世界のプロレス探検隊

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アイスリボン レビュー2021 つくし対テクラ他 ~ウォルターに続け! 毒蜘蛛テクラの挑戦~

アイスリボン「横浜リボン2021・Feb.」2/23/2021
IW19選手権試合
春輝つくし(c)対テクラ
 

 プロレス界のスパイダーといえば、”スパイダー”ネイト・ウェブ、アルティメット・スパイダーJr.そしてこの”Toxic Spider”ことテクラでしょう。
 CHIKARAにいるZEROとダッシャー・ハットフィールドを足して2で割った様なオーバーマスクで登場のテクラ。つくしはショッキングピンクのコスチュームと対照的。
 試合は、全編通してテクラが撹乱し続け、苛立ったつくしが厳しい攻撃を叩き込むスタイル。つくしの力強さは凄いけれども、試合を動かしていたのはテクラ。まだまだ完成形ではないけれども、蜘蛛を連想させる動きを多く取り入れる等、キャラクターレスリングとアクション面を両立させよう、序盤、中盤を無駄にしないという意識が感じ取れる。ゾンビ起き上がりはローズマリー、エクソシストはブレイ・ワイアットと自分に合う動きを上手く取捨選択出来ているのも良い。

 日本に来日した当初、前座で見たテクラとはまるで違うレスラーになっている。これからではあるものの、他との意識の違いは感じ取れ、やはり日本で活躍する以上の物を見ているなという印象を受ける。NXT UKというヨーロッパのレスラーが目指す明確な大舞台が、昔よりもかなり近づいてきている中で、日本で一旗上げてメジャーに乗り込もうという所だろう。オットー・ワンツ、バンビ・キラーそしてウォルターとまだまだ少ないオーストリア出身レスラーの星になれるか。
 これまでは好評価ばかりであったが、惜しい所としては、終盤飯伏ばりのキラーモードに入ったつくし。確かにテクラの陽動作戦が抗争中ずっと続いていたとはいえ、あまりにも唐突過ぎた。序盤〜中盤にかけて、テクラがやりたい放題している中で、受け手としてのリアクションが、エグい攻撃以外でもう少しあれば、テクラの粗も隠せて、キャラクターレスリングもより活きたであろう。

 只、テクラがブレイクするきっかけになり得る試合となったのは確実。まだ粗削りだが、未来のスターとなり得る可能性は秘めており、今の荒れに荒れ切ったUKシーンなら確実に主戦力となれる。中々良い試合。
評価:***1/2

 

アイスリボン「アイスリボン~冬物語~」1/23/2021
ICEx∞選手権試合
鈴季すず(c)対藤本つかさ

 王座を奪取した時の雪妃戦は別として、同年代と少し上のキャリアの選手から防衛した超新星鈴季に、団体の象徴からの最大の試練。自らの完成度の高さ、無駄のない正確な動きと試合構築力を以って、これから登るべき壁はまだまだあると団体はおろか業界の未来に見せつける内容。

 それでもチャレンジマッチにならずに、トリッキーなムーブから一発逆転を期待出来るのは、成長し続ける鈴季すずの凄さであるものの、シリアス度を強めた大勝負仕様の藤本の貫禄が際立っていた。

 得意技必殺技も大盤振る舞いで、非常に見応えがある内容。細かなミスを勢いでカバーしつつも、持てる手段を出し切っても勝てなかった鈴季と、ミスを一切せずに正確に反撃を加え、奥の手ジャパニーズオーシャンを残した上で勝ち切った藤本というのも、来たる再戦に見所を残す形なのも上手い。メインに相応しい重厚な内容でした。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4