世界のプロレス探検隊

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新日本プロレス THE NEW BEGINNING in HIROSHIMA レビュー ~考察:高橋ヒロムのMVPの獲り方~

新日本プロレス THE NEW BEGINNING in HIROSHIMA

1日目 2/10/2021


IWGP Jr.ヘビー級選手権試合
高橋ヒロム(c)対SHO
世界最高レベル、年間ベスト級の試合は散々やり抜いた。ベルトも巻いた。首も折った。首を折った後も、何度も首を折りそうな試合もやった。エモさ全開のライバル対決もやった。でもMVPもベストバウトもヘビー級のもの。元々ヘビー級を超えたい、ジュニアをそのレベルまで持っていく、その様な旨の発言も多くしているヒロム。今ジュニアのままでやれることは、ヘビー級の様な重厚な試合を行って、MVPやベストバウトを取るしかない。永久にジュニアはヘビーの添え物、脇役という風潮を壊したい。その思いが強く出過ぎたが故に、やっている事は悪くなくても、皆が期待するジュニアの華やかさやスピード感を奪い、まさにヘビーの様なスローな打ち合い、30分超えの消耗戦となり、評価が上がらなかったのだろう。

対戦相手のSHOもヘビー的なパワフルなスタイルのジュニア戦士なので、よりヘビー的なスタイルに拍車が掛かる。ゴツゴツとした打撃に関節技を織り交ぜ、必殺級の攻防も満遍なく行った、全部乗せに近い形ではあったが、ゴツゴツさは余り求められていない所と、ヒロムもSHOも一定のレベルで使える打撃は持っていても、決して加点を生み出せる武器ではない点、間接技もスリリングな展開で使った訳ではなく、序盤に伏線を張った訳ではなく、消耗感が強い状態で放っただけなので、効果が薄い。持っているものは超一流なのは言うまでもないヒロムと、それに近いものを持つSHOだが、やりたい事をやったものの、効果的に使えなかった印象。この試合こそ10分圧縮して、中盤までのスピード感はもう少し上げたかった。まあまあ良い試合。

普通に良い試合をし続けた場合、このままではMVPは二冠王に輝いた飯伏だろう。今のヒロムがMVPやベストバウトを取るには、ヘビー級に上げて名勝負を作り上げる。ジュニアのままならば、内藤とロスインゴを裏切り、自らの軍団を立ち上げ、ヒールターン。それに加えて、BOSJとG1同時制覇する位しないといけない難易度最高の状態になっている。世界最高を極めたからこその苦悩を打ち破れるか。
評価:***1/2

 

新日本プロレス THE NEW BEGINNING in HIROSHIMA

2日目 2/11/2021
IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタルダブル選手権試合
飯伏幸太(c)対SANADA
試合前の煽りVがない事が何よりの証明だが、因縁がないさわやかな試合。でもそれこそ一番実力を発揮出来るフィールドと割り切って、良い試合をするアスリートとして振る舞っていたのが正解。欲を出さずにやれることをやる。ミラームーブや掟破りの攻撃も、観客への煽りも、可能な範囲で織り込む。そして単にそれをするのではなく、一呼吸ロープワークや切り返しを挟んでから放つのも、単調に感じさせなくて良い。トラッシュトークやストーリーは築けなくても、2人とも特別な試合にしようという強い意思は確実に感じ取れた。ファンが求めるエモさはないけれども、このカードに求められる内容は揃っていて、設定時間も30分切る位。新日本基準では短くて、革新的に思われるが、これでも十分長いといえば長い。でも休みなく動き続けて、スーパーアスリートとしての迫力ある動きをこれでもかと見せ、全編通して高い質を保ったまま完走。このカードとして最高レベルに近い働きだった。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:7+