世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

GCW Josh Barnett's Bloodsport 4&5 Review モクスリー対スミスJr./コブ対ディッキンソン

GCW Josh Barnett's Bloodsport 4 2/13/2021

 

 “フィルシー”トム・ロウラー対サイモン・グリム

MLW版のチーム・フィルシーでは、チームメイトだった両者だけあり、戦ったり組んだりしている仲なので、互いを熟知した上で、プロレスに寄りつつも、厳しさ硬さもあるシュートスタイルマッチを展開。グラウンド1つとっても、複雑な関節技を使う等見易さは忘れていない。ボディ攻めをキーにしてフィニッシュへの布石を打つ巧さも絶妙。Bloodsportにおいての、トム・ロウラーの上手さは格別。UFCにまで上り詰め、プロレスに行かなくても良いのに、WWEにも行かず、ハードコアも得意になり、ゴリゴリのプロレスライフをエンジョイしている選手は、MMAとプロレスをミックスさせた試合を作るのがやはり巧い。期待以上の激戦となりました。
おまけ。この試合で気になったシーンは腕関節を狙う場面、ヘンゾ・グレイシーと共に、RIZIN現女子スーパーアトム級王者浜崎朱加の名前を出すジョシュ。流石。中々良い試合。
評価:***1/2

 

ジェフ・コブ対クリス・ディッキンソン


今や2人とも新日本関係者となった両雄の激突。アマレスオリンピアンのコブが、徹底的に寝かせると、ディッキンソンは、そのプレッシャーに対応しつつも関節技や打撃で応戦。ベースレベルではなくアマレスを極めた選手ならではの、寝かしたら動かせない強さは感じるも、そこからの殺しのテクニックはなく、投げで決めるしか選択肢がない弱肩を露呈。その分ディッキンソンは、何でも出来るオールラウンダーなので、シュートスタイルの面白味は、かなりディッキンソンに依存していた印象。フィニッシュの投げ連発は、説得力があったものの、折角ならツアー・オブ・アイランズ位やってくれないと上手く締められない戦いぶりであった。このルールに適応し切っているディッキンソンが内容では勝った試合。

平均的良試合。
評価:***1/4

 

GCW Josh Barnett's Bloodsport 5 2/20/2021


バッド・デュード・ティト対カルダー・マッコール


メインがプロレスらしさの強いシュートスタイルなら、オープニングのこの試合は、MMAの要素を多く織り込んだシュートスタイルとなった。グラウンドで長い時間寝かせる展開は取らず、打撃も投げも効果的に織り交ぜながら、足関節、腕関節、ダースチョークといったチョーク系等関節技も多彩な絞め技を用意していた一方で、勝負論も忘れずと魅せる技術と極める技術のバランスが絶妙だった。スローペースな試合が多くなる中で、スピード感を保っていた為、他のシュートスタイルの試合と比べて、試合の強度とスリル感がまるで違った。ストーリーや歴史が生み出すエモさ以外で、シュートスタイルの試合に欲しい要素を全て兼ね揃えていた激戦。BloodsportやWXWのAmbition等シュートスタイルの大会で行われた試合の中でもトップレベルの好勝負。
評価:****

 

ジョン・モクスリー対デイビー・ボーイ・スミスJr.
格はモクスリーの方が上だが、シュートスタイルに関してはスミスJr.の方が圧倒的に上。グラウンドの捌き方、体格を生かした圧力の掛け方やパウンドも、ハッキリ言ってモノは違う。しかしシュートスタイルといえどもこれはプロレス。プロレスラーとしての魅せ方の上手さは、流血までして壮絶さを示し、膝をついての頭突き合戦まで織り交ぜたモクスリーの方が上。血統も実力もあっても中々上の舞台まで登り詰めるが出来ないスミスの現状を示していた。日本やインディならシュートギリギリで何もさせない程寝かすのも正解かもしれないが、こういうビッグファイトならもう少しアクセントは加えられたはず。大スターのモクスリーに配慮していた可能性も否めないが。良し悪しを総合すると中々良い試合レベル。只、モクスリーがここまで8割近くスミスJr.に攻められる展開を作らせたのは意外だった。中々良い試合。
評価:***1/2

 

全体評価:7.5