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Deathmatch Downunder ...And Out Come The Wolves Review ~豪州発! 新デスマッチ団体~

Deathmatch Downunder ...And Out Come The Wolves 1/16/2021

オーストラリア初の新興デスマッチ団体Deathmatch Downunder(DMDU)の旗揚げ大会。全試合デスマッチというスタイルではなく、通常形式の試合とデスマッチを織り交ぜるGCWやCZW方式の大会となります。

 

DMDUタッグ王者決定トーナメント1回戦
Blacklisted(FOX&JXT)対エイヴァリー&カーティス・デイ

スターダムに来ていたエイヴァリーが参戦。通常形式の試合で、特に特筆すべき点はないが、実力者JXTを擁するブラックリスティッドが、ジャスティン・クレディブルの様な旋回式ツームストーンと、彼らにも通ずる所がある元CZWタッグ王者、バックシート・ボーイズの必殺合体技Tギミックを決めて勝利した所は、ニヤリとさせられる。
評価:**3/4

 

UGWA Total Violence王座戦
グウィード(c)対ジョエル・ベイトマン


DMDUの創始者の一人、ジョエル・ベイトマンが、カリフォルニアのデスマッチ団体UGWAの王者グウィードを迎え撃つ試合。
この団体で初めてのデスマッチ形式となる試合とあって、緊張感が伝わる展開。有名デスマッチ選手と比べると、何枚も実力もスター性も落ちるものの、とにかく丁寧に試合を作り、外さない様にしようという気概は非常に伝わる。ガセットプレートや半分に切った空き缶攻撃など、メインに蛍光灯デスマッチが控えていて、蛍光灯を封印している中で、それ以外の凶器を上手く使いながら試合構築を行う。ホームマットであるベイトマンの気迫と流血量は中々のもの。クライマックスにかけては、エンジンとネタ切れした印象は受けたが、要所ではドア破壊で派手に纏めた。質はそこそこでも、この試合を特別にしようというスピリットはしっかり観るものに伝える事が出来た一戦。中々良い試合。
評価:***1/2

 

バーブドワイヤー・ボーズ・デスマッチ
マッドドッグ&マイケル・ウィーヴァー対ロウ・ビーフ(2クレイジー&RXsP)

超巨漢とサモア系っぽい人とFREEDOMSにも参戦経験のあるマッドドッグの有刺鉄線ボードデスマッチ。有刺鉄線ボードというよりほぼほぼドアだったが、デスマッチ慣れしていない他に変わって、マッドドッグが孤軍奮闘。流血に、ケビン・サリバンかグンソかどちらのオマージュかは不明だが、「シノ」を取り出し、何とかデスマッチの体裁を保とうしていたのが涙ぐましい。この試合は仕方ないが、少なくても先程のベイトマンとマッドドッグがエース格として団体の成長を促す位であってほしい所。
評価:**3/4

 

100ライトチューブス・デスマッチ
ケーレン・ブッチャー対ダミアン・リヴァース

「シノ」が出てきたと思えば、メインではグンソの様な風貌の選手(ブッチャー)が出てくるというニアミス。彼に「シノ」を持たせるとそのまんまグンソなので、それはしなくて正解。対するケビン・オーウェンスにテーブル葬されたことでもお馴染み、アメリカのラッパー、マシン・ガン・ケリーの「el Diablo」で登場したリヴァースは、IWA-Deepsouth Carnage Cupの一回戦に出てきそうな、いかにもデスマッチやり始めました感の強いあんこ型の選手。

彼らは彼らなりに、レスリングから始めて、蛍光灯の攻防に移行し、通常技や他の凶器を使いつつ、最後は蛍光灯で締めるというように、丁寧に積み上げていくという意識が取れる。アクション量も一定数あり、蛍光灯の使い方や身体の張り方も悪くはない。大日本のデスマッチを見て研究している姿も見て取れる。只オーストラリアの中でもディープ・インディレベルの選手だけあり、徐々にボロが出て、何とか蛍光灯という上級凶器に繋いで貰っている印象が強い展開となる。ブッチャーと名乗る選手が正面からのヒドゥン・ブレードをフィニッシャーにするのは納得がいかず、そこに続けてリヴァースがレインメーカーをすぐさま放つのも、もう少しチョイスがあっただろうとは感じる。
オーストラリアでは恐らく殆ど行っていなかった蛍光灯の破壊力を感じる、その初期衝動は強く味わう事は出来るものの、まだまだ場数と実力が不足していて、オーストラリアという実力者が沢山いる土壌だからこそ、UKデスマッチの様にハードコアの延長線上にあるデスマッチという印象は拭えなかった。ジミー・ハヴォックやドリュー・パーカーの様に通常の試合も出来る選手なら良いが、そうでもなさそうなので、それならヴァイオレンス度を上げるか、印象的なスポットを用意するかで代用して欲しかった。まだまだ始まったばかりという所。現状は世界屈指のデスマッチクイーン、チャーリー・エヴァンスの降臨を待つしかない。平均レベル。
評価:***