿体ない。

 たむのスタイナー・スクリュー・ドライバーも解禁するなど、激しく重厚な一進一退は見応え十分ではあるものの、武道館のメインで、髪を切るに値する様な死闘ではなかった。裏方は全女オマージュをしたくてしょうがないものの、あの頃と同じ様に出来る訳でもないので、普通にノーDQ辺りの特殊形式にすべき。全女と同じにしたいなら、相応のセットアップを与えるべき。中々良い試合。
評価:***1/2

 

全体評価:7.5+