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Deathmatch Downunder(DMDU) Smashing Sandcastles Review: Joel Bateman vs Charli Evans

Deathmatch Downunder(DMDU)

Smashing Sandcastles 3/6/2021

 

Deathmatch Downunder - IndependentWrestling.TV


カリビアン・スパイダーウェブ&ピッツ・オブ・タックス・デスマッチ
マッド・ドック対フォックス
 どんどんネクロに寄ってきているマッド・ドッグの一人舞台に近い試合。フォックスは、良くも悪くもヒールの非デスマッチファイターがデスマッチをした時によくある戦いぶり。身体は張るけども、それが持ち味でもないのかなという形。

 ジェイク・クリストのデスマッチみたい。ということでマッド・ドッグが体を張り、デスマッチの空気感を出し続ける展開。ただその愛は一方通行だった。マッド・ドッグに早く良いカードを組んで、エース化して欲しい所。平均より上。
評価:***

 

“ダンクジラ”マーク・デイヴィス対ロビー・イーグルス
 屈指の好カードではあるが、病み上がりのデイヴィスにはまだ無茶はさせられない。テーマもないミッドカードなので、中盤までは打撃中心に簡素な作りとなり、終盤からはギアを入れて激しさも出しながら進めていく形。

 キャリア差と体格差の狭間で揺れ動く難しい構図ではあるが、もう少しデイヴィスが圧倒する位の方が、本当は良いだろうが、この試合では特別感を示す形はなく、この2人ならこれ位は出来るだろうというレベルの良い試合に留まった。攻防自体は見応えがあり、しかるべき時には相応の激戦を作ってくれるだろうという安心感は見せてくれた。まあまあ良い試合。
評価:***1/2

 

ロイス・チェンバース対マードック(w/アイーシャ)
 ハイフライヤー対決ではあるが、チェンバースの方がキレが数段上。同じことをやるが故に、チェンバースの凄さが際立つ形。

 しかしチェンバースがヒール寄りの立ち位置ということもあって、チェンバースが高難易度技を連発し、マードックが気合いで起き上がる等ダメージ値は滅茶苦茶で、良くも悪くもハチャメチャ過ぎるが、演舞的な展開は、ファンマッチとしては悪くなく、チェンバースの凄技には圧倒されっぱなしで、まるで若い時のPACやサムライ・デル・ソルを彷彿とさせる。

 MCWの時も思ったが早く上位陣と当てまくり、ベルトも持たせる位しないと、成長が変に止まってしまう恐れがあるので、大事に育てたい。平均より上。
評価:***


ラスト・ドリンクス・デスマッチ
チャーリー・エヴァンス対ジョエル・ベイトマン
 お酒を飲んでから試合開始するのみで、通常のデスマッチルール。基本は椅子や蛍光灯等扱いやすく威力の大きい凶器からテーマに合ったカットした空き缶やレモン汁等お酒関係の凶器まで手広く使う形。オーストラリアのアレックス・コロンとも言えるベイトマン。一通り色々な攻撃は出来て、デスマッチがやりたくてやりたくて仕方がない感が溢れているのが良い。通常のレスリングではスターになれなくても、デスマッチではスターになれる。そんな素養を備えている。しかしそれだけでは好勝負にはならない。

 やはりデスマッチ界の希望いやインディ界の希望チャーリー・エヴァンスの存在がこの試合では圧倒的に大きかった。デスマッチ界においては男女問わずオーバースペックな位試合運びが上手い選手で、繋ぎの攻防の入れ方やダメージ表現の魅せ方も見事。

 特に感心したのは中盤でベイトマンが繰り出したルード・アウェイクニング(ネックブリーカー)3連発。受けの種類をそれぞれ変えていて、何でもないネックブリーカーを最高の繋ぎ技に昇華させていたそのセンスは感嘆の一言。それくらいハイスペックなのに、とことん受ける。流血はおろか、蛍光灯も竹串もガラスも何でも来い。全部受けて全部返す。ここまでやられると笑うしかない。

 更に親友で敬愛するエディ・キングストンのバックフィスト・トゥ・ザ・フューチャーに決め技はガラスボードへのジャパニーズ・オーシャン・サイクロン・スープレックス「ホールド」とプロレスへの愛が詰まったチョイスも絶妙。チャーリーとベイトマン、プロレスへの愛、デスマッチへの愛、敬愛するレスラーの愛が、攻めにも受けにも全てに詰まっていた。(ベイトマンは、リバースタイガードライバーも放っていて、その技の主は言うまでもないでしょう)
 デスマッチ後進国である異国のオーストラリアの新興デスマッチ団体が放つ、デスマッチ先進国アメリカシーンも日本のシーンにも突き刺さる特別なデスマッチ。凶器全部乗せで凄惨な内容だが飛び切りの美しさを誇っていた。

 デスマッチファンは必見の好勝負。
評価:****

全体評価:8+