世界のプロレス探検隊

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WWE Royal Rumble 2021 Review ~エジクリ復活+AEWインスパイア+元TNA祭り~

WWE Royal Rumble 2021 1/31/2021

 

ウィメンズ・ロイヤル・ランブルマッチ
本命かつヒールで回せるベイリー、対抗馬のビアンカを序盤に配置しつつ、NXTからショッツィ、トニーが参戦。オーストラリア・インディ時代からの仲間であるトニーとケイ、ペイトンが並ぶのも興味深い。

 

動ける選手が多いので、テンポ良く進み、攻防も一定数ある。ケイの小ネタもコメディエンヌぶりが出ていて、アクセントになっている。サプライズ枠としてはまずジリアン、そしてヴィクトリアが登場。特にヴィクトリアのインパクトは大きく、看板技が多いのは強い。

更に動けて飛べるデイナやモーガンを投入する一方で、大本命リアやシャーロットが登場し一気呵成。シャーロット×レイシーやビアンカ×ベイリー等現在進行形の因縁も絡ませつつ、ベイリー脱落シーンが映らなかったのは勿体なかったが、ここまでは安定していたものの、裏回しヒール役ベイリーがいなくなり、アスカやサーシャは出てこれない中で、リアが掃除役と受けで試合を回す役両方行う獅子奮迅の活躍。脱落させるシーンはもう少し印象的なシーンを作りたかった所だが、ベイリーがいなくなり、シャーロットがやけに控えめとなれば、リアが一番出来る選手となってしまうので仕方なし。アレクサはフィーンド化する前に落とされ、最強の掃除屋ナイアが、シェイナと組んで適度に掃除するものの、ラナ絡みで終わり。サクサク進んでテンポは良いものの、見せ場は少ない。そうこうしている内に、ラスト3は、シャーロット、リア、ビアンカ。シャーロットがNXTに出ていた時に絡んでいた3人なので、感慨深いというか、確実にそれを狙った演出。

そのシャーロットが壁として立ちはだかるも、数的優位から脱落し、リア対ビアンカというNXTファンには熱い展開。NXT版シナ対バティスタの様な組み合わせ。粗が出ない位に留めつつも、最後に相応しく数ターンの攻防を確実に行い、フィニッシュ。


 

勝者ビアンカの感動的なスピーチは素晴らしかったものの、この試合のMVPはリア。いつでも昇格出来る所から1年更にNXT寝かしただかあり、攻めも受けでも試合を作れて、フェイスもヒールも出来る様になってから、昇格(まだ確定ではないが)出来るのは、NXTチームの勝利とも言えるだろう。アスカ、サーシャ、ベッキーが不在の中で、ベイリーをかつてのジェリコばりにもう少し最後まで生かして欲しかった。良いシーンもあり、悪くはないものの爆発はせず、トータルとしては平均的良試合レベル。
評価:***1/4


WWEユニバーサル王座戦-ラスト・マン・スタンディングマッチ
ローマン・レインズ(c)(w/ポール・ヘイマン)対ケビン・オーウェンス
これまでの抗争の総集編+スタジアムを使ったハードコアという内容。殴り合いから必殺級を打ち合い、場外戦へ。そこからはリングに戻らず、場外やサンダードーム、バックステージをテンポ良く移動しながら試合を進め、高所落下を複数回含むテーブルスポットに、ゴルフカートでの轢き逃げやフォークリフトを使う攻防は、 AEWのケニー・オメガ&マット・ハーディ対クリス・ジェリコ&サミー・ゲバラ戦の再現といっても良いだろう。

これをAEW移籍の噂が絶えないヤング・バックスの大親友ケビン・オーウェンスにやらせる所が憎い。ハチャメチャなハードコアを優先するあまり、ドラマ調の憎々しげなレインズのヒールワークが控え目だったのと、クライマックスの手錠シーンのもたつきが残念だった。恐らくあれはロー・ブローで終わるはずが、手錠が外れず、アドリブでギロチンチョークを入れたと思われる。WWEなので特にリハはやっていたであろうが、それでもやり直しが効かないライブの難しさを感じた。只スッとアドリブに持ち込んだとすれば流石である。しかし、この抗争は安定感抜群で見せ場盛り沢山。とにかく激しく楽しめるハードコアであった。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

 

メンズ・ロイヤル・ランブルマッチ
予告通りエッジ対オートンでスタート。場外乱闘を交えた乱戦からサミ・ゼインの登場。あのスティーネリコの抗争をしていたのは2010年と考えると、エッジとサミが並び立つというのはまさに奇跡としか言いようがない。更に永遠のライバルの1人、ジェフも登場。只それは一要素にすぎず、RKO祭りでかき消される。エッジ対オートンがハードコアな乱闘を続ける中で、かつての抗争相手ジグラーまでも登場。しかしその関係性を全く活かせなかったのはガッカリ。

オートンとの抗争を優先させるのは理解出来るが、ジェフは特に、オートン同等それ以上の歴史がある関係だっただけに惜しいことをした。まあマット・ハーディやヴィッキー・ゲレロがAEWにいるから触れなかったか、単に忘れていたかどちらかだろう。
その後サプライズ枠のVXSからの刺客ことカリート・カリビアン・クールの登場や解説のサモア・ジョーの前で、STジョーを決めるビッグ・E、テンプルで革命を起こしたジョニー・ムンドとプリンス・プーマの再会等はあるものの、単発。

只、モリミズによるグラミー賞ノミネート、ラテン音楽界が世界を代表するスーパー・スターことバッド・バニーの接待シーンもあり。そのバッド・バニーのプランチャは見事だった。この枠にミズが君臨し続けると、アダム・コールやジョニー・ガルガーノがますます一軍に上がりにくいなと邪推したのは余談。ケインが出てきて適度に掃除してくれたが、まだ勢いは作れない。正直中盤はかなり退屈だったものの、ラシュリー登場からWCW/TNAゾーンに突入。元TNA世界王者ラシュリー、元WCWクルーザー級の大エース、WWE・ TNA ・AEWどこにでも現れるスーパーヒーロー、ハリケーン。

そしてこの試合の一番のハイライト、世界中のPeepsが涙するクリスチャンの復帰!!この再会によってこの試合トータルで大したことがなかろうが、歴史に残る試合になる事は確定。更にTNA時代にクリスチャンと同じユニットとしても暴れ回っていたAJの登場。ナッシュビルの TNAファンは歓喜だろう。そしてエッジと共にタッグ王者にも輝いた戦友ミステリオも登場。このメンバーが揃うだけで奇跡。なおかつエジクリにブライアンと引退していた選手がカムバックしてここに揃うのは本当に感慨深い。更にシェイマス、セザーロとベテランが繋ぎ、トムコじゃなくてオモスも活躍。更にAge of The Fallの時のジミー・ジェイコブスに風貌もギミックも何から何まで似てきているセスの復活、掃除屋ストローマン、ブライアン対リドルのグラウンドの攻防、エジクリの連携に2004 RRのベノワオマージュ、オートン復活からのエッジ逆転勝利とクライマックスにかけては目まぐるしくも濃密な時間が続き、終盤まではイマイチだが、終わり良ければすべて良しと帳尻を合わせたのは救い。トータルとしては中々良い試合レベルだが、エジクリ復活とエッジ1番手からの優勝というプロレス史に語り継がれる活躍を演出出来たので、もうそれでWWE的には十分成功。
評価:***1/2

 

全体評価:8