世界のプロレス探検隊

WWEAEW新日本インディ他、国内外問わずプロレスのマッチレビューを行っています。

AEW Review ケニー組対モクスリー組他 ~KENTA登場!! Bullet Clubは誰のもの?~

AEW Dynamite #70 1/27/2021
ダックス・ハーウッド対ジャングル・ボーイ
(ルチャサウルス、タリー・ブランチャードとキャッシュ・ウィーラーはリングサイドで共に手錠で繋がれている。)

復活を遂げたカール・アンダーソンが、エンフォーサーとしての輝きを見せる中で、こちらのエンフォーサーも最高の輝きを見せる。ダックスが、一挙手一投足、寸分の狂いのない見事な仕事ぶりで、ジャングル・ボーイの底上げに貢献。序盤のグラウンドから、この試合があたかもビッグマッチのメインイベントかと錯覚させる様な空気感を作り出し、ジャングル・ボーイの軽快な動きを見せながら、上手く切って支配。グラウンドと投げ、打撃の鋭さ、各攻防のバランスや時間配分と見せ方まで全て完璧。
ここまで完璧だと相手は何やっても厳しいけれども、ジャングル・ボーイがスター候補生である点、持って生まれた家柄と華があり、アンダードッグとしての輝きも、反撃の手法も持ち合わせている。耐え忍び、確実に攻撃を決めるだけで良い所まで、ダックスがお膳立てしているのは盤石。ダックスは、華が決してある選手とはいえないけれども、強く上手く悪くという己の持ち味を最大限出し、タッグ屋だから地味に振る舞うのではなく、シングルプレイヤーの今回も最強のヴィランとして君臨していたのが素晴らしい。使う技もスリングショット・パワーボムやアーン・アンダーソン式フェイントDDT等テクニカルだけれどもシンプルな技を使っているのも良い。やるだけやってあっさりやられたダックスだが、手錠が外れたウィーラーとタリー(ルチャサウルスも含めて彼らも名演技、助演俳優賞を与えたい働き)でJEを襲撃。まさにお楽しみはこれからだという好勝負と好プロモ。最高の仕事ぶりでした。自らも存在感を示した上で、ジャングル・ボーイを真の大スターにするぞ!という陽の意気込みがこれでもかと伝わるのは素晴らしい。FTRの様な仕事人だけれども、言いたい事は、干されてもはっきり言う選手が、ベルトを失ってもここまでしてくれるのは、団体の雰囲気が良い証拠。そして何よりもジャングル・ボーイことジャック・ペリーのサクセスストーリーにおいて、必ず語り継がれる試合。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

 

ヤング・バックス(マット&ニック・ジャクソン)&グッド・ブラザーズ(カール・アンダーソン&ドク・ギャローズ)対ダーク・オーダー(イービル・ウノ、ステュ・グレイソン、アレックス・レイノルズ&ジョン・シルバー)

人気者シルバーが躍動し、今や人気ベビーフェイス・ユニットとなったダークオーダーの健闘を煽りつつも、久々の復活となったバックスとGBが格上感を打ち出し支配。4人での合体技やToo Sweet ウルフパックポーズも見せる大盤振る舞い。ヒールのGBとベビーフェイスのバックスの混成チームとあって、バックスには少し支配するシーンを入れる一方で、GBには逆に支配されるといった細かな工夫も凝らしているのが見事。ビーバー・ボーイズ、SSBそれぞれの連携も冴えている。SSBに関してはやはりバックスとの対戦はもっと見たくなる。ストーリーの繋ぎ試合ではあるが、4タッグが4様の活躍を見せていたのが素晴らしい。何よりもこのBC復活ストーリーで一番恩恵を受けて復活を遂げたのはGB。アンダーソンが、まさにエンフォーサーといいたくなる上手さと切れ味を見せ、ギャローズはとにかく荒々しく振る舞う。ベテラン職人タッグが本来の姿を取り戻したのはかなり大きい。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:8

 

AEW Dynamite #71 - Beach Break 2/3/2021

Dr.ブリット・ベイカー D.M.D(w/レベル)対サンダー・ロサ

因縁が続く両者だけあり、乱戦ベースでスタート。ロサが情熱的なファイトを見せる一方で、ベイカーは冷たくエグく返す。場外や花道での投げで激しさを出しながら、クライマックス辺りまでは乱戦で通したのは驚いた。あえて綺麗なスタイルで行かなかったが、それでやり切ったのは驚いた。ロサに振り落とされそうだったベイカーも、何とか食らい付き、最後はダーティにフィニッシュ。団体からプロテクトをされている両者なのでこれ位の演出は妥当。 AEWの女子王座トーナメントが始まるものの、NWA女子王座も実質AEWの管理下にある様なものなので、並行してベイカーに持たせて箔をつけるのも面白いだろう。平均的良試合。
評価:***1/4

 

ケニー・オメガ&グッド・ブラザーズ(カール・アンダーソン&ドク・ギャローズ)対ジョン・モクスリー&デス・トライアングル(PAC&レイ・フェニックス)
ケニーとGBにBullet Clubのテーマっぽい専用テーマが付く。対するモクスリー組。ライバル関係にあったPACとモクスリーが拳を合わせる所が熱い。試合はGB中心にケニー組が優位に進めつつ、モクスリー組は、PACとモクスリーは要所に絞った働きである一方でフェニックスが躍動。攻守に渡り大活躍。元々凄い事はわかっていたが、 AEWの舞台でもシングルプレイヤーとして活躍しつつある中で、このメンバーの中でも大いに目立っていたのは素晴らしい。この活躍ならばPACとモクスリーが自らのパートを控えても、フェニックスをオーバーさせたくなるのは理解出来る。ケニーとGBに関しては、変わらずGBが確実なタッグワークを見せる。ケニーもそこに並び立つ中で、アクション量を減らし、強くもあり、ヘタレることも出来るTVプロレス仕様のヒール王者という理想像に向かって、試行錯誤をしていた。対戦相手がモクスリー、PAC、フェニックスというオールスター級のスター揃いなので、アクション量を減らすと影が薄くなるのは仕方ないものの、そこに張り合っても、これまでのケニーと同じなので、このチャレンジは正解。AEW&インパクト側としては、時間を掛ける気満々で、その余裕もある為、焦る事なくチャレンジして欲しい所。GBが補って余りある程サポートしてくれるので、スタートリオに対しても強弱を上手く保ちながら、立ち振る舞っていた。スタープレイヤー揃いの豪華絢爛見所十分の内容だが、フィニッシュはあっさり目に、ケニー組が制圧し唐突に幕。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

試合後フェニックスを襲うケニー組に対し、PAC &フェニックスと共同戦線を張るランス・アーチャーが救援に現れる。そしてケニーを仕留めにかかったモクスリー。しかしそこに覆面男がモクスリーを襲う。正体は、今度IWGP USヘビー級王座を賭けて戦うBullet ClubのKENTA。必殺のGo 2 Sleepを決め、宣戦布告。アーチャーやKENTA、新日関係者が多く登場と新日本のファンにも嬉しい流れ。このサプライズがあれば、先程の試合のフィニッシュがあっさり目だったのも頷ける。

 

全体評価:7+