世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

Beyond Wrestling The Signature Series Review マット・マコウスキ対ウィーラー・ユータ他

Beyond Wrestling The Signature Series #1 2/25/2021
ラウンド・ロビン・チャレンジ
クリス・ディッキンソン対トニー・デッペン
 Beyond及びGCWのゲートキーパー同士の対決。すっかり大御所枠となった2人が織りなす、ガッチガチのグラウンド偏重マッチ。デッペンも巧いけれども、体格に勝るディッキンソンの圧力が物を言う展開。

 本来ならデッペンは、ヒールプレイでいなしながら進めるけれども、今回のコンセプトにそれはないので、行わない縛りプレイ。代わりに腕を攻め、部分破壊で補う形。ある程度の一進一退の攻防は、入れているものの、ディッキンソンが体格さを活かして押し続ける事に対して、変に取り繕う事はせずに、そのまま描いていく事にこの試合の特異性がある。それを描ける2人だからこそこの試合を任されたのだろう。Beyondらしい堅さを押し出した良試合。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

Beyond Wrestling The Signature Series #2 3/4/2021

Beyond Wrestling - IndependentWrestling.TV

Tournament For Tomorrow 2021 1回戦
Ephemera (Edith Surreal/エディス・サーリアル & St. Jaxon DuPont/セント・ジャクソン・デュポント)対ザ・ショック・クルー(ボビー・オーランド&ブルース・ドノヴァン)
 エディスは、元Still Life With Apricots And Pearsで、デュポントは元BLANK。
  はぐれCHIKARA軍が改名し、心機一転。先日行われたエフィーとのハードコア戦でもそうだったが、元々獰猛なスタイルでもあったブランクだけではなく、スティルライフもよりシリアスに試合を進めようとしている雰囲気は感じた。ジェイミー・セネガルやソニー・キッスよりも、更にスマートさを打ち出している。

 タッグ歴も長くなってきているが、これまで以上に活躍出来そうな期待感がある。対するクリス・スタットランダーに加え、マックス・キャスターまで失ったSCではあるが、こちらも遊びは最小限に抑え、ソリッドな試合運びを見せる。WWEでも見ているかのような、オーソドックスな形で勝負したタッグマッチを、このメンバーが行うギャップも楽しめる。連携も冴えていて、タッグマッチの面白さが詰まっていた。平均より上。
評価:***

 

ラウンド・ロビン・チャレンジ
マット・マコウスキ対ウィラー・ユータ
 マコウスキのグラウンドテクニック、フィジカルの強さが光る展開。ディッキンソンでも優位に立てなかったグラウンドテクニックは、軽量級ならまず勝てない。体格差があるので、マット・リドルでも苦しいのではないだろうか。密着すればまず勝てないと悟ったユータが、部位破壊でベースを奪うという流れも自然で美しい。ユータは、俊敏性に長けていて技術も高い選手なので、流れる様な反撃シーンは実に見事。マコウスキの怪物性を損なわず、かといってユータのシューターとしての強さも光らせる絶妙なバランス感覚が非常に冴えていた。

 グラウンド以外の攻防も見応え十分で、全く退屈も停滞もさせない。アイルビーバック式のリアネイキッドチョークに代表される様な、Beyondの世界観に打って付けな大技も放つので、メリハリも効いている。両者のセンスの高さがとことん光った激戦。数え歌としてパッケージングしたくなる素晴らしい好勝負。
評価:****

全体評価:7+

 

Beyond Wrestling The Signature Series #3 3/11/2021
ラウンド・ロビン・チャレンジ
マット・マコウスキ対トニー・デッペン
 ディッキンソン戦同様ヒールプレイは控え目に、グラウンドや打撃に対しても積極的に応戦していく流れだが、体格差、パワー差、グラウンド、関節技テクニックの差はやはり元Bellator戦士マコウスキの方が上。ユータ戦と比べると、デッペンの反撃のターンで、格差を打ち破る物を見せ切れてないので、マコウスキの強さは光っても、試合としては発展し切れなかった。

 マコウスキ相手に対応出来るデッペンの腕は凄いけれども、ヒールプレイでいなしながら、スピーディーかつ独創性な形で進める形、同じ様な体型の相手と戦う時の方が、デッペンの良さがより活きるという印象は強い。技術の高さの割に面白さに欠ける内容だったが、フィニッシュシーンは別。

 BTボムからのニー・バーというデメトリアス・ジョンソンも驚きの一本劇はまさに圧巻。一撃で試合の印象を変える。MMAの美しさをプロレスにも反映させていて、その反映させ方が凄すぎる。このフィニッシュだけでも一見の勝ちあり。中々良い試合。
評価:***1/2